声優界はマリアナ海溝

星矢「え！俺達が声優！」
沙織「そうなのです。」
紫龍「でもなんでですか？」
沙織「あら、知らないのですか？私達は、アテナプロダクション所属の声優なのですよ。」
一輝「そんなものに所属した覚えはない。」
沙織「当たり前。勝手に登録したんだもの。」
さららと仰るその様は六甲の水だ。
氷河「ずぶの素人だと思うんだが。」
ごもっとも!!
沙織「大丈夫！コスモを燃やせば出来ない事は何もありません！」
瞬「無理だと思うけど・・・・・・」
確かに!!
沙織「とにかく！頑張りなさい！傾きかけたグラード財団を救う為にも！」
星矢「傾きかけた!?」
沙織「脱不況！」
星矢「おい！沙織さん！それってどういう・・・・・」
紫龍「星矢、余計な事は聞くな。世の中子供が知らないほうが良いこともある。」
そういうおみゃあも子供だぎゃ。
瞬「僕達、奴隷か人身御供のような気がしない？」
氷河「元々人生アテナの奴隷だ。城戸光政の人身御供だ。そんなに変わってない。気にするな。」
瞬「そっか・・・・・・そうだね。」
虚しい人生ではなかろうか、君達。


星矢「俺達五人、五人とも違う仕事なのな〜〜」
瞬「好きなの選んで良いらしいけど・・・・・」
氷河「タイトルが、『好きなものはしかたねえから諦めろ』に『マリア様にみられてる』に『レッサーパンダオスカル』に『おまけの小森君』に『少女革命ナテラ』だ。」
紫龍「これだけの情報だけってのも恐いな。どんな役かも分からないじゃないか。」
瞬「・・・・・・僕マリア様にみられてるでいいよ。」
星矢「それで良いのか？なんか女の子が主人公っぽいぞ？」
瞬「良いよ。僕なら女の子の役きっとできるから。君達にはできないよね。」
紫龍「じゃあ、俺は・・・・・・レッサーパンダオスカルにしとくよ。どうなるか分からないけど、動物っぽいからな。」
氷河「じゃ、俺はおまけの小森君。どういうのか分からん。博打だな。」
星矢「う〜ん、じゃあ、俺少女革命ナテラな。ナテラって洗剤の名前だよな〜〜」
一輝「じゃ・・・・・・俺は残ったやつか。」
参加作品が決まった。彼らはそれぞれのスタジオに向かう事になる。待っているのか天国か地獄か。

