瞬さんって・・・
それは、ある晴れた日のこと。
光牙たちがそれぞれ、修行をつけてもらっていた時のことだった。
光牙は久々に故郷に戻り、シャイナと星矢に。
蒼摩はテキサスで邪武に。
ユナはシベリアで氷河に。
龍峰は五老峰で紫龍に。
指導を終え、クールダウンしている時、瞬の話になったのは偶然だった。
彼らは、尊敬の意味をこめ、こう言ったのだ。
『瞬さんって、優しいですよね』
そして、数秒の間の後、こう返ってきたのだった。
シャイナ・星矢「ああ、基本的にはな」
邪武「普段はな」
氷河「まあ、大体は」
紫龍「・・・よかったな」
光牙「おい、どういうことだと思う！？」
蒼摩「邪武がさ、すっげー嫌そうな顔してたんだけど！！あの二人、なんかあったのか！？」
パライストラで瞬について盛り上がったのも至極当然であった。
光牙「優しいですよねって言ったら、普通、『うん』じゃないのか？なんで、基本的にはって答えになるんだよ。基本的にはって、基本じゃなかったらどうなるんだ！？」
ユナ「確かに、優しいだけでは、聖闘士として生き残れないのも事実だわ。優しいだけじゃなくて、強い人だって言う意味なんじゃないかしら」
蒼摩「じゃあ、戦闘時が『基本以外で、普段じゃなくて、大体じゃない』時なのか？」
龍峰「うーん・・・僕、瞬さんと一緒に暮らしてたけど、戦ってる時も、普通の時も、あまり変わらなかったけどな。強くて優しくて・・・」
光牙「じゃあ、戦闘時は、基本で普段で大体なんじゃないのか？」
蒼摩「そうじゃない時ってなんなんだよ？平和な時か？」
栄斗「調査してみないか？」
光牙「うわっ！！また突然現れたな！！いつもどこにいるんだよ、お前！！」
栄斗「気配を殺すのがシノビだからな。壁新聞部の次のテーマは『アンドロメダ瞬の秘密に迫る』でどーだ」
光牙「壁新聞部ってなんだ？」
栄斗「知らないのか？ふっ、まあ俺が失踪する前の話だしな」
蒼摩「えっ！あれ、やってたのお前だったのか！？」
ユナ「通りで！『今年の聖闘士ファイト予想』ないなーって思ってたのよ。あれのせいで、どっかのバカが賭博をしてて、毎年けり倒すのに大変だったのよ」
龍峰「思えば、最近の特集『ロックを語る』とかだったもんね。よくよく考えれば、聖闘士でロックにハマってるのは栄斗だけだもんね」
栄斗「そんなことはない。那智さんもハマってくれた。今度、ライブに一緒に立つことになってる」
蒼摩「お前・・・お前の毒に先々代を染めるなよ・・・」
栄斗「毒とはなんだ。あの人は、『パーフェクト！！』とか、キメ台詞がある人だぞ。あの人ほど、ロックに相応しい人はいない」
龍峰「確かに横文字が好きな人ではあるけど・・・。ところで、調査ってどうやるの？」
栄斗「壁新聞部の時に培った人脈を活かして、取材に行く」
光牙「え、そんなのがあるのか！すごいな、栄斗！！」
栄斗「ふっ、忍びをなめるな」
ユナ「じゃあ、あなたに任せるわ。まずはどこに行く？」
栄斗「まずは手始めに聖域だ」
〜聖域〜
アフロディーテ「まったく、突然のアポイントとってくるから何かと思えば、君か」
栄斗「すみません、ありがとうございます。これ、手土産のローズシフォンケーキです」
アフロディーテ「ふっ、相変わらずの気配りだな。さすが、『おもてなし』の民族だ」
光牙「すっげー、美人！！モテモテだろうな！！」
栄斗「この方は男だぞ」
光牙「男！！？この顔で！！？」
ユナ「光牙！！失礼よ！！」
