台風がきた後には

超巨大ハリケーンは猛威をふるい、ギリシャを荒らし尽くして熱帯低気圧に変わった。モチロン、聖域も例外ではない。ただ、テレビにその情報がうつることはなく、行方不明者がでたとしても捜索してもらえないのだが。今日一日は聖域復旧作業におわれていた。

アフロディーテ「サガ。」
サガ「なんだ？」
アフロディーテ「どうしてちゃんと対策をとってくれなかったんだ！」


しょっぱな文句である。


アフロディーテ「君ほどの者ならこのような事態がおこると予想はついただろうに！」
サガ「はは、私の計画と、君らの脳内次元の食い違いさえなければこのような事態はおこらなかっただろうな。」



まったくもって事実である。


アフロディーテ「私のバラが見るも無残な姿になってしまった。賠償請求する。」
サガ「誰に。」
アフロディーテ「モチロン君に。」
サガ「バカなことはいうな！宮が崩れたとか、掃除の代金などはトップとしての責任を持って私が弁償、支払うが、アフロディーテのは趣味だろう！趣味は私の管轄ではない。」
さらりとトップだと匂わせるサガ。やはりトップ好きなのである。
シャカ「私の沙羅双樹の園も弁償してくれないのかね。」
サガ「当然だ！あれの管理はお前だろう。私はノータッチだ。」
シャカ「ふ、嫌なことから逃げるのだけは得意な男だからな。君の人格に、世話好きで、優しくて、お人好しの日和見バカはいないのかね。」
サガ「お前の人格に慈悲深くて思いやり溢れる人間味をおびた人格はないのか。」
シャカ「ない。私は私だ。」
サガ「何が我思うゆえに我ありだ。」

哲学を追求するは、人によって考え方は違うが基本的にどこかイッちゃっている。
例・「神は死んだ　byニーチェ」

恐らく、凡人ではありえないだろう。
シャカと同じ種族、人類規格外の人間達に違いない。

シャカ「しかたない。弁償してくれないというのなら、これをひきとってくれ。」
サガ「なんだ、この泥にまみれた布切れは。」
シャカ「昨日からバンバンやっていてはっきりいって迷惑だ。」
サガ「・・・・これは・・・・パンツ？」
ミロ「ああ！それ俺のだ！」
サガ「ミロのか？」
ミロ「おう！ほら、ここに名前が！」
泥泥の布から名前をみつけだすミロ。

どうでもいいが、20にもなって下着に名前を書くのはどうなのだろう・・・・しかも平仮名。

ミロ「いや〜〜服なくなっちゃってさ！困ってたんだよね。」
カミュ「・・・・お前、もしかしてまた外に洗濯物だしっぱなしのままだったのか？」
ミロ「うん！ほら、雨降らないうちに干しとこうと思ってそのままうっかり忘れて！」
カミュ「聖衣は？」
ミロ「あるよ。腕。」
カミュ「パーツじゃなくて。」
ミロ「ヘッドギアもあるよ。」
カミュ「まさか・・・・・・」












ミロ「そのまさか！一緒にどこか飛んでっちゃった！ただいま捜索中！」


もはや怒る気もおこらない。
はぁ〜〜〜〜っとため息をついたカミュだった。

サガ「で、デスマスクとシュラはどうした。」
アルデバラン「どうも、飛行機がとまって、列車がなくて帰れないそうだ。」
サガ「なにしにいったんだ。」
アルデバラン「飲みにだろう。」
サガ「・・・・・どこまで行ったんだ。ロドリオ村にもあるだろう、酒場。」
アルデバラン「ボージョレヌーボーを飲みにいったそうだ。」
サガ「・・・・まだ十月だろ。ボージョレヌーボーの解禁日は十一月の第三木曜日だ。」
アルデバラン「俺もくわしくはわからないが、アメリカ経由ギリシャ輸入のスティルタイプだそうだ。」
サガ「限りなく危ない代物だな。」

アイオリア「そんなことはない！」

どうまかり間違って育てばそんなスポーツ漫画のような熱血になるのか皆目見当もつかないが、一体誰をかばうつもりなのか、アイオリアが強く反論を開始した。
アイオリア「アメリカ経由だろうと南極経由だろうと、輸入されたということは正式な商品だ！それを疑うなんて失礼だろ！」


だから誰に・・・・？


サガ「禁止されていなくてワインが本物ならそれはそうなのだが、世の中パチ物が横行したり、発禁の物を輸入したりすることがあるんだぞ。」
アフロディーテ「発禁物はアイオリアには無縁だろうけど。魔鈴以外には無反応そうだからね。その魔鈴にもまともなことできてないけど。」
アイオリア「騙さなければ別にかまわない！正々堂々とすれば！」
サガ「それも・・・・麻薬なんかは正々堂々してる人多いぞ。」
アイオリア「あれは正々堂々ではない！酒瓶に隠したり姑息な手を使う。麻薬を運ぶならば、粉のみをボストンバックにいれてふりまわしながらいくくらいして欲しい。」

