プラスティックの仮面
沙織「とてもおもしろかったですよ。」
サガ「それは感激の至りです。」
星矢「そうそう！美穂ちゃん達も大喜びだったぜ。」
瞬「練習大変だったでしょう。」
サガ「血のにじむような努力を重ねた。結果が現れてとてもうれしいよ。」
紫龍「他の黄金もみんな騒ぎまくっているな。舞台がうまくいったから当然か。」
事の始まりは星の子学園の子供のためにパーティをしたいと星矢が言ってきたことだった。
そのパーティに黄金も借り出されたのである。
話しあうこともなく、黄金にだされた演目は『演劇』であった。
今日は『無事に公演を終えてお疲れさまパーティ』つまり打ち上げである。
瞬「ねえねえ、どんな練習したの？聞かせてよ。」
氷河「音響とか照明とかも大変だったろ？」
星矢「てゆーか、黄金をまとめるの大変だったろ！」
サガ「そうだな・・・・誰も彼もが素人だからそれはそれは大変だったな・・・・」
サガ「さてと。私が演出のサガだ。異論ないな？」
トップ好きの彼は演劇でもトップを選んでいた。
シュラ「俺達演劇に関して素人だぞ。どうすればいいんだ？」
サガ「その辺は演劇好きの私に任せたまえ。ドリフからシェークスピアまで何でも見ている。」
ムウ「ドリフと一緒にされちゃシェークスピアも泣いてますねきっと。」
サガ「それじゃ、スタッフ業の話するぞ。」
延々一時間。
サガ「というわけだ。みんなわかったな？」
シュラ「・・・・・・。」
サガ「おい。」
ムウ「・・・・。」
サガ「寝るんじゃない馬鹿者！！！！」
紫龍「ほ〜、それは難儀だったな。」
瞬「苦労のほどがうかがえるよ。」
沙織「それで？練習は上手くいったのですか？」
サガ「それが全然・・・・・。」
アイオリア「あなたの瞳はすいこまれそうな深い青で、僕の心も・・・す、す、」
カット！
サガ「アイオリア。お前これ十度目の失敗だぞ。」
アフロディーテ「いい加減口説いてくれないと困る。」
デスマスク「俺も、待機してるんだけど。」
アイオリア「すまん。俺も言おう言おうと思ってるんだがなかなか口が・・・」
ムウ「まったく。例え相手がアフロディーテとはいえ、これは演劇ですよ？口説き文句の1つも言えないんですか。」
アイオリア「演劇でも口説くことなんかできるか！」
ムウ「やらなければ話は進みませんよ！」
アイオリア「セリフ削ってくれ！」
ムウ「できません！」
サガ「わかったわかった。とりあえず素に戻って演技してみよう。アフロディーテを魔鈴だと思ってデートに誘ってくれ。」
アフロディーテ「それいいかも。好きな人を口説く方がリアルだよね。」
サガ「はい、それじゃスタート。」
アイオリア「魔鈴・・・・・」
さあ、次の言葉はなんだ？
アイオリア「星矢は元気か？」
カットカット！！！
サガ「お前は！本当に魔鈴が好きなのか！」
アイオリア「好きだ！」
ムウ「本当に呆れますよ。何で次のセリフが星矢は元気かなんですか。」
アイオリア「それは、星矢は魔鈴の弟子だし、俺も知ってるし・・・・」
アフロディーテ「口説き文句にすらなってない。朝の挨拶だよそれじゃ。」
デスマスク「んじゃ、夜会った時バージョンやってみよう。」
ムウ「もう少し設定つけましょう。きれいな夜景で一言呟いてください。できるだけクサイセリフで。」
サガ「じゃ、再度スタート。」
アイオリア「魔鈴・・・・・」
さあ、今度こそ！
アイオリア「君の目玉に乾杯。」
カットカットカットーーーーー！！！！
サガ「アイオリア！お前、魔鈴に嫌われるぞ！」
アフロディーテ「不思議なものだね。瞳を目玉に変えただけで途端にグロくなる。」
デスマスク「てゆーか、そんな単語に作り変えた言語センスに乾杯だ。」
サガ「アイオリア、最後の質問。魔鈴と食事に行きたい。どこに行く？」
それ以上バカな真似はさらすなよ・・・・
アイオリア「吉○家」
いっぺん死んでこい！！
氷河「な、なるほど、それは大変だったな。」