アフロディーテ「ふっ、星矢も似たようなこと言っていたよ。ペガサスは代々、ストレートなんだろうな」
蒼摩「よかった・・・俺、もう少しで惚れちゃうとこでした」
アフロディーテ「惚れられるのは、別に構わないよ。男でも女でも。顔も、自分の個性には違いないからね。コンプレックスに感じる必要はない」
蒼摩「すっげーー！！かっこいい！！アフロディーテさん」
龍峰「この人が、瞬さんと戦ったアフロディーテさん・・・。すごい小宇宙とオーラだ」
ユナ「この人ほど、バラの似合う人もいないわね」
光牙「ユナより似合うな！！」
ユナ「うるさいわよ、光牙！！確かにそう思うけど！！」
アフロディーテ「それより、今日は何を聞きに来たんだい？」
栄斗「今日は、『アンドロメダ瞬の秘密を探る』というテーマで来ました」
光牙「瞬さんは優しいよな！？」
アフロディーテ「そんなことないだろう」
ユナ「えっ！！」
アフロディーテ「あの時は、私への殺意むきだしだったからな。謝れ謝れやかましかったし。私闘は禁じられてるのに、あれこそ、私怨むきだしの戦いだったからな」
龍峰「瞬さんが殺意むきだし！！？信じられない！！いつだって穏やかで優しくて意見を聞いてくれる感じなのに・・・」
アフロディーテ「それは、相当ゆとりがある状態だぞ。お前達はアンドロメダに一人前と認められてないんだな」
ザクッ！
光牙「うっ・・・それは・・・」
蒼摩「そんなことはないとは、口が裂けても言えないよな・・・アイガイオンとかスルト戦とか・・・俺達がいない方がスムーズだったかも・・・とか、思いたくないけど思っちゃうよな・・・」
ユナ「しょうがないわよ、私達が今すぐに瞬さんに並ぼうっていう方が傲慢だわ」
アフロディーテ「となると・・・もしかして、アンドロメダが怒ったところ、見たことないのか」
栄斗「ないですね」
アフロディーテ「一度、見てみるといい。あれはなかなか必見だぞ。まぁ、君達なら、命を粗末にするくらいしか怒られる方法がなさそうだが。すまないが、そろそろバラの世話の時間なので失礼するよ」
ユナ「やっぱり、瞬さんと戦った経験のある方の話は違うわね・・・」
光牙「ユナ、アフロディーテに美容講習受けたらどうだ？」
ユナ「今、気にするのはそこじゃないでしょ！！」
蒼摩「栄斗、次はどこへ行くんだ？遠いのか？」
栄斗「近いぞ。１分もあれば着く」
龍峰「光速で走るの？」
栄斗「いや、飛び込む」
〜海界〜
ソレント「ああ、この間はセッション楽しかったよ」
栄斗「いえいえ、さすが、世界を股にかけるフルーティストです。俺なんかまだまだ、デビュー曲がオリコン１位が精一杯で」
ソレント「ジュリアン様も興味を持たれたみたいでＣＤを買われていたよ。これからも頑張る事だな」
栄斗「はいっ！！」
光牙「ぜぃぜぃ・・・俺、死ぬかと思ったぜ・・・」
蒼摩「軽く飛び降り自殺だもんな・・・」
ユナ「龍峰、あなたが水を操ってくれなかったら、本当に溺れるところだったわ」
龍峰「僕の属性が役に立ってよかったよ。というか、栄斗の人脈すごすぎ・・・」
ソレント「今日はどうしたんだい？壁新聞部の応募者プレゼント用にジュリアン様の生写真をプレゼントしようか？」
栄斗「いえ、今日は、『アンドロメダ瞬の秘密を探る』について、取材をしたいと思いまして」
蒼摩「あなたも瞬さんと戦ったんすよね。戦いでも瞬さんは優しかったですか？」
ソレント「・・・もしかして、模擬戦でも戦ったことないのか、君達」
ユナ「ありません・・・けど・・・」
