仕事の神に見初められた男

イオ「おお！あれがデスクイーン島か！」
バイアン「ああ。」
二人は、船に乗っていた。デスクイーン島に存在している暗黒聖闘士をスカウトする為に。
イオ「お告げによると暗黒聖闘士の中でも四天王という奴らが狙い目らしい。」
バイアン「・・・・・・・・ポセイドン様何で知ってるんだ」
イオ「灼熱の島なんだってな。黄金達は海底、冥闘士は花園、神闘士はとりあえず雪、そして、暗黒聖闘士は灼熱か。全てを網羅したな。アイザックのセットは使えないから、素朴な感じがでるだろうな。」
バイアン「・・・・・そうだな。」
目をピカピカとコドモの様に輝かせているイオを見て、再び病院送りにしないようこちらが心がけなければと思ったバイアンだった。





暗黒アンドロメダ「今年も、農作物のできは最悪だぞ。」
暗黒ペガサス「う〜ん、やっぱりか。」
暗黒スワン「飯できたぞ。」
甦った現在、彼らは一つ屋根の下で平和に暮らしていた。生活環境が劣悪なここでは、食事は酷いありさまであった。
暗黒スワン「今日の飯は、芋粥と、菜っ葉だ。」
暗黒ドラゴン「良く作ったもんだ。」
暗黒スワン「ここでの生活にも慣れてるしな。いただきます。」
暗黒ペガサス「いただきます。」

三秒後、

暗黒四天王「ごちそうさまでした。」


もう食後である。
暗黒アンドロメダ「スワンの料理は美味いけどさ、一人スプーン三杯分ってなんなんだよって感じだよな。」
暗黒スワン「仕方ないだろうが。食糧不足なんだから。」
暗黒ドラゴン「我々が弱いのは、栄養事情が悪い所為でもあるな。」
修行僧のメニューと似たり寄ったりなのである。
暗黒アンドロメダ「俺達も、他に働くか？」
暗黒ペガサス「殺し屋か？」
暗黒アンドロメダ「そんな事、アテナ＆聖闘士の連中が怒るぞ。」
暗黒ペガサス「俺達は裏切りの聖闘士だろうが。やってもいいんじゃないのか？」
暗黒アンドロメダ「それで実力が伴ってればいいけど、俺達一度負けてるからな。あの世に送られるのがオチだ。」
暗黒ドラゴン「とはいっても、デスクイーン島に農業の他にやれるものはないしな。」


貧乏なデスクイーン島、女子は小麦粉三袋のこの地域では、慢性的に貧乏であった。ま、誰もが知ってることで誰も驚きはしないだろうが。




イオ「クソ暑い・・・・・・」
バイアン「本当だな。」
灼熱の島を練り歩く、救世主が二人歩いていた。
イオ「本当に暑い。カメラ壊れないだろうか。」
バイアン「レンズがどうかならないようにすることだな。」
とぼとぼと、デスクイーン島を歩いていた。地獄の島であるが、デスクイーン島には、人がいないわけではない。買われた少女だけでなく、普通の少女や少年やおっさん、おばさん、兄ちゃん、姉ちゃん、妊婦、爺、婆、美人、ブスと何でも揃っている。
イオ「・・・・・・・・・・・・」

カシャカシャカシャ

何時の間にか写真を撮っていたイオであった。
バイアン「一体何を撮ってるんだ？」
イオ「島の少年少女達。あいつらの顔を見ろ。学校にも碌に行ってない、いかにもバカそうな子供ではないか。」
バイアン「失礼だぞ。」
イオ「別に悪い意味で言ってるんじゃない。学校に行ってないと言う事は自由と言う事ではないか。学校がないから親とか隣家が協力し合って教育する。今、この世界にはない、大切なことではないか。」
バイアン「・・・・・・そうだな。日本とか特にな。」
イオ「笑顔も自然で子供らしい笑顔だ。こういう平和な写真は、見ていて幸せだろう？」
バイアン「戦争の写真よりは、良いな。平和で幸せで見ていてほのぼのとするな。」
イオ「だが、定期購読を狙える感じではない。」
バイアン「確かにな〜〜素材としては悪くはないがな〜〜」
イオ「リゾート地でもないしな。」
バイアン「リゾートのリの字もでない劣悪所だぞ。」
イオ「う〜ん、写真集ではない売りかたはないだろうか・・・・・」
バイアン「とりあえず、村を見てまわろう。」
二人は村長に許可をもらい、村を歩き回るのだった。