星矢「アイオリアって本当奥手だよな。昔からそうだよ。」
瞬「まあ、魔鈴さんも随分兄貴的な性格の持ち主だけどね。吉○家でも十分喜びそうだし。」
沙織「スタッフの方はどうでしたか？」
サガ「それは・・・・・」
サガ「うーむ、上演に際して、照明と音響が不可欠だが・・・・」
カミュ「機材ゼロだぞ。」
ミロ「借りてくるか。」
ムウ「高いところはダメですよ。」
サガ「・・・・キャットは？」
ムウ「却下。」
サガ「やっぱり。」
ムウ「どうせろくでもない舞台なんです。そんなもの使う価値ありません。」
サガ「やる気なくすようなこと言わないでくれ。」
ミロ「なあ！猫って光だすのか？」
サガ「は？」
ミロ「キャットって、言ったじゃん！猫の目ってよく光るけど、照明のライトになるんだ！」
サガ「なるはずないだろ！」
ムウ「CATというのは、照明の機材を貸してくれるところのことです。猫のことじゃないんですよ。」
ミロ「なんだ！そっか！猫使うのかと思った。」
サガ「照明に猫なんか使ったら、にゃーにゃーやかましくてしょうがないだろう。」
ミロ「言われてみればそうだな！はは！」
ムウ「使うならこのレンタル会社にしてください。死ぬほど安いです。一泊百円。」
サガ「お前どうやったらそんなところみつけられるんだ。」
ムウ「努力と根性です。」
サガ「金がかかると本当に強いなお前は。そこは機材はある程度そろってるのか？」
ムウ「大丈夫ですよ。」
サガ「じゃあ、そこで借りるとしよう。」
ムウ「そうしましょう。」
サガ「ミロ、カミュ、借りてきてもらえるか。」
カミュ「いいぞ。何を。」
サガ「イトーとホリ。」
カミュ「イト―とホリ・・・」
ミロ「わかった！がんばってくるな！」
――翌日――
ミロ「たっだいま〜〜！」
サガ「おかえり。借りてきたか？」
ミロ「無理だった！」
サガ「なに！既に予約が入ってたというのか！？」
カミュ「というか、一般人じゃアポもとれなかった。」
ムウ「・・・どういうことです？」
ミロ「その代わり、俺、ホリやるから勘弁して。」
カミュ「私も・・・できる限りがんばる。」
サガ「・・・・カミュのその姿はなんだ。サングラスに帽子・・・・」
カミュ「テリー伊藤に扮装してるんだが・・・・見えないか？」
ミロ「俺もやるから見て見て！『何見てんだよ！』」
サガ「キ○タクに扮したホリだろうがそれは！」
ムウ「まったく・・・カミュがいながらこの有様とは・・・泣けてきますね。」
カミュ「むう、何か間違ったか。」
ムウ「間違いも間違い。大間違いですよ。イトーとはテリー伊藤のことではなくITO。照明の機材の1つ。で、ホリは、物マネ芸人ホリではなく、ホリゾントライトのことです。」
カミュ「そうだったのか・・・・」
サガ「お前ら、照明の仕事だってこと抜け落ちてただろ。」
星矢「俺もそんな間違いおこしそうで笑えないなこれは。」
氷河「カミュがそのような間違いを犯すとは・・・信じられん。いや、信じん。」
沙織「劇場準備はどうでした？うまくいきました？」
サガ「・・・・・・。」
サガ「さあ、明日からハコいりだ！」
アルデバラン「俺たちは男だが・・・・」
シャカ「独身宣言かね。」
サガ「違う！明日から劇場準備をするために劇場に入るという意味だ！」
アルデバラン「なんだそうだったのか。」
シャカ「なら最初からそう言えばいいのに。紛らわしい。」
サガ「劇場準備では照明と音響が大事だ。音響担当のカノン、照明担当のミロとカミュ、働いてもらうぞ。」
ミロ「おうよ！」
サガ「劇場は九時にあくから、搬入するだろ。舞台づくりをやって、昼食食べて予定では舞台づくりが終わるのは３時。」
ムウ「それからサウンドチェックですね？」
サガ「そう。それが多分・・・・３時間もあれば終わるだろう。だから、６時からシュートをする。」
シャカ「何故、劇場内でサッカーをやるのだ？劇は○林サッカーではないぞ。」
カノン「どうせならバスケットの方がいい。」