ソレント「まあ、仕方ないか。君達程度だったら、そもそも、本気を出そうという気にもなるまい」
グサッ！！
蒼摩「そ、そーかもしれないけどよぉ・・・ストレートに言われるとやっぱ傷つくぜ・・・！」
ソレント「敵に情けをかけられるほど、悔しいものはないぞ。アンドロメダの言葉に耳を傾けた者は１人もいないし、逆にアンドロメダも私の情けには耳１つ貸さなかった」
ユナ「お互い、戦士に誇りを持っているからですね」
ソレント「ああ。彼は、自分自身の秘められた強さに若干持て余し気味だったからな。それに加えて、傷つけたくないという優しさだか自己保身だか分からない気持ちのせいで、敵を逆上させたりもしばしばだったし。今は、年齢を重ねて、やっとキャリアと才能がいい具合に調和したというか、精神的にゆとりがでてきたな」
光牙「だよな！！瞬さんすっごくカッコいいもんな！！な、龍峰！」
龍峰「うんっ！」
ソレント「ふっ、慕ってくれる人ができて、アンドロメダもさぞ嬉しいだろうな。守られる側から守る側になることで、己を確立できた部分もあるんだろう」
龍峰「守られる・・・か」
ソレント「どうした？」
龍峰「確かに、僕達は瞬さんから見れば未熟です。でも、同じ聖闘士なんだ。守られるだけじゃなくて、僕も、瞬さんを守りたいです」
光牙「そうだぜ！！俺の星は、瞬さんの星と共有してるんだぜ！！俺だって、瞬さんのこと守りたい！！」
ソレント「いいなぁ、今の聖闘士たちは先輩後輩仲が良くて。でも、気をつけておけよ。馴れ合いというぬるま湯に満足してると、寝首かかれるからな」
蒼摩「うっ・・・。それは肝に銘じておきます」
ソレント「うちなんて、『全員基本常識人なせいで負けた』みたいな謂れがあるから。他にも『インスタント戦士』とかな。聖戦終わって死ななかった戦士がいるのもうちくらいだ。常識に安心してはいけないぞ、聖闘士は」
全員「はいっ！！」
ソレント「と、いうわけで、今度『戦士を引退して第二の人生を歩むコツ』っていうテーマで講義するから、宣伝よろしく。これ、おまんじゅうな。」
栄斗「いつもすみません・・・！では、フルカラーで４週連続特集号を組みます」
ソレント「助かるよ」
光牙「やっぱ、瞬さんと戦う敵はみんなすごいな！！どの言葉にもどっしりとした重みがあって、すごく勉強になる！！」
ユナ「重みといえば・・・あのおまんじゅう、妙に重そうに見えたけど、栄斗、あなた何か裏取引でもしてるの？」
栄斗「裏取引なんてとんでもない。ジャーナリストにとって極普通のことだ」
龍峰「君・・・本当に何を目指してるの・・・？」
蒼摩「よっし！！取材はもう終わりだな！！」
栄斗「まさか」
光牙「えっ！！まだどこか行くのか？今度はどこだ？地下か？」
栄斗「まぁ、そうといえば、そうだな」
〜冥界〜
カロン「久々じゃねえか！元気してたか？」
栄斗「はは、おかげさまで。これ、たいしたものじゃありませんが・・・」
カロン「おっ！！これは富士流饅頭じゃねえか！！相変わらず、良く分かってるやつだな！」
光牙「俺達・・・すげえと思えねえ・・・！？」
蒼摩「やる気になれば何でも出来るんだな・・・！」
ユナ「これが・・・エイトセンシズ・・・！！」
龍峰「オメガとは何が違うんだろう・・・？」
カロン「俺が冥界の渡し守のカロンだ。お前ら、どうやら死んでねえみたいだけど、壁新聞部の新入部員か？可愛子ちゃんが２人もいるじゃねえか」
光牙「2人？」
カロン「そこの茶髪の子と、その色白で華奢なの。いーねー、すっごく俺好みだぜ」
