想いで変わる、キミだけのサンタ

星矢「真っ赤なお鼻のトナカイさんは〜いっつもみんなの〜笑いもの〜」

クリスマスももう目の前。城戸邸ではクリスマスデコレーションを始めていた。クリスマスツリーを飾り、窓には白く柔らかなモールをつける。

瞬「ごきげんだね、星矢」
星矢「だって、クリスマスだぜクリスマス！！サンタからプレゼントもらえるんだぜ〜！」
瞬「うん、そうだね」
星矢「俺、ずっとギリシャにいたじゃん。だから、サンタが来てくれなくてさ。でも、今は日本じゃん！だから、絶対来てくれる！！」
瞬「・・・ちょっと待って星矢。それはどういう意味？」
星矢「お前だって、サンタ来なかっただろ？アンドロメダ島だから。魔鈴さんがさ、俺は日本人だから、日本にいないと来ないって言うからさ〜！」
瞬「・・・魔鈴さん・・・」

思わず額に手を当てた。未成年といえど、発想が大人顔負けの汚さである。

星矢「氷河、お前はサンタ来ただろ」
氷河「来た」
星矢「いーなー。トナカイ乗ってくるんだよな〜」
氷河「いや、俺のところには白鳥に乗ってきた」
星矢｢白鳥！？｣
氷河「ああ。何百羽もの白鳥が、サンタを運んできた」
瞬「何百羽・・・すごいね。軽く鬼太郎だね」
紫龍「で、その身を張ったサンタって誰なんだ一体・・・」
氷河「そう言えば、赤い髪をしてた」



・・・・カミュだ・・・。


瞬「偉い・・・偉すぎるよ・・・子供の夢を守るために、そんなことまでして」
紫龍「俺も、老師には随分と心を砕いて頂いた」
瞬「ああ、老師は、存在そのものがサンタみたいだもんね。ちょっと着替えればサンタになれるよね」
紫龍「ああ、だが、サンタになってる間、老師はいないことになるだろう？春麗が、老師がいないってパニックになってな。大捜索することになったんだ」
瞬「それはそれは・・・」
紫龍「なごやかなパーティが一転して、恐怖と戦慄のパーティに変わってな。俺は途中からサンタが老師ってことに気づいたんだが、春麗はサンタから離れないし、大泣きするし、本当なだめるのが大変だった」
瞬「それで、事態はうまく収まったの？」
紫龍「ああ。老師が春麗の首に手刀を叩き込んでな」
瞬「それ、全然根本的な解決になってないじゃない・・・！」
紫龍「でも、そのおかげで春麗は今もサンタを信じてるんだ」
瞬「すごい・・・！信じてるんだ・・・！！」
紫龍「さっきから思ってたが、瞬はもうサンタの真実に気づいてるみたいだな」
瞬「まあ・・・ね。小さい頃は信じてたけど、アンドロメダ島でレダやスピカがいろいろ吹きこんでくれたからね。紫龍も？」
紫龍「俺は城戸邸に引き取られた頃にはもう信じてなかったけどな。俺にくれる人は誰もいなかったからな」
瞬「・・・そっか・・・・・」
紫龍「別に欲しかったのは物じゃないから気にしてない。本当に欲しかったのは、五老峰で手に入れたし」
瞬「・・・うん、そうだね」
紫龍「星矢を見てると、まだまだ夢を見ててもいいかなって思えるし」

幸せそうに笑うと、紫龍は天井の飾り付けに移っていた星矢へと歩み寄った。

紫龍「おい、星矢。サンタに願い事を書いた紙を靴下にいれたか？それをいれないとサンタが何を贈ればいいか迷ってしまうぞ」
星矢「げげ！マジ！？日本ではそういう決まりなのか！！どうしよう〜俺、ギリシャにいて、決まりが全然わかんねえ。紫龍、教えてくれ〜！！」
氷河「俺の故郷では、サンタから電話が来ることになってた。女の人だったり、男の人だったりしたな」
星矢「そ、そうなのか。ロシアは電話制なんだな。中国ではどうなんだ？」
紫龍「うーん、そうだな。中国では・・・手紙制かな」
星矢「なるほどな！瞬、お前のとこはどうなんだ〜？」

明るく無垢な笑顔を向ける星矢。瞬は、敵わないや・・・とばかりに一つため息をつくと、満面の笑顔で星矢の元へ駆け寄っていった。

瞬「アンドロメダ島では、砂漠にお願いを書いた紙を埋めとくと、ヒュルヒュルってツルが伸びて天にいるサンタに届くって言われてるよっ！」


サンタを信じてる全ての人に、無限の数のサンタを――――。
あなたに幸せなメリークリスマスを・・・！




あとがき
メリークリスマス！！
今年はブロンズくんたちです★
黄金や他の闘士たちが出張ってますが、ここは基本的には青銅サイトなのですよっ！！ここは譲らないんだからねっｖｖ
サイトのトップが青銅以外になったことないのは、そーゆー理由だからなんだいっ（笑）
うちは高校生までサンタが来てました。サンタのことは知ってましたけど、あのもらえるワクワク感が好きで★
仕事柄、サンタを本気で信じている子がいるんですが、この夢って素晴らしい夢だな〜と思います。愛情と慈しみの結晶だな〜って。ですからね、ワタクシは決して言いませんよ。サンタさんはママかパパだなんて。

それに、幽霊がいるというなら、サンタだって本当にいるかもしれませんしねっ！

皆さんに、幸せなクリスマスを・・・！！


ＢＹ　ＭＵＴＵＭＩ