暗黒ペガサス「なあ！」
暗黒ドラゴン「どうかしたか？」
暗黒ペガサス「村に何か来たらしいよ。」
暗黒ドラゴン「アテナか？聖闘士か？」
暗黒ペガサス「どうやら、カメラマンらしいよ。」
暗黒ドラゴン「カメラマン？どういうことだ？」
暗黒ペガサス「わかんねえ。」
暗黒アンドロメダ「あれじゃん、今日村で祭があるからそれを撮りに来たんじゃないか？」
暗黒スワン「こんな無名のところのか・・・・？」
暗黒アンドロメダ「だから、行ってみようぜ。」
暗黒ドラゴン「・・・・・・そうだな。行こうか。」
四人は、こうして、運命にひかれて、海闘士の元まで行くのだった。


イオ「お！いいね、その顔、超良い感じｖｖｖ」
島の子の写真をパシャパシャとっていた。
バイアン「なるほど、この島では食糧が・・・・・・」
バイアンは、止められないイオは眼の端に留めておくだけにして、島の人と交流をしていた。午後七時、村中の人達が集まり始めた。
バイアン「村長、これから何か始まるのですか？」
村長「デスクイーン島伝統の祭ですじゃ。」
バイアン「祭？」
村長「昔は火山の噴火を神の怒りと考えていたからでしょうな、神に忠誠の意志を伝えるために踊り、歌い、奏でるのです。」
バイアン「ほう。」
村長「よろしかったら見ていってください。」

〜〜〜〜〜♪

イオ「ぬ！」
バイアン「むう！」
ピッポッパとイオが携帯に電話をかける。当然彼である。
イオ「クリシュナ！クリシュナ！」
クリシュナ「なんだ騒々しい。今オルフェのテレビ収録中なんだ。」
イオ「すげえ金の卵みつけた！」
クリシュナ「ほう、どんな。」
イオ「これ聞けこれ！静かに耳をすませよ！」

・ ・・・・・・・・。

クリシュナ「おお！なんと素晴らしい演奏と声なんだ。」
イオ「だろう？長い間隔絶した生活を行っていた為オーストラリア的進化を遂げている。演奏にしても東洋的でも西洋的もない、まさにデスクイーン島のもの！楽器も他のものとは変わってるしな。どうだ？お前のところに所属できないか。」
クリシュナ「これは金の鳥に化けるかもしれん。是非有望な者をスカウトしておいてくれ。」

ピッ。

イオ「来た！来たぞバイアン。デスクイーン島はこれで救われる！」

演奏後。
村長「いかがでしたか？客人。」
バイアン「実によかった。」
イオ「最高だった。」
村長「そうですか。それはよかったですじゃ。」
イオ「本当めでたいな。これで飢える事もなくなるからな。」
村長「・・・・・は？何をおっしゃってるのですじゃ？」
バイアン「私達、スカウトマンなんです。」
村長「それがどのような・・・・？」
イオ「村人をスカウトさせていただきたい。」
村長「スカウト！？」
バイアン「あなたがたは外部との接触を断っているから実力がわかっておられない。あなたがたの演奏には癒しの力がある。」
村長「・・・・・癒しですか？」
イオ「この演奏ならば、メジャーデビューも可能だ。」
暗黒ペガサス「あんたら、何してんだ？」
四人の登場である。
イオ「私達は、モデルを探す為に遥か海底からやってきたイオとバイアンだ。」
暗黒ペガサス「俺達は暗黒聖闘士だ。」
バイアン「おお！君達があの！」
暗黒アンドロメダ「で、あんたら何しに来たわけ？」

かくかくしかじかまるまるうまうま。

暗黒ドラゴン「ほお〜〜それはすごいな。」
暗黒アンドロメダ「平凡な歌と踊りと演奏だと思っていたんだがな。」

わずかの文字数で理解度100。ラクチンだ。

イオ「あんたらを当初はスカウトしに来たんだ。」
バイアン「新たな輝ける星に出会えたのはラッキーだった。」
暗黒スワン「俺達はいらないってか？」
イオ「何をバカな。これだけ美形なのだ。使わない手はあるまい。」
暗黒アンドロメダ「どうするつもりだ？」
イオ「モデルを・・・・と思っていたが、気が変わった。四人のメインボーカルにこの村人のバックコーラスと演奏を加えたグループを結成したい。」
バイアン「クリシュナの手腕にかかれば、こんなに売りどころのあるグループをメジャーにすることなんてハエを殺す並に簡単だ。どうだ？」