龍峰「あの〜、僕、男なんですが」
カロン「男！！？そんなべっぴんで戦えるのか？」
龍峰「戦えます。僕は顔は気にしてません。男の傷は勲章だって父も言ってました」
カロン「ほぅ、意外としっかりしてんだな。そういや、顔立ちがアンドロメダに似てるな」
光牙「あんた！！瞬さんを知ってるのか！？」
カロン「そりゃ知ってるさ！！戦った間柄だからな！！」
蒼摩「すげえ！俺達、瞬さんの優しさについて調べてるんだけど、瞬さんは優しいよな」
カロン「ああ。あいつほど優しい人間は見たことがねえな」
光牙「やったあああああ！！苦節３界！！ついに瞬さんは優しいって人に出会えたああああ！！」
蒼摩「瞬さんのどんなとこが優しかったんだ！？」
カロン「まず、川を渡るには賃金が必要だってとこで、ペガサスはキセルする気マンマンだったんだが、アンドロメダは自分の形見のペンダントを渡したんだ」
ユナ「さすがだわ。争いを避けるために、自分の大切なペンダントを渡す決断をしたのね」
カロン「俺は2人を運んでやったんだが、渡し賃は1人分しかもらってなかったから、ペガサスを川に落としたんだよ。アンドロメダは俺の攻撃に耐えつつ、チェーンでペガサスを掴んで助けようとしてな」
蒼摩「まるで、スルト戦での俺達のようだ・・・。瞬さんの優しさは昔からだったんだな・・・！」
カロン「俺に裏切られても、あいつの目はまだ信じることをやめていなかった。俺はあいつならエリシオンに行ける・・・と思ったものだ。ま、冥界の王だったっていう壮絶なオチが待ってたけどな！！」
光牙「え！！冥界の王！？」
カロン「あれ、知らない？アンドロメダって、ハーデス様の依り代だったんだぜ。この世で最も清らかな魂ってことで選んだんだと」
龍峰「この世で最も清らかな魂・・・！！すごい・・・！！」
光牙「知れば知るほど、瞬さんのこと好きになるぜ・・・！」
ユナ「神に選ばれるほどの人だったなんて・・・私達、なれなれしくしすぎたわね」
カロン「いーんじゃねえの？そういう壁作ってほしくないタイプだろ。逆に、ああいうタイプは、壁作られたら、『嫌われたかな』って思って、去ってくタイプだぞ」
蒼摩「そうか！！さっき、常識に捕われるなって忠告されたばっかだった！よし・・・瞬さんのことを押し倒して唇奪う！！くらいしなきゃダメなんだな！！」
カロン「・・・そりゃ、確かに非常識だけどな。でも、やめといた方がいいぞ〜。あいつにゃ、とんでもない召喚獣がいるからな」
龍峰「もしかして、一輝さん・・・！？」
カロン「ああ。アンドロメダのピンチには必ず駆けつける炎の戦士だ。何度死んでも蘇ってくる。聖衣の特性が、いつから人間にも通用するようになったんだよっていうツッコミを普通にスルーする男だ。」
光牙「えっ！！じゃあ、この間、アイガイオンと無理心中したけど・・・！」
カロン「俺、アイガイオンは運んだけど、フェニックスは運んでねえぜ？」
ユナ「それじゃ、まさか・・・！！」
カロン「地獄の閻魔に嫌われているのでな・・・っていって蘇ってくる可能性大だぜ」
龍峰「瞬さんや星矢さん達の涙は・・・！？」
カロン「ムダだな。あいつらには良くあることだ」
蒼摩「よくあることですませていいのか・・・？」
ユナ「死んだ人は生き返らないのよ。それは当たり前のことじゃない」
カロン「ま、そりゃそうだけどさ。ビックリ超絶理論で『死んだことを皆が忘れる』ってこともあるのよ」
光牙「なんだそりゃ！！生き返ったことを喜ばないのか！？」
