ドリームマリッジ
この日、聖域を震撼させるできごとがおこった。
アイオリアが結婚!?
アイオリア「・・・・ああ。」
ぽっと頬を赤らめる。
デスマスク「誰と！」
アイオリア「魔鈴と。」
ムウ「正気ですか？」
アイオリア「あたりまえだろう。」
ムウ「勘違いということは？」
アイオリア「ない！」
ムウ「後で確認をとりましょう。」
アイオリア「全然信用してないな。」
ムウ「当然です。」
サガ「結婚となると披露宴の準備が必要だな。」
デスマスク「面倒じゃん。役所で入籍だけにすれば。」
サガ「そんな寂しいのは私が許さん！仮にも黄金聖闘士だぞ！黄金ともあろうものがそのような結婚式では黄金聖闘士の名に傷がつく！」
デスマスク「別にいいんじゃん？黄金聖闘士の名誉って星矢達のせいで既にボロボロじゃん。」
サガ「お前は！さらっとそんなこと言うな！」
デスマスク「でもま〜事実だろ。」
サガ「とにかく！披露宴は断じて決行する！絶対にオルフェの披露宴には負けん！」
シュラ「なんでそこでオルフェがでるんだ？」
こうして世界一うるさい小姑をかかえた披露宴準備が始まる。
沙織「和風和風和風！」
サガ「洋風洋風洋風！」
披露宴よりもまず結婚式で物議が行われていた。
沙織「何度言ったらわかるのです！披露宴には神前での結婚式に決まっています！綺麗な白無垢に身を包み、三々九度！絶対に和風です！」
サガ「アテナといえど、これだけは絶対に譲れません！結婚式といったら教会でウェディングドレスに決まっているでしょう！父親と一緒にバージンロード！指輪の交換！誓いのキス！絶対に洋風です！」
沙織「魔鈴さんは日本人ですよ！白無垢に決まっているでしょう！」
サガ「アイオリアはギリシャ人です！タキシードに決まっています！」
沙織「男なんて結婚式なんてどうでもいいんです！結婚式は女性のもの！ウェディングドレスなんか着たらグレます！」
サガ「アイオリアは他の男と違います！結婚に憧れてます！紋付袴なんか着たら逆賊になります！」
まるで姑同士の争いである。これくらいならまだ一般にもありそうなものだが、世界最強小姑はまだまだいた。
ムウ「2人とも、予算はどうなっているのですか？」
沙織「勿論、考えていますよ。」
サガ「無論だ。」
ムウ「私はもともと聖闘士の結婚式や披露宴なんてしなくていいと思っていますから、ぜひとも予算を押えて頂きたいのですけれども。」
沙織「わかっています。これでもグラード財団経営者。予算は最小にしたいと思っています。」
サガ「私も聖域の財政管理を任されている。余計な予算は使わない。」
ムウ「そうですか。では、和風の予算はおいくらですか？」
沙織「1000万ですね。」
ムウ「却下です。」
沙織「どうしてです！これでもおさえたんですよ！」
ムウ「どこを押えたらそんなにでるんですか。サガは？」
サガ「同額。」
ムウ「私なら1000万あったらそれだけもらってトンズラしますよ。」
それでは結婚詐欺師である。
ムウ「とりあえず切り詰められるところは切り詰めましょう。リスト頂けます？」
2人からリストをもらう。
ムウ「うーんとそうですね。白無垢は質流れ品。袴は借り物にしましょう。これで200万は浮きますね。化粧は100円ショップで買って、化粧係はアフロディーテに頼んで、神主はシャカで代用して、神子は私で間に合わせて、指輪は玩具、玉串奉天は前の式のをかっぱらいましょう。三々九度の酒は勿論安酒。いっそワンカップで十分。会場はあばらやでいいところがありますからそこをタダみたいな値段で借りてきますね。」
沙織「えっとそれは・・・・・」
ムウ「洋風の方は、ウェディングドレスは紙製の奴にしましょう。丈夫で長持ちで千円という格安です。タキシードはカミュあたり持ってそうなので借りましょう。化粧はさっきと同じ。神父はシオンか老師にお願いしましょう。ヴェールは花束でついてくるラッピングを使用して、教会はいっそ私が作ります。カミュと氷河の力を借りればタダですね。」