そりゃ、地獄だぜ。声優をなめちゃいかんぜよ。ドラマとはまた違う千、万の人生がここにある。


こんなんヤダーーーーー！

地獄だ！神よ！


どわーーーー！

ぎゃーーーーー！

爆発！

てな感じの収録風景を終え、息も絶え絶えになったアテナプロの声優達が帰還する。


さて、どのような地獄談が聞けるのだろうか。

星矢「聞いてくれよ。俺の配役さ、超キザな役だったんだ！」
瞬「わあ〜〜星矢に何て似合わない役！」
星矢「そうなんだよ。長髪でな、もう出会い頭に主人公を口説く口説く。身のこなしからいったって、既にキザ！すんげえ気品溢れて歩くフェロモンって感じ！すれ違うだけで、女の子妊娠させそうだぜ。」
紫龍「それは辛かったな。」
星矢「歯の浮くような台詞に、俺、じんましんがでて鳥肌が立つかと思ったよ。セルとはいえ、俺の役上半身裸ばっか見せるし〜〜プロデューサーからはもっと余裕持って色っぽくとか言われたけど、無理だっつーの！」
氷河「星矢はどっちかってとアクション向きだからな。」
星矢「死ぬかと思った。本気で！俺、何かネジが狂っちまったかと思ったよ。」
紫龍「で、OKでたのか？」
星矢「でた。ナンとか他の声優さんのバックアップで、何とか色っぽく声をだして、キザッたらしくやったよ。」
氷河「星矢版アフロディーテ・・・・・・か。」
星矢「その表現止めろ！」
瞬「でも、面白そうだね。見てみたいよ。そんな星矢絶対にお目にかかれないもん。」
星矢「見るな！絶対に見るな！瞬！お前はどうだったんだよ！マリア様にみられてるは！」
瞬「凄い世界だった。皆にはきっと出来ないだろうと思って受けたこのアニメだけど・・・・・それは正解だったな。凄い百合チックな雰囲気一杯でね。僕薔薇の蕾って役だったんだけど、もうそりゃもう女性らしくってね。」
一輝「それは辛かっただろうな。」
瞬「女言葉嫌だよ。〜だわって僕喋って怖気がしたよ。僕は確かに女顔で性格も女々しいとか感傷的とか言われるけど、言葉使いまで女らしくすると、ナンだか情けないんだよ。現場も女の人ばっかしでさ、収録後お茶しに行ったりして、何か僕って本当に男なのかって思いたくなったよ。」
一輝「ふむ・・・・・瞬版エスメラルダか。俺としては嬉しいがな。」
瞬「兄さんのバカ！」
紫龍「でも滅多にない事だな。女っぽく喋る瞬っていうのは。さぞかし中性的で可愛らしいんだろうな。放映されたら見てみようか。」
瞬「見ないで！あれは僕じゃない！僕じゃないから！紫龍はどうだったのさ！レッサーパンダオスカルは！」
紫龍「大変だった。俺はレッサーパンダの役だったんだ。」
氷河「ふうん、動物なんて簡単だろ。何たって絵はできてるわけだし。」
紫龍「ほう、じゃあレッサーパンダの鳴き声ってどんなだか知ってるのか。」
氷河「え・・・・・・？」
瞬「レッサーパンダの鳴き声って・・・・・チュッチュとか？」
紫龍「それを俺はやったんだ！レッサーパンダなんて訳の分からない動物の声！獣の声で鳴くんだぞ！人間の俺がレッサーパンダなんてできるか！」
一輝「気持ちになりきればできるだろう。人間も動物も基本的感情は変わらないだろう。」
紫龍「じゃあ、やってみろ！嬉しい時と哀しい時怒る時の鳴き方に変化をつけられるか!?」
一輝「う・・・・・・・・できない。」
紫龍「人間にくだらないことで躾られてる気分だった。人間止めた気分になった。」
瞬「いいじゃない。カタピロトゲトゲになるよりはさ。」
紫龍「どういう慰め方だ。」
氷河「たまには動物に成り下がって人間を見上げるのもまた一興だろう。是非見せてくれ。」
紫龍「絶対やだ。そういうお前はどうだったんだ？」
氷河「そうだな・・・・・・瞬になった気分だった。」
瞬「はい？」
氷河「俺がやったのは、身長150，1センチしかない小柄の男子高校生でな、容姿が子供っぽくて可愛いんだ。サド男に玩具にされて可愛らしくおんおん泣いて。隠れショタの勇ましいヒロインに守られるって感じで。喜怒哀楽がもう豊か豊か。俺にみたいに普段無口で仏頂面の俺にあんな感情豊かな事できない！」
瞬「わ〜〜そっちのほうが僕良かったな。」
氷河「プロデューサーからは可愛らしく泣け！とかもっと微笑め！とか無理難題をふっかけられてな。地獄だった・・・・・・」
星矢「で？やったんだよな？勿論。」
氷河「ああ。素人の俺の為に、可愛らしいお遊戯の曲かけてくれたり、ぬいぐるみとか抱かせてくれて何とかな。」
紫龍「大きな幼稚園児って感じだな。」
氷河「・・・・・・止めてくれその言い方。」
星矢「あはははは！見てみて〜〜〜！絶対みたい！ショタ顔のキャラで氷河が可愛らしくなんて絶対貴重！カミュに見せたい！」
氷河「それしたら魔鈴さんにお前のキザ声を送りつけてやる。」
星矢「げ、それはやだ！一輝はどうだった？」
一輝「言いたくない。」
瞬「え〜〜〜、だめだめ！皆話したんだよ。兄さんも聞かせてよ。」
紫龍「地獄は慣れてるだろ？」
一輝「拒否権発動。」