とんでもない提案に、四天王は顔を見合わせた。そして、こそこそと話し合いをする。

暗黒ペガサス「なんか、メチャ変な話だぜ。俺達、アイドルだってさ。」
暗黒スワン「ポセイドンの為にって俺達関係ないじゃん。」
暗黒アンドロメダ「しかし、メジャーデビューできるかもってことは金が沢山入るってことだろ？ん？単位はいくつだろ。なあ、売り上げの単位は何だ？」
バイアン「ドルだぞ！」
暗黒アンドロメダ「ど、どどどどどどドル!!?」
思わずスクラッチした暗黒アンドロメダだった。

暗黒アンドロメダ「おい！ドルだってよ！」
暗黒ペガサス「一ドルで小麦粉八袋も買えるんだぜ！百ドルもあれば、一年間食べていけるぜ。」
暗黒ドラゴン「一体いくら貰えるのか・・・・・・」
貰えるお金が気になって、暗黒ドラゴンが尋ねる。
暗黒ドラゴン「なあ幾らくらいもらえるんだ？」
バイアン「そうだなあ・・・・・・・クリシュナの手腕次第だからなんとも言えないけど・・・・・・・3000ドルくらいは固いかな・・・・・・」
暗黒ドラゴン「さ・・・・・・・・3000ドル!!!」
思わず声が裏返った暗黒ドラゴンだった。

暗黒ドラゴン「3000ドルって・・・・・・・3000ドルだぞ！」
暗黒スワン「もうやるしかない！」
暗黒アンドロメダ「貧乏生活ともおさらばだ！」


暗黒四天王「やる!!」
イオ「それは何より。」
バイアン「まずは太ってもらわないとな。栄養失調で見た目が。」
イオ「割りと美人が多いな。買われる女というのはやはり美人ということか。」
バイアン「食糧を海底から調達してくるから、待っててくれ。」
暗黒ペガサス「末永くよろしゅうに。」
固く手を握るイオと代表の暗黒ペガサス。こうして、契約は見事結ばれたのだった。島の人間全てが契約タレントとは、なんとスケールのでかいことか。



金の繋がりは縁の繋がりであった。









アイザック「本当、お疲れさん。」
カーサ「よくやったよ。」
仕事を終え、海底に戻ってきたバイアンを仲間が厚く迎える。バイアンは、デスクイーン島の様子を事細かに離した。
アイザック「写真集が新たに作られるな。題名は？」
バイアン「いや、今回は所属タレントとしてスカウトしてきた。」
アイザック「へえ。それはまた金の卵だな。」
バイアン「島の人達と相談してグループ名はフェニックスとなった。」
カーサ「・・・・・・あいつかよ。」
バイアン「お前あいつ苦手だったな、そういえば。」
カーサ「しかし、あいつの仕事中毒酷くなる一方だな。入院して戻ってきた途端これじゃ後々どうなるか・・・・・・」
アイザック「ああ。このまま仕事すると、また倒れてしまうぞ。」
カーサ「ったく、どうしてそこまで仕事したがるかな！あいつまだ全然若いのに。」
アイザック「仕事の神に見初められたとしか思えない。」
バイアン「イオ専用の医師が欲しいな・・・・・・・」
カーサ「そっちも検討してみるか・・・・・」
モデルでもタレントでもなく医師。仕事中毒イオに必要な医師もスカウトしたいものだと心から思った三人であった。



あとがき
これでほぼ全部の闘士をおさえたことになりますね！島ごとタレントにしてしまうとはなんとスケールの大きい。かくかくしかじかまるまるうまうまというのは、大昔の天●テレビくんの探偵アニメの探偵さんがよく使っていた言葉です。アリス探偵局ってタイトルだったような気がします。おぼろげなので合ってないかも。イオのワーカーホリックもどんどん進んでいますねえ。困った困った。困るなら休ませてやれって叫びが聞こえてきそうなので退散しま〜す。

全然困ってなんかねえ・・あの女。BYバイアン他。



BYMUTUMI