コマッタなユタカな十二宮戦！後編
人馬宮
星矢「ミロ・・・号泣しながら上に駆け上がっていったけど・・・どこに行ったんだろうな」
氷河「十中八九、カミュのところだろうな」
星矢「お前、反省しとけよ。俺たち全身凍傷なんだからな」
氷河「一輝を下から連れてくるか？そうしたら凍傷も治るだろ」
瞬「あのね、そうしたら今度は全身火傷だよ。凍傷って、凍えてるレベル超えてるんだからね。あったかくしたら治るってことじゃないんだから。こんな時に兄さん連れてこられたら、とても人様には言えないレベルでホラー漫画行きだよ」
紫龍「後で春麗に薬を作ってもらおう・・・」
星矢「いいな！紫龍、俺も行っていい？」
瞬「星矢！せっかくのラブラブ空間に水をさすなんて野暮だよ」
星矢「あ、そっか！！」
瞬「早く治るおまじないよ、とか言って、薬草にキスとかするんだよね？」
星矢「痛いの痛いの飛んでけ〜とか言ってくれるんだよな、きっと！姉さんみたいに！」
氷河「きっと服もナース服に違いないな」
紫龍「ちょっと、お前ら、春麗を何だと思ってる。春麗がそんな治療をするわけないだろう！特に氷河！治療にコスプレが必要なわけないだろ」
氷河「コスプレ萌えしないのか？」
紫龍「するわけないだろう！」
星矢「なあ、そんな治療をするわけないなら、どんな治療をしてくれるんだ？」
紫龍「薬を練って、塗ってくれるだけだが」
瞬「ほんとに？本当にそれだけ？」
紫龍「・・・・・・・・・・ああ」
氷河「間が空いたな。これはきっと何かあるぞ」
星矢「ようっし！魔鈴さんに頼んでアステリオン連れてこよう！」
紫龍「おい、ちょっと待て！！人馬宮攻略はどうするんだっ！！」
瞬「君に任せるよ！大丈夫、良くてアスレチック、悪くて矢で串刺し！」
紫龍「ちっとも大丈夫じゃない〜！！」
磨羯宮
シュラ「紫龍が一人ボロボロなのは、そういう理由か」
心身ともにボロボロな紫龍を見て、同情の眼差しで言った。
紫龍「アスレチックのタイトルがサスケになってて、時間オーバーすると黄金の矢がやってくるし、クリアしたら星矢達がアステリオン連れてくるし・・・彼女がいるだけでどうしてこんな目にあわないといけないんだ・・・」
氷河「彼女がいるからだろう。俺なんて、公式でそれらしい人いないんだぞ」
星矢「いるじゃん！フレアさん！」
氷河「馬鹿！！フレアと恋愛しようものなら、間違いなく暴れ馬がやってくるわ！！」
ゾクッ！！
星矢「・・・今、究極的に寒気がしたが・・・」
瞬「ハーゲンが、フレアさんを呼び捨てにするなっていう警告じゃないの？」
氷河「俺はフレア・・・さんには全く興味ないのに・・・」
ゾクゾクッ！！
シュラ「おい！聖衣が凍りつき始めたぞ！」
瞬「呼び捨ても嫌だけど、まったく眼中にないのもムカツクってこと・・・？本当恋に狂う男は困るよね」
星矢「お前、もうフレアさんの話題出すな！迷惑だ！」
氷河「話題振ったのはお前だぞ・・・」
紫龍「それで、シュラ。あなたの課題は何なんだ？」
シュラ「俺か？俺の課題は光速でエクスカリバーを受け止める事」
星矢「失敗したら？」
シュラ「死ぬ」
星矢「あっさり言うなよ、そんなことーーー！！」
シュラ「聖闘士ならば、それくらいの覚悟を常に持っているべきだ」
星矢「戦いの中なら分かるけど、これ、一応は『納涼夏祭り』なんだぞ！遊びで死んでたまるか！」
シュラ「限りなく実戦に近い遊びだ。十二宮戦だろう？」
瞬「お嬢さん的には、暇つぶし以外の何物でもないと思うよ。遊びで手駒なくしていいわけ？」
シュラ「むぅ・・・じゃあ、紫龍もいることだし、大気圏から燃え尽きずに生きて帰れるかっていう方にするか？」
瞬「あなた、完全に僕達殺す気でしょ。大気圏から生身で落ちて生きて帰れるわけないでしょうが！」