俺は地獄を見てきたを連呼し続ける一輝が見た地獄とは一体!?
瞬「だめ！拒否権無効！」
紫龍「そうだ。俺達には知る権利がある。」
一輝「俺にはプライバシーを守る権利がある。」
氷河「ふ、話さないのなら、俺に考えがある。」
一輝「何だ？」
氷河「俺達全員方言で喋ってやる。はい！スタート！期限は一輝が話し出すまで！」
演技をして完全にふっきれたのだろうか。それをやることに聊かの恥じらいもなかった。
瞬「何で言うてくれへんのどす？あてが嫌いになったんどすか？」
星矢「どぎゃんことがあったと？おいどんらにはなせんとか？」
紫龍「わしらは親友じゃろう？何話しても笑わんけーうちらにはなしてみー。」
氷河「皆地獄を見てきたんや。一輝だけ話さんのは平等じゃないんとちゃうか？」
さて、誰がどこの言葉であろう。はっきりいって、正しくない言葉だらけだろう。いいのだ、ニュアンスだけ一輝に伝われば。
瞬「アバオルガフェロガ。」
一輝「お、おい瞬どうしたんだ？」
星矢「宇宙公用語第二惑星金星語だ。訳は、バカバカお馬鹿！お前の腹でーべーそーと仰ってます。」
氷河「エトグアジェオギ」
一輝「今度は何だ。」
星矢「おめえなんてでえっきれえじゃあ、きかせんのやったら、香港にうりとばしてやらあと仰ってます。」
紫龍「ロトリトリュシチロアオルツゴシ」
一輝「今度はい、一体？」
星矢「金星ば連れていって焼き人間にしてくっちまうぞと仰ってます。」
演劇は人を変えると言う。なんと息の合う漫才だ。一輝も・・・・・白旗をあげざるをなかったのだった。
一輝「止めろ・・・・・話すから普通になってくれ。」
瞬「わあい！良かった！で？兄さん聞かせて聞かせて。」
一輝「俺の行ったやつはな・・・・・・・・・」
長い間。思わずごくりと息を飲む。

















一輝「エロゲーだ!!」







声優界は奥が深い。深い深い世界をお互いの地獄談を交換する事で知る事ができたのだった。ちなみに、一輝の役があろうことか受けで、しかも相手は女性声優だったというのは唯一残される秘密である。



あとがき
随分と遅くなってしまって申し訳ありません。55000を踏んでくださったのは有閑さんでした。お題は声優！こんなのでいかがでしょうか。声優が奥が深いですよ。アニメ、洋画、CM、ゲームと活躍する場が沢山！私もどこか一つ場所で位置を決めたいものです。パロディに分かっていただけたでしょうか。少女革命ナテラは少女革命ウテナです。星矢の役は子安さん演じる桐生冬芽ですよ。マリア様にみられてるは、マリア様がみてるです。百合チックなイメージむんむんですよ。レッサーパンダオスカルは、あらいぐまラスカル。ラスカルを演じる為に野沢雅子さんは動物園に半年通い、だした結論は、あらいぐまは泣かないということ。おまけの小森君はおまけの小林君です。とても童顔で可愛らしいぼっちゃんです。それを氷河が演じました。ぬいぐるみとか抱いて収録ってのは嘘ですよ♪小林君の声優は実際はピカチュウで有名な大谷育江さんです。一輝はエロゲーですねえ。お疲れ様。うちの一輝はおこちゃまなのでエロゲーなんて無理ですね。受けで相手が女性声優って現実じゃありえない話。でも、声優界ではありますよ。今井由香さんは男性を演じるだけあって攻めもやったことがあるとか。声優の世界少しは分かっていただけたでしょうか。浅堀だったかな。深堀は話ができませんでした。ディープすぎるのよ。

BY　MUTUMI