サガ「・・・・・うーん。」
ムウ「会計担当としてびっちり締めさせていただきますので、よろしくお願いしますね。無駄金は死んでもださせませんから。」
にっこり★
ムウと結婚する人が哀れでならないと感じた一瞬であった。
こっちでは披露宴の内容について話されていた。
予算はとっくにムウによって切り詰められていた。
瞬「少ない。少なすぎるよ。料理1人1500円ってどんな予算？」
デスマスク「ムウがこれでも妥協したって言ってたぜ。」
瞬「それは人外魔境の意見でしょ！」
紫龍「悪口をあまり言うな。これ以上予算を減らされたらどうする。」
瞬「そもそも何で僕達がこんなこと考えなくちゃいけないの。こういうのって当人で決めることじゃないの？」
もっともであるが、黄金に常識は通じない。
デスマスク「しょうがないじゃん。サガがやるって決めたんだし。」
瞬「サガの意見って絶対？」
デスマスク「まあな。」
瞬「やだな・・・僕の結婚式もこんなになるのかな。」
この状況を見るに絶対人並み以下のラインナップが組まれるに違いない。
紫龍「俺たちの未来の為にも料理くらいはがんばろう。」
切実な願いである。
デスマスク「で、どうする？コース料理は絶対作れないぞ。」
瞬「うーん、でもコースの方がいいよね。」
紫龍「アスガルドではどうだか聞いてみるか？」
瞬「なるほど！アスガルドは貧乏だから、低予算で結婚式やってるよね。」
ピッポッパ・・・・・ルルルルル
アルベリッヒ「はい、こちらアスガルド。」
紫龍「おお、アルベリッヒか。俺だ、紫龍だ。」
アルベリッヒ「なんだお前か。」
紫龍「なんだはないだろう。」
アルベリッヒ「こっちだって忙しいんだ。用件があるなら早く言ってくれ。」
紫龍「アスガルドの結婚ってどういうものか教えてくれ。」
アルベリッヒ「はあ？」
紫龍「参考にしたいんだ。」
アルベリッヒ「なんでまた。」
紫龍「貧乏だから予算の少ない結婚式をやってるんじゃないかな〜と思って。」
アルベリッヒ「なんだと！貴様アスガルドを馬鹿にする気か！」
紫龍「あ、いや、そんなつもりはないが・・・・」
アルベリッヒ「俺だって貧乏でありたくて貧乏してるんじゃない！あの万年天然女のせいでどれだけ財政が逼迫してると思う！俺らの給料ですらでないんだぞ！でてなくてこの有様だ！いっそぶっ殺してやろうかと思ったが殺したら氷が溶けて一巻の終わりだ！くそ！なんであの女だけおかしなオプションがついてるんだよ！もしも地上代行者が道を誤ったらどうすんだ！一緒に死ねと！てゆーかマジで踏み外しかけたし！冗談じゃないまったく！そういう役目こそアテナがやりゃいいのに！・・・・なに！雪崩で道がふさがった！？行商人がストップ状態！？くそ！今年は税収が20％減なんだぞ！なんでそういう年に限って大雪なんだ！オーディーンの奴少しは働け！おい！ハーゲンを死ぬほどこき使えと伝えておけ！あいつで雪を溶かすんだ！え？コスモの使いすぎで倒れた！？くそ！無能め！除雪費がかさむだろうが！わかった今行く！除雪機アルベリッヒ13号を持ってこい！・・・というわけでもう切るぞ。アスガルドはお前らみたいに暇じゃないんだ！」
ガチャン
瞬「なんか、すごい彼らに引け目感じるんだけど・・・・」
紫龍「アスガルドの人間は真面目だからな。」
デスマスク「おい、俺らがまるで不真面目みたいに聞こえるじゃないか。」
真面目さがどこにあるのか教えて欲しい。
瞬「う〜ん、結局何もわからなかったけど・・・・」
デスマスク「コンビニのでいいんじゃねえ？」
紫龍「え・・・・？」
デスマスク「近頃のコンビニはすごいからな。結構美味しいのが作れると思うぞ。オードブルにファ○マのニクマン、スープはセブン○レブンのおでん、デザートはミニ○トップのソフトってな具合で。」
瞬「・・・・破門してもらえる？」
こちらはこちらで披露宴で新郎新婦の生い立ちについて話されていた。
星矢「生い立ちっていっても魔鈴さんの写真なんか一枚もないぞ。」