シュラ「黄金聖衣着てれば平気だ」
瞬「一つしかないでしょう。二人であがったらどっちかが死にますよ」
シュラ「死なないさ。魂はそいつの体に宿るのだからな」
星矢「俺の体に三つも四つも魂宿ったら困るって！レストランで飯食う時、意見が割れるじゃん！」
瞬「星矢、その例えもどうかしてるよ。わかった。光速真剣白羽取りやりましょう。そっちの方が幾分かマシです」
シュラ「いい覚悟だ。その覚悟に敬意を表して本気でやろう！」
普通は手を抜くんだ！！！
青銅聖闘士は後に語った。あれほど集中力を使ったものはないと。
宝瓶宮
氷河「我が師に会える・・・！」
瞬「いつも会ってるじゃない」
星矢「氷河とカミュって仲いいよな。俺と魔鈴さんなんて、涙一つないしな」
瞬「魔鈴さんは表立って何かをする人じゃないからだよ。影ではすごく助けてるじゃない」
星矢「そうだ・・・アフロディーテの薔薇からも助けてくれたし、スターヒルにも登ってくれた。アスガルドにも忍びこんでくれた。あの魔鈴さんがアメジストの三下に負けたのは今でも信じられないけど」
瞬「きっと時差ボケだよ。でなければ、魔鈴さんが負けるわけがないよ」
星矢「そうだな、きっと時差ボケだ」
氷河「アメジストが作れるなら、宝石で栄える国になるはずなんだがな」
紫龍「アメジストはそれほどすごい宝石ではないからな。ルビーやダイヤなら価値がでただろう」
瞬「つまり、戦士としても三下、宝石も三下なんだね」
星矢「つか、あいつのことなんかどうでもよくね？早く宝瓶宮に入ろうぜ」
瞬「君、さっきから自分から話題振って自分で終わらせてるよね。もう少し考えてから発言してよ」
カミュ「良く来た、氷河よ」
氷河「我が師！！」
カミュ「よくここまで来たな。ミロが大泣きしてきた時は、ああ、お前も成長したなと思った」
氷河「全てはカミュの指導のおかげです！」
星矢「どこがクールを追及するなんだろうな」
瞬「本当だよね。アイザックはあんなにクールなのに」
紫龍「良かったな、あれが一般的な師弟だと思われなくて」
氷河「カミュ、俺たちは何をすればいいんですか？」
カミュ「これだ！！」
だしたのは、高さ３０cmはあろうかというカキ氷。
カミュ「このカキ氷を食べてもらう！シロップは自由だ！これを完食した者のみここを通って良い」
星矢「食べればいいんだろ！ギリシャは暑いからそれくらい何とかなるさ！シロップは？」
カミュ「好きなのを使って良い」
瞬「イチゴ、レモン、ブルーハワイ、メロン、カルピス、コーラ・・・すごい、何でもある！」
紫龍「俺はスイにしよう」
星矢「さすが若年寄！俺はイチゴとレモンとブルーハワイのトリプル！」
氷河「舌が真っ黒になりそうだな。俺はマンゴーにしよう」
シロップをとろとろ〜っとかける。・・・が。
溶けない・・・・・・？
瞬「どういうこと！？雪山をツルツル流れていくよ！？」
カミュ「気付いたか。これは、永久氷壁を砕いたカキ氷だ。絶対に溶けない」
星矢「なんだとっ！！？」
カミュ「歯でがんばって砕け」
氷河「素晴らしい修行です！俺、がんばって食べます！」
瞬「ちょっと待って！こんなの食べたら歯がボロボロだよ！」
カミュ「大丈夫だ。小宇宙を燃やせば永久氷壁くらい砕けるだろう」
星矢「歯は訓練したことないし！歯は折れたら二度と元に戻らないんだぞ！」
カミュ「漫画では、どんなに折れても次復活するだろう。心配するな」
星矢「いやいや、そこでフィクション持ち出されても！」
氷河「お前ら！カミュの修行に文句をつけるとは何事だ！お前ら、魔鈴さんに言われても文句言うのか！老師に言われても！ダイダロスに言われてもそう思うのか！」
星矢「う・・・・・・・・・！」