カロン「生きていたことを喜ぶことはあっても、『あれ！死んだんじゃ・・・！？』とはならんな。最初から死んでなかったレベルで扱われることがあるぞ。あとは、元々死んでなかった。死んでねえんだから、再登場も普通だわな」
蒼摩「マジかよ・・・。軽くカルチャーショックだぜ・・・」
カロン「生き返りを現実に形にしたのはユリティースくらいなもんだけどな。一流の戦士は、永遠の別れを演出しながら、死んでねえんだよ。三途の川のほとりまでこねえって。俺達敵の合言葉
『死んだはずは死んでない。トドメをさしても安心するな』
は有名だぞ！」
光牙「なんだろう・・・この、レジェンドたちの前向きっぷり。俺ら、すっげー、後ろ向きじゃねえ？エデンなんて、後ろ向きすぎて体育座になってたし」
蒼摩「だったら、ガンガン戦おうぜ！！俺達、いろいろ怯えすぎだ！！」
カロン「あ、ただ、絶対死なないってことじゃないから、無理につっこむなよー。死ぬ時はきちんと死ぬ。レギュラーの価値ナシって判断されたら生きてたとしても強制引退ってこともあるからな」
ユナ「なんてこと・・・！！私達は姿の見えない大いなる何かと戦わなくてはいけないのね！！」
龍峰「伝説の聖闘士たちの、何か違うものを見てる感覚はこれだったんだ！今日、勉強したよ！！」
カロン「ははっ！初々しくていいなー。そうそう。この間のライブＤＶＤだったんだけどよ。アレダメだわー」
栄斗「ダメでしたか！！？」
カロン「冥界は基本、クラシック好きが多いんだわ。パンドラ様なんて、１小節聞くまでもなく、ハープでビリビリにして破壊しちゃったしな」
栄斗「・・・くっ。まだロックは不良ってイメージが強いのか・・・？」
カロン「つか、ファラオはオルフェのことしか目に入ってないし、オルフェはユリティース以外目に入ってないし、ラダマンティス様はパンドラ様のハープ以外興味ないし、『お前』に眼中ないのよ」
栄斗「くっ・・・俺に魅力がないせいか・・・！！今度来る時までには、誰もが振り向く歌声を手に入れてみせる！！」
カロン「俺は好きだけどなー、結構。なあ、マネージャーって募集してねえか？俺、金勘定得意だから、マネージャーやってやるよ」
栄斗「本当ですか！！」
カロン「ああ。俺、オールさばきも得意だから、マイクスタンドパフォーマーもやりたいぜ。歳とってても構わねえなら・・・だけどよ」
栄斗「大丈夫です！！那智さんが、今度、ライブに参加してくれることになってるんで！！ミドルロックって感じにすれば！！」
カロン「お！！いーねえ、話分かってるじゃねえか。よっし！！これから宜しく頼むな！！ビッシビッシ、金を管理してくぜ！」
栄斗「頼りにしています！！」
光牙「これ、壁新聞部ていうより、栄斗の営業活動みたいに見えるんだけど・・・」
蒼摩「ま、仲良いことは美しきかなっていうし、いーんじゃねえの？」
ユナ「壁新聞はちゃんとしたものができるのかしら、少し心配だわ」
龍峰「きっと大丈夫だよ。ああ、今日は瞬さんのことを知ることができて嬉しかったなぁ・・・！」
さて、今月の壁新聞が掲示された。今回の壁新聞はいつになく反響が大きかった。特に、女子が瞬のかっこよさに壁新聞を破っていくという自体までおきていた。
光牙「すっげえな、さすが瞬さん！！」
栄斗「壁新聞部部長として、俺も鼻が高い」
檄「よぅ、栄斗。お前、頑張ったじゃないか」
ユナ「檄先生！！」
龍峰「檄先生も、壁新聞読まれたんですか？」
