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優等生と問題児 貴鬼「ねぇ、ムウ様。おいら、もっと良い子になった方がいい？」 ムウ「はぁ？何を急に言うんですか？」 テレビを見ていた弟子が唐突に言う。雑事に追われていたムウは、少し乱れた髪を耳にかけて振り向く。 貴鬼「今、優等生と問題児だったらどっちの方がいいかって質問やってたんですけど、教師役の人が問題児を選んだんだ。ムウ様だったら、優等生と問題児、どっちを選びますか？」 ムウ「断然、優等生です」 貴鬼「やっぱり・・・。ムウ様は頭がいいから、バカよりは頭の良い弟子の方がいいですよね」 ムウ「何言ってるんですか？」 貴鬼「だって、おいら、アッペンデックスだし・・・アッペンデックスってことは、おまけでバカってことだし・・・」 ムウ「貴鬼、あなたは本当にバカですね」 貴鬼「ムウ様！！おいらだって、バカでいたくてバカじゃないんですよ！！」 ムウ「そうじゃありませんよ。あなたは優等生と問題児の意味を履き違えている。だから、バカだって言うんです」 貴鬼「え・・・・・・？」 ムウ「弟子に持つなら、優等生がいい。これは真意です。ですが、優等生の対が問題児という場合です。この２つを対とするなんて、まったくもって愚かな問題です」 貴鬼「え、でも、優等生の反対は問題児なんじゃないんですか？」 ムウ「違います。優等生の対は、劣等生です。よく考えてみてください。優等生は、その物差しを学力に置いています。問題児は、行動・言動に問題があることを言う。つまりは、学力について述べてるわけではないのです。この比べる物差しが違うのに、対のように扱うことは全くもって愚かなのです」 貴鬼「なるほど・・・・！！」 ムウ「この手の質問になると、優等生＝成績がいいだけで心が冷たい。問題児＝問題行動は多いが心は豊かの印象にとらわれがちですが、そうではありません。問題児とは、言動・行動にかかるのですから、成績の良い子だって例外ではないのです」 貴鬼「なるほど・・・！」 ムウ「今から例をあげますから、一緒に考えてみましょう。まずは、蟹座のデスマスク。彼は、聖衣に見捨てられるほどの人間で、アテナをアテナとも思わず、暴言のし放題。これが優等生といえますか？」 貴鬼「・・・・・言えません」 ムウ「双子座のサガ。この人は、成績優秀で神のような性格をしています。優等生を絵に描いたような人物です。ですが！実際は、我が師を殺し、アテナに手をかけかけ、アイオロスに汚名をきせています。その前に、弟も水攻めにあわせてますしね。学力的には優等生でしょう。ですが、行動的にはどうですか？」 貴鬼「間違いなく問題児です」 ムウ「でしょう！！デスマスクとサガを比べたら、どうあっても、サガの方がやってること問題です！！」 貴鬼「でも、ムウ様。頭の良い人の方が、頭の回転がいいから、悪いことを思いつくってことも考えられませんか？」 ムウ「頭が心底悪い人間は、通り魔起こしたり、それ以上にろくでもないことをしますよ。問題児というのは、ひとくくりにされがちですが、 空気が読めない・暴力を振るう・傲慢・盗みと山のように種類があるのです。 問題児が、これらだとしたら、反対は何だと思いますか？」 貴鬼「空気が読めて、暴力振るわなくて、謙虚で・・・ってことですか・・・？」 ムウ「そう。簡単に言えば、人の気持ちを推し量る事のできる人間です。十二宮で言えば、唯一あてはまるのはアルデバラン。黄金で弟子をとれといわれたなら、私は迷いなくアルデバランを選びますね」 貴鬼「確かに、アルデバランだったら、ズレないブレない指導ができそう・・・」 ムウ「素直で謙虚で思いやりがある子と、反抗的で暴力ふるって、傲慢な子とどっちがいいですか？で、後者を選ぶのは、自分ならなんとかできるだろうっていう自惚れ屋ですよ。前者の方が、指導者としてゾクゾクする楽しさを与えてくれます」 貴鬼「・・・・・じゃあ、おいらも問題児・・・なのですか？」 ムウ「いいえ」 貴鬼「本当！！？」 ムウ「貴鬼はただの劣等生ですよ」 貴鬼「ムウ様！！それ、全然慰めになってないですよ！！」 ムウ「おや、そうですか？優等生と問題児なら優等生ですが、優等生と劣等生なら、どちらでも構いませんよ」 貴鬼「そうなんですか？」 ムウ「ええ。さっきも言った通り、優等生と劣等生なら、比べてるのは学力ですからね。まぁ、苦労の度合いは違いますけど、伸びしろがどれくらいあるかは誰にもわかりませんから」 貴鬼「そっか・・・」 ムウ「瞬だって優等生ではなかったと聞きますし、氷河はマーマの出来事がなかったら、アイザックに聖衣を与えられていたでしょう。今は不遇だとしても、１０年先はどうなっているかわからない。だから・・・」 貴鬼「だから・・・？」 ムウ「貴鬼は、どんな時も諦めずに自分を磨きなさい」 羅喜「貴鬼様、どうかしましたかなのだ？」 貴鬼「なんでもないよ、羅喜」 にこりと貴鬼が微笑む。 貴鬼「今の姿をムウ様に見て頂けたら、おいらは劣等生から優等生に変わるでしょうか？」 師が纏っていた聖衣は、今は自分が。 貴鬼「マルス軍に与しなかった。その心は優等生だと・・・認めてくださいますか」 マルスを倒し、今はパラスとの戦いが始まった。 今、玄武がパライストラに向かい、司令官として動いている。パライストラには檄・蛮・那智、かつて聖衣を纏っていた男たちが集っている。あの３人は現役時代、目覚しい功績というのは揚げられなかったと記憶している。だが、今は、聖域にとってかけがえのない人材。 貴鬼「羅喜、私の側から離れるなよ」 羅喜「はいっ！！敵に捕まって、貴鬼様のご迷惑になるようなことはしないのだ！！」 ああ、ムウ様の気持ちがわかる。今はそんなつもりで言ったんじゃないのに。 あれだな、羅喜がグレたら泣くってのはこういう時に思うんだな。 その気持ちを上手く言葉にだせなくて、貴鬼は、羅喜の頭をポンポンと撫でるのだった。 あとがき Ωばっかし更新してて申し訳ない！！某番組で、究極クエスチョンやってて、おい、どこが究極なんだよ！？て思ったので、それを練ってみました。シリアスなのかギャグなのかよくわからんストーリーになってしまったな。牡羊座は、伝承がうまいこと行っていて、師弟関係にキュンキュンですｖｖ羅喜可愛いし！！ムウ様は結構毒舌だから、貴鬼にもズバッと言いそうですが、貴鬼は羅喜に『お前は劣等性ですよ』なんて、言えなさそうですねぇ。もういてくれるだけでいいよとか思ってそう（笑） BY MUTUMI |