もしアイオリアが運び屋ならば、中身はなんですか？と尋ねられたら迷うことなく
『麻薬だ』と答えることだろう。世界一むかない職業犯罪である。

ミロ「そういえば、アイオリアは宮は大丈夫か？」
アイオリア「だめだ。宮は水浸しだ。」
ミロ「そうか、大変だな。」
アイオリア「がんばって抗ったのだが、自然にはやはり勝てなかった。こうなると惨めなピエロだ。」
カミュ「素直に負けを認めるのだな。」
アイオリア「潔く負けを認めるのも男らしさだろう。」
シャカ「ほう、ではミミズにしてやられたことも認めたまえ！」
アイオリア「誰がするか！あれはしてやられても負けてもいない！」
どうもよっぽどミミズに不覚をとったのが屈辱らしい。
サガ「じゃあ、宮の修復料金は後で領収書をくれ。払うぞ。」
アイオリア「それはいい。」
サガ「なに？」
アイオリア「俺の実力がたらないばかりに、宮を守りきれなかった。これは俺の甘さからでたこと。」
サガ「自腹切るのか？」
アイオリア「いや、修復しない。」
サガ「なにぃ！？」
アイオリア「自分の未熟さをしらしめるにはいい機会だ。天井がちょっとくずれてるが、家具も水浸しで使えたものじゃないが、俺を一から鍛えなおすと思うといい薬だ。」





いい毒になるような気がするが。

サガ「ん、じゃあ一種のバカを除いて、修復料金領収書をアフロディーテ、カミュとミロ（『と』がつくのはカミュが連名で書いたから）、シャカ、アルデバランからうけとっておくぞ。老師とアイオロスはトップの私が修復しておいた。デスマスクとシュラは義理もなにもないので放置。事後受諾ということに。で、ムウは？」
ムウ「ここにあります。」
サガ「ああ・・・・・・・・・百万ドラクマだと！？」
普通に修復したところ五万ドラクマが相場だと思われる。
サガ「こ、これは・・・・・？」
ムウ「ああ、白羊宮は作りがぼろくて、ぼろぼろ壊れましてね。金額がちょっと高めなんです。」
サガ「高めって・・・・高すぎだろ！少しは節約しろ！お前の特技だろ！」
ムウ「こういうときにトップを利用しないでどうするんです。トップの責任とやらを120％発揮してください。」
サガ「う・・・・・・」
トップ好きの彼に、その言葉は弱い。
シャカ「それでは、宮の中の君の最愛の金儲けの道具も無残なのだな。」
ムウ「まさか。命よりも大切なものをむざむざやられてたまるものですか。」
シャカ「そのセリフを今ここで使うのかね君は。」
ムウ「勿論アテナは大切ですよ。なんたって、落下を知らないグラード財団株のオーナーさんですから。」
サガ「ったく。お前らしい。それじゃ、処理しておくから。」
ムウ「あ、処理した書類は私にまわしてください。」
サガ「どういうことだ。金勘定し終わったものは得とか損とか関係ないだろう？」
ムウ「私のだけでいいんです。」
サガ「どういうことだ？」










ムウ「災害保険がおりるのに必要なんです。」






沈黙。

アルデバラン「なんだそれは。」
ムウ「災害が起きた時に保障してくれる保険です。」
カミュ「いつはいったんだ？」
ムウ「二週間くらい前ですね。」
シャカ「完全にハリケーン狙いだな。君、実はハリケーン乞いしていただろ。」
ムウ「そんな非科学的なこと。」
ミロ「ってことは、ムウはただで宮を直して、なおかつお金もらえるわけ？」
サガ「そうなるらしいな。」

災害までも金儲けの肥やしにしてしまう。
金儲けだけはトップを譲ると思ったサガなのだった。



あとがき
なんとかこっちのほうは被害をうけずにすみました。が、あまりいいことはなかった。車ではねた水がばしゃあっとかかって寒くて死ぬかと思いましたよ。被害が甚大な地域ははやく復興するといいですね。災害保険ってあるんでしょうか。桃電にはあります。PCエンジンの頃からファンで今も所持してるんですが、いいですね、やっぱ災害保険カードは。九州の物件を所有するなら買いです。何せ桜島だ、阿蘇だ、台風だと被害が大きいですから。はやく晴れてくれないかなあ。私雨の日は眠くなるんです。昔からそういう体質だったらしく、小さい時はお昼寝3時間平気でしたそうです。


BY　MUTUMI