檄「もちろんだ。ひそかに楽しみにしてるんだぞ。そうそう、ソレントの講義、参加したいから、申し込みよろしく頼むな」
栄斗「はい！任せてください！」
光牙「えっ！！檄先生、ソレントの講義聞きに行くのか！？」
檄「それはそうだろう。あいつは戦士の記憶を持ちながら、一般社会に戻ったっていう最初の人間だからな。俺も、戦士を引退するに当たって、彼の講義で勉強したもんさ」
蒼摩「へぇ〜〜！ソレントってすごいんだな〜」
光牙「そうだ！檄先生って、瞬さんと親しいんだろ？檄先生から見て、瞬さんってどうなんだ？」
檄「そうだなぁ・・・。」
アゴに指をあて、何かを思い出すようにした後、にこっと微笑みながら言った。
檄「お前らは、なんで、瞬のことを『瞬さん』って呼ぶんだ？」
光牙「え、それは・・・」
蒼摩「なんとなく、そう呼ぶのが自然かなって・・・」
檄「いかにも偉そうな星矢や、怖そうな一輝は呼び捨てるのに、優しそうな瞬はさん付けで呼ぶ。つまりは、そういうことだ。」
・・・・・・ごくっ。
檄「はっはっは！！お前らのことだから、そうそうは起きないと思うが、瞬を怒らせるんじゃないぞ。お前らは可愛い教え子だが、ぶち切れた瞬を止めるのは・・・勘弁願いたいからなぁ・・・！」
高笑いをしながら、檄がカフェテリアから出て行く。
光牙「・・・なんだろう。今の檄先生の話が一番、背筋がぞくっとしたんだけど・・・」
瞬「せええええええやああああああ！！」
星矢「落ち着け瞬！！話せば分かる！！」
瞬「わかるもんか！！僕の医学書でゴキブリを潰すって、君はそれでも大人かあああああ！！」
星矢「落ち着け！！わかった、弁償するから！！」
瞬「３０万が払えるってものなら、払ってごらんよ！！グラード財団の財力以外でええええええ！！」
星矢「ほ、本当にゴメン！！だから、ネビュラストームだけは撃たないでくれええええええ！！」
氷河「紫龍、助けないのか？」
紫龍「火中の栗を拾う趣味はなくてな。龍峰は、瞬のこの気性をまだ知らなくてな。夢を見せてやりたい」
瞬「紫龍！！龍峰に変なこと教育しないでよ！！ただでさえ君は、言葉が少なすぎるんだから！！」
紫龍「わ、わかってるさ・・・」
沙織「そうですよ、龍峰はとても聡明で素直なんですから」
瞬「沙織さんも、帝王学のテキストをさり気なく用意するのはやめてください！！龍峰が、世界ナンパ男みたいになったらどうするんですか！！」
沙織「で、でも、龍峰はおじい様の血を引く子供なわけですし・・・私もゆくゆくはグラード財団総帥の座を譲るつもりで・・・
瞬「春麗さんが今度こそ怒るのでやめてください！！祈りでアテナでさえ倒しちゃうかもしれませんから！」
その頃、城戸邸では、光牙たちが見たら血の気がひくような、見苦しい兄弟喧嘩が行われているのであった・・・。
あとがき
栄えある２０００００を踏んでくださったのは、水那様でした！ありがとうございます！！
お題は『怒った瞬』でした。
Ωになって、大人な瞬たんに再度惚れ直してる真っ最中ですので、Ω５人を絡めて、他の世界も絡めちゃいました。ラストの檄先生の台詞が書きたくて、構成したようなものです（笑）栄斗さんがいると便利でいーなーｖｖΩの瞬は、無印にはなかった余裕があってすごく好きです。ああ、まさしく、無印時代のカノンのような感じですよね。瞬のことだから、地を出すのは、青銅一軍だけなんだと思うけど・・・。
コラボレーションすっごく楽しかったですｖｖ水那様、リクエストありがとうございました！！
ＢＹ ＭＵＴＵＭＩ