氷河「というか、素顔じゃないだろ。」
ミロ「まあいいじゃん。適当に顔書いておけば。」
カミュ「それでは、嘘になるだろう。」
ミロ「この顔はフィクションであり、実際の魔鈴とは関係ありませんって書いておけばオッケ！」
カミュ「どこがオッケだ。」
アイオロス「俺もアイオリアの写真は7歳くらいまでしかない。」
星矢「殺されちゃったからな、アイオロスは。」
アイオロス「あいつの思い出を俺は知らないんだな。」
自嘲するようにふっと笑う。
星矢「気にするなよ。俺だって姉ちゃんの思い出ちょっとしかないしさ！」
氷河「マーマとの思い出も少ししかないし。みんな一緒だ。」
ミロ「大丈夫。俺達がハブにしてたから思い出なんてもともとないって！」
グサッ！！
カミュ「ミロ！！！！」
ミロ「え、俺なんか悪いこと言ったか！？」
カミュ「言った！」
ミロ「え、でも真実だろ！ハンカチ落としやった時だってアイオリア集中砲火で便所送りにしたじゃん！」
カミュ「確かに缶ケリも結託してアイオリアをひっかけて一日中鬼にしたし、縄跳びはずっとお持ちだったし、ベーゴマは王様改造ベーを使ってインチキ勝ちしたし、メンコは油を浸したりロウを垂らして裏工作した！菌タッチもやった。いい思い出はあると思えん！だがな、それを口にだしてはいかんのだ。わかったかミロ。」
ミロ「ご、ごめん。」
カミュ「アイオロス、すまなかった。ミロが余計なことを言った。」
お前の方がよっぽど余計なことを言っている。
アイオロス「俺のせいでそんなイジメにあっていたとは・・・・」
星矢「それにしても、随分ガキっぽいイジメだな。」
ミロ「まあ、幼い頃の話だからな。」
アイオロス「その辺はカットしてくれ。あまりに不憫だ。」
カミュ「私達もそんな恥な思い出を露にされたくない。」
星矢「とすると、こんな風になるのかな。」
八月十六日誕生
兄と死に別れる
十二宮の戦いでシャイナを誤って暴行
教皇の間でシャカと戦闘
十二宮の戦いで星矢と戦闘
十二宮の戦いでカシオスを撲殺
冥王ハーデスの戦いで冥闘士を撲殺
冥王ハーデスの戦いでミミズを撲殺
冥王ハーデスの戦いでブッチ切れて同僚を暴行
冥王ハーデスの戦いでラダマンティスにコキュートスに落とされる
氷河「・・・・こいつ前科何犯だって感じしないか？」
星矢「盲点だったな。」
ミロ「かといって戦いを抜くと本当に何も思い出ないし・・・・」
カミュ「戦士らしい思い出だから問題ないだろう。戦士の証だ。」
星矢「そうだな！」
お前ら、魔鈴との恋愛話があるだろう。
サガ「よし！完成だ！」
総予算××××円をかけた披露宴の準備が整った。
サガ「みんなのおかげですばらしい披露宴が臨めそうだな。」
瞬「・・・・・本気で言ってると思えないよ。」
シュラ「しきってるようで実は操り人形だな。」
カノン「海闘士達に会わせる顔がない。こんな式に祝儀もって祝いに来るかと思うと。」
シャカ「元上司の責任もって彼らに謝罪したまえ。」
サガ「さあ！新郎に知らせよう！」
アイオリア「うわぁぁぁぁぁ！！」
ガバッ！！
寝汗びっしょりでアイオリアは目を覚ました。時計は午前六時。澄み渡った空にお天道様が上ろうとしている。
アイオリア「夢か・・・・・」
思い出すだけでも怖気だつ夢だった。
アイオリア「夢でよかった・・・・」
ほっと安堵するアイオリアだった。
夢だった。確かにこれは夢だった。
しかし、世の中には正夢があることを彼はまだ知らない・・・・。
あとがき
友人とのＢＢＳの語らいで不意に思いついたネタ。アイオリアの披露宴準備が見てみたい！と思って描いたネタ。全てがギャグ。ムウ様がんばりすぎです。どれだけチープな披露宴ができるかアル意味見物です。初めて青銅もギャグ小説に仲間入り。沙織さんと瞬はすぐにでも黄金の仲間になれそうなそんな作品・・・・。そしてアスガルドお疲れ様です。うちのアルベリッヒは結構働き者で真面目さん★大好き★
ＢＹ ＭＵＴＵＭＩ