カミュ「あ、ちなみに、魔鈴、老師、ダイダロスから紙をもらってる。
『この修行に応じない時は、破門致します』
とな」
星矢「魔鈴さん、クールすぎるよーーーー！！」
紫龍「老師・・・あなたはやはり若い虎ですね」
瞬「普段でてこないのにこう言う時だけ・・・」
カミュ「というわけだが、どうする？」
ここでやらないという弟子はいるか。いや、いない。
双魚宮
アフロディーテ「それは災難だったね」
星矢「ああ。歯が痛い」
アフロディーテ「安心したまえ、ここは歯は使わないから」
瞬「何するんですか？」
アフロディーテ「金魚すくい」
星矢「おお、それは夏祭りっぽい」
アフロディーテ「それじゃ簡単だから、ピラニアすくい」
瞬「ちょっと！手を入れたら食べられるじゃない！」
アフロディーテ「食われないように取ってよ」
星矢「あんたも結局は黄金だよな・・・」
アフロディーテ「血が出れば出るほど寄ってくるから気をつけて。一人五匹で通過。それじゃがんばって！」
それから、阿鼻叫喚の声が聞こえた。
星矢「い、いでえええええええ！！！」
瞬「ちょっと星矢、振り回さないでよ！！痛い！！」
紫龍「あ、ポイが破れた！」
星矢「ポイなんか最初からアテにしてねえ！」
みんなが血だらけになりながらすくってる中、氷河は一人静観していた。
星矢「おい！お前もとれよ！何ぼーっと見てんだ！」
氷河「ふ・・・ちょっと離れてろ」
瞬「はあ、何言ってんの？」
氷河「離れないと、また凍傷だぞ。いくぞ」
すっとポイを差し入れる氷河。すると、ポイの周りが凍り付いていき、ひきあげると凍りついたピラニアごとくっついてきた。そしてそれを椀にいれる。
氷河「これで五匹。簡単じゃないか」
・・・・・・・・・・・・・・。
アフロディーテ「君達は存外頭が固いね。私、すくえって言っただけで、制限は何も設けてないし。効率的にやらないと、いつも傷だらけだよ？」
見渡してみれば、手が傷だらけ、場合によっては腕まで血が垂れている。
星矢「ペガサス流星拳で気絶させて、すくっていいですか？」
アフロディーテ「気付くの遅すぎ。一応救急箱用意してあるから使っていきな」
この十二宮戦で初めて、完全なる敗北を感じた星矢たちだった。
教皇の間
沙織「お疲れ様〜〜！！」
星矢「沙織さん！！！」
沙織「ここまで良く頑張りましたね。傷だらけではないですか。大変だったんですね」
瞬「そんな目に合わせたのはあなたなんですけど」
沙織「これで、モチベーションはあがりましたね？」
星矢「いろんな面で上がって、別の面が下がった気がするけどな」
ドーーーーン！！！
獅子宮の方から、大きな爆発音が響いた。
沙織「な、なんでしょう、あの音は」
星矢「一輝だ・・・・」
瞬「兄さんだね・・・ミミズ、食べられなかったんだ・・・」
星矢「アイオリア・・・無事かな？」
沙織「様子を見にいきましょうか。それで無事だったら、みんなで闘技場に行きましょう」
紫龍「え、何でですか？」
沙織「無事に突破できたご褒美に本物の夏祭りを用意してあるのです。屋台もいろいろありますよ。ぜひ、楽しんでいってください」
瞬「・・・・・・・うん」
すっかり、夏祭りが嫌いになりそうな、青銅達であった。
あとがき
コマッタなユタカな十二宮戦！これにて終了でございます！！久しぶりの短編シリーズです。普通に終わることが出来てよかった良かった。やっぱり短編シリーズは緊張するのう。黄金がトータル的にボケなので、青銅はほぼ全員ツッコミなんですが、今回ボケが超人的だったので、ツッコミも激しいですね。瞬ちゃんが特に毒舌・・・。ちょっとびっくりだ。でも、書いてて楽しかった！黄金の言うままに踊ってるのが何とも・・・★
BY MUTUMI