ペガサス星矢の謎


某有名探偵アニメをみんなで見ていたときのこと。

はじめ『美雪！！お前は先にいけ！！』
美雪『はじめちゃん！！』

不意に瞬が言った。

瞬「そういえば、星矢は女の子を呼び捨てにしないね」
星矢「そりゃまあな。」
瞬「なんで？」
星矢「なんで・・・って・・・。呼び捨てにするなんて失礼だろ。お前だって、ジュネさんを呼び捨てにできるか？」
瞬「できるわけないじゃない。僕が小さい頃からお世話になってる人なんだよ？そんな失礼な真似できないよ」
星矢「ほら、お前だってそうじゃん。俺だって、魔鈴さんやシャイナさんを呼び捨てにしたら・・・・・殺される！！」
瞬「殺されるというより、あっさり見放されそうだよね」
紫龍「スターヒルに置き去りとかな」


星矢「ありえるーーーーーーー！！スターヒルなら師弟そろって経験あるし！！」

氷河「お前は登ってないだろ」
星矢「でも、降りてきたから！！登山は登るのばっかりに注目されるけど、降りるのはもっと神経使うから！！」
瞬「話がそれたけど、師匠には呼び捨てできないのは礼儀だとして、美穂さんや沙織さんは？沙織さんはちょっと微妙なとこあるけど、美穂さんは幼なじみでしょ？」
星矢「え・・・・・」
氷河「確かにな。ファーストネームを呼び捨てるのには何の問題もないな」
星矢「いや、でも・・・恥ずかしいし・・・。紫龍、お前はどうして春麗さんのこと呼び捨てにできるんだ？」
紫龍「どうしてって言っても・・・ごく自然に呼んでたから・・・。恐らく、俺が今、春麗ちゃんって言ったら、逆に何かあったんじゃないかって勘ぐられる」
瞬「それは言える・・・。紫龍の『春麗ちゃん』は全く想像がつかないよ」
氷河「一輝、お前もエスメラルダさんを呼び捨ててるな」
一輝「俺がちゃん付けなど、そんな惰弱な呼び方すると思うか？」
瞬「・・・ないね。ありえないね・・・。兄さん、向かうところ敵なしだもんね」
星矢「あっ！！わかった！！女の子をちゃん付けで呼ぶ場合、ヒロインも君とかちゃんで呼んでる！！」
瞬「そうかな・・・？」


新一『ら―――――ん！』
蘭『新一―――――！！』


氷河「違うようだな」
一輝「ここも煮え切らないカップルだな。さっさとくっつけばいいのに」
瞬「星矢と沙織さんだって、２０年以上くっつけないでいるんだから、僕達が言える資格なんかないでしょ」
一輝「それもそうだな。派生に頼ってるようじゃダメだな」
星矢「ちょ、俺の恋バナはどうでもいいから！！」
氷河「そうか？期待してる読者もいると思うが」
星矢「マーマ言い続けるお前ほどは期待されてないと思う」
一輝「くっ、確かにな」
氷河「人のこと笑えないだろ。年がら年中瞬のピンチに駆けつけておいて」
一輝「Ωでは耐えた」

氷河「最終的には耐えられてなかっただろ」

星矢「恋バナはともかく、俺は女性を呼び捨てにするのなんて無理！！呼び捨てたら、まるで、俺が偉いみたいじゃん」
瞬「それはあるね。星矢って女性に偉く見せようとか、そういう男のくだらないプライドって持ってないよね」
星矢「そりゃそうさ。そんなもん持ってたって、何の腹の足しにもなんねえし。おい、お前！なんて、品がないと思わねえ？」
氷河「お嬢さんのこと、あんたって呼んでたことがあったぞ？」
星矢「そ、それは、お嬢さんのことが気に入らなかったからで・・・。今はそんなこと言わないぜ！」
瞬「星矢は、仲良くなればなるほど、その人を立てるタイプなのかな」
星矢「お前が顕著だろ。敵でも二人称があなただぜ？俺､そこまではしない」
瞬「うーん、そうだね。誰に対しても、お前とかは呼べないなあ。そう呼んで傷ついたらって思うとイヤだから」
星矢「敵は、そんなことより、お前に情けをかけられて傷ついてると思うぞ？」
瞬「それはそれ。これはこれだよ」
氷河「俺も、マーマに向けて、クソババアとかは絶対呼べない」
星矢「・・・だろうよ」
紫龍「俺も春麗にお前とは呼べないな。一輝もそうだろ？」
一輝「・・・・・・むぅ・・・」
紫龍「俺らは孤児で、人から無条件に愛されるということが少なかった。だから、人との繋がりを何より大切に思っている。その心の現れが、呼び捨てにできなかったりするんだろう」
星矢「なるほど！！さすが紫龍！！」
紫龍「お前は特にお姉さんを探していたからな。この世で最も大切な女性の１人といっても過言じゃないだろう。女性を無碍にできないのは当然だと言える」
星矢「おお！！その通りだぜ、紫龍！！」


