表現方法は違っても、心は共に

ヒルダ「ただいま戻りましたよ〜！」
ジークフリート「お帰りなさいませ、ヒルダ様！」

ヒルダはジークフリート以下出迎えてくれた神闘士を見てビックリした。

ヒルダ「どうしたのですか、皆さん、そんなに服を着こんで」
フレア「お姉様！アルベリッヒったら酷いのよ！」
ヒルダ「まあ、どうしたのですか？」

フレア「お姉様がいない間、薪は燃やさないって言って、薪庫に鍵かけちゃったの！」

ヒルダ「まぁっ！どうしてですか！」
ジークフリート「手前らのために使う金はねえっだそうです。無茶苦茶ですよ、あいつは！」
ヒルダ「それで、大丈夫だったのですか？」
ジークフリート「幸い、ハーゲンが炎の技を使えるので事なきを得ましたが・・・」
フレア「小宇宙の使いすぎで倒れちゃったの」
ヒルダ「それは災難でしたね。大丈夫です。私がアルベリッヒを怒って薪を出しますから」
フレア「ありがとう、お姉様！」

珍しくプリプリと怒りながら回廊を歩く。目指すのは、アルベリッヒの自室ではなく、自分の執務室。

ヒルダ「アルベリッヒ！！！」
アルベリッヒ「お帰りなさいませ、ヒルダ様」

予想と違わず、アルベリッヒはそこにいた。大量の書類を持ちこみ、まるで主のようである。

ヒルダ「アルベリッヒ！フレアから聞きましたよ！何て事をするんですか！」
アルベリッヒ「何て事とは？」
ヒルダ「薪を出さなかったそうじゃないですか！あんまりです！！」
アルベリッヒ「あんまりって、主人がいないのに薪を燃やす馬鹿がどこにいますか」
ヒルダ「いてください！可哀相にフレアなんて唇が真っ青ですよ！」
アルベリッヒ「ハーゲンがいるから問題ないでしょう」
ヒルダ「ハーゲンは倒れてしまったのですよ！」
アルベリッヒ「神闘士ですから、数日休めば復活しますよ」
ヒルダ「なんですか！その人を人と思わない態度は！あなたは一体何を考えてるんですか！！」


アルベリッヒ「この国のことですけどね」


ヒルダ「・・・・・・・・え？」
アルベリッヒ「あのですね、うちに金がないことはよく知ってるでしょう。臣下のために薪を燃やすほどうちに余裕ないですから。主が最優先で、臣下はおこぼれをもらってる。そういう方針です。あんたが帰ってきたなら、薪はすぐ出しますよ」

どすっと薪を置く。

アルベリッヒ「ついでに言わせてもらえば、薪庫に一度行ってみたらいいですよ。鍵かけたって言ってもタダの南京錠ですから。ぶっ壊そうと思えば、一撃ですよ。できない方が信じられないです。俺が今日まで無事で、それで鍵が壊れてないんですから、あいつらも心の底では分かってるんですよ」

アルベリッヒが暖炉に火をつける。

アルベリッヒ「ちょっと出てきます。薪を届けてやるんで。ついでに、アンタがいない間の書類、いろいろ処理しておきましたから、決裁よろしくお願いしますよ」

パタンと扉が閉じられる。チロチロと炎が燃え、部屋が少しずつ温かくなる。それ以上にヒルダは温かかった。

ヒルダ「一番大事なのは、国を想う事・・・かもしれませんね」

ふふっと微笑むと、椅子に座り、執務をこなし始めるのだった。




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