サガ「は？何を言ってるんだ。」
シャカ「シュートと言ったではないか。」
サガ「馬鹿者！シュートとは照明の位置設定のことだ！」
シャカ「紛らわしい。何故シュートなどというのだ。」
サガ「知るか！」
ムウ「で、その後場当たりきっかけですね？」
カノン「行き当たりばったり？」
ムウ「場当たりきっかけです！どこをどうしたらそんな風に聞こえるんですか！」
カノン「で、そのばったりって何だ？」
ムウ「セリフや音にあわせて照明を当てたり、音楽を流したりする大変重要なことですよ。行き当たりばったりとは全くもって逆です。」
カノン「俺達の人生が行き当たりばったりだから、何とかなると思うがな。」
ムウ「達をいれないでください勝手に。私はそんな生き方してませんよ。」
カノン「金儲けのところだけはな。」
サガ「終わり次第ゲネ。」
シャカ「ゲネとは何だ？」
サガ「リハーサルのことだ。」
カノン「なんだそっか！俺、てっきりサガが、語尾にゲネってつけるようにしたのかと思った〜」
サガ「そんなはずあるか！」
カノン「でも、有名なのあるじゃん。〜ナリとか〜でやんすとか〜ぶぁいとか。」
ミロ「俺、サガだゲネ！なんて！」
デスマスク「アテナ、お待ちしておりましたゲネとか！」
アフロディーテ「ギャラクシアンエクスプロージョンゲネ！」
ミロ「終わりにゲネいれたら技でないんじゃないか？」
デスマスク「技名呼称は単なるアイオリアの為の付属品だ。語尾がおかしくったって別にかまわないだろう。」
アイオリア「なんだ俺のための付属品って。」
デスマスク「だって技名喋らなかったらライトニングボルトかプラズマかわからないだろうが。」
アイオリア「失礼な！」
カノン「うーん、なかなかおもしろい。流行語大賞狙ってみるか！？」
サガ「いい加減にしろ！」
沙織「私達の知らないところでそんな苦労があったんですね。」
瞬「ゲネ語か・・・・」
星矢「おもしろそうだけどな。デスマスクなんて使いそうじゃないか？」
デスマスク「サガ〜こっち来て飲むゲネ〜！」
星矢「・・・・使ってるのか。」
ミロ「店員さ〜ん、ジョッキもう１つ欲しいゲネ〜！」
アフロディーテ「カシスオレンジ１つゲネ〜！」
瞬「なんか、流行りまくってるみたいだけど。」
星矢「俺もやってみよっかな。」
沙織「癖になると止まらなくなるからやめなさい。」
紫龍「それに俺達そろそろ帰らないと。」
サガ「そうだな、もう１２時まわるし。」
沙織「それでは私達はこれで失礼します。」
サガ「今日は打ち上げに来て頂きありがとうございました。」
瞬「あなた達は何時まで打ち上げするの？」
サガ「午前５時まで。」
星矢「げっ、オール！？」
沙織「皆さん演劇で疲れているでしょうにそんな無茶をしなくても。」
サガ「だからです。」
紫龍「どういうことだ？」
サガ「明日の片付けをばっくれさせないためにやるのだ！」
な、なにぃ！！
沙織「本当にご苦労様ですサガ。」
瞬「ファイト！黒くならないように無理しないでね。」
星矢「流石黄金をとりしきるアンタだけある。」
紫龍「演劇って大変だな。知らなかったよ。」
氷河「我が師に無理をさせないよう頼むぞ。」
車田泣きをしながら、無責任な青銅＋アテナは居酒屋を後にするのだった。
あとがき
ものすご〜くひさしぶりのキリリクでした。７２２２７番のゲッターはたぬきさんでした。え〜っと、これは少々ノンフィクションが含まれています。ほんのわずかですけどね。一体どこかは内緒。書いててとてもおもしろかったです。スタッフと役者の打ち分けですが、サガが演出で、ミロカミュで照明、音響カノン。詳しくは書きませんでしたがムウはというと会計です（笑）役者はアイオリア、デスマスク、アフロディーテ。それ以外はなんだったのかなあと本人でも思ってたり。シャカが役者・・・怖いな（笑）
おまけ。ラスト氷河のセリフ我が師って入力したら和菓子ってでてきました。
古典的ながらもおもわず苦笑
BY MUTUMI