美雪『はじめちゃんのバカ―――！！』
はじめ『美雪―――！』

氷河「じゃあ、あいつらは大切にしてないのか？」
紫龍「いや、油断してるんだろ。何したって嫌われることないって思ってるんじゃないか？」
一輝「幼なじみにありがちな思い込みだな。そうか、だから、あいつに惚れる女が山のようにでてくるんだな」
氷河「ヒロインに惚れる男も結構でてくるしな。あのヒロイン、本当にいいか？マーマの１０分の１の品性もないが」
星矢「お前、どこまでマーマ基準なんだよ・・・」

蘭『新一のバカ・・・』
コナン『蘭・・・』

星矢「こっちは？新一、蘭以外にもててないけど」
一輝「意外と園子が周囲を牽制してるからな。あいつらに他の男女が近寄ってこないのは、園子の影響が強いと思うぞ」
瞬「確かに・・・。蘭の友達、園子以外見たことない・・・。そういえば、美雪にはレギュラーな女友達いないし・・・」
星矢「恋愛って難しいんだな。シャイナさんみたいに、素顔見られたら、愛するか殺すかくらいキッパリしてた方が楽だな」
瞬「それ決断するまで、本人はやたら悩んでたし、吹っ切った後は健気すぎるくらいなんだけどね・・・。外野にはわかっても、当事者には分からないんだな・・・」

沙織「あら、楽しそうですね。皆さん」
美穂「こんばんは、星矢ちゃん！」

星矢「あ！！美穂ちゃん！！沙織さん！！どうしたの、２人で！！」
沙織「美穂さんから、美味しいブドウを頂いたの。それで、今、シェフにタルトを焼いてもらってるから、よかったら一緒にどうかなと思って」
美穂「今年も星の子学園にブドウがたくさん届いたの。星矢ちゃんも覚えてるでしょう？園長のお友達の方の」
星矢「ああ、覚えてる覚えてる！！タルト美味そう！！行く行く！！」
沙織「皆さんも来るでしょう？」
瞬「ええ、お邪魔させて頂きます」
沙織「よかった。じゃあ、一緒に来てください」

星矢を真中にして、一緒に歩き出す美穂と沙織。
その後姿を見ながら、瞬がぽつっと呟いた。

瞬「立場とか、性格とか全部ひっくるめて、呼び方変えてるのってすごいなあって今思っちゃったよ」
氷河「俺も今そう思った。あいつ、完全無意識だよな」
瞬「美穂さんって聖闘士の世界じゃ、完全に部外者だもんね。その美穂さんには、他の誰も呼んでない『ちゃん』で呼んで特別感を出す。すごい高等技術だね」
紫龍「お嬢さんは、女神であって総帥で生粋の令嬢だ。その令嬢のプライドを上手に保てる『さん』呼び」
氷河「よく考えれば、シャイナさんはともかく、魔鈴さんを『先生』って一度も呼んだことないのっておかしくないか？俺だって、我が師って敬称つけるのに」

紫龍「俺が、老師のことを『童虎さん』って呼ぶようなものだな・・・」

瞬「星矢だと軽やかにスルーしてたけど、ありえないおかしさだね」
一輝「黄金にはタメぐち聞き放題で、差別的発言もやたら多い。あいつの価値基準がわからんな。ほら、とりあえず行くぞ。遅れるとお嬢の機嫌が悪くなる」

ペガサス星矢。彼にはまだまだ不思議と秘密が隠されているようである―――。



あとがき
季節ネタでもなんでもありませんが！！
聖闘士星矢って、結構女性を立てる漫画だよなあって思って書いてみました。
星矢が魔鈴さんを、先生って呼ばないのはなんでですかね・・・。
書いてて一番気になりました（笑）

BY　　MUTUMI