イヌと忠誠の境目
星矢「・・・手紙が来たから、赴いてみたけど、一体なんだろうな。」
瞬「さあ・・・・ゴシック体だから誰が書いたのかよく分からないね。」
紫龍「危ない詐欺だったらすぐ帰ろうな。」
氷河「しかし・・・・・即席で作ったバラックなんてチャチだな。」
四人は差し出し人の名前も住所も書かれてない手紙を送られ、今日、この地図の場所に来るように言われていた。いかにも怪しげであるが、とりあえず、危険信号を感じたら帰ろうと思い、やってきた。
『諸君、良く来た。今日諸君らに来てもらったのは他でもない。』
星矢「おお！スピーカから声が！」
瞬「ボイスレコチェンジャー使ってて誰かよく分からないね。」
『このビデオを見てもらいたい。そして、こちらからの質問に遠慮なく答えてくれ。』
ブウンとテレビがつき、ブラウン管に映像が映し出される。
『A国J氏とH嬢の関係。』
タイトルテロップがでかでかと放映される。
H『J。』
J『何ですか？H様』
H『大変申し訳ないのですけれど、お使いに一緒に行ってはくれませんか。』
J『勿論です。』
H『荷物もあるのですが・・・・・・』
J『私が持ちましょう。』
H『重いですよ。』
J『私はこれでも神闘士！H様のお荷物一つ運べないで何が神闘士ですか！』
H『すみません。それではよろしくお願いしますね。』
J『は！』
・ ・・・・・・・
H『J、大丈夫ですか？』
J『大丈夫です。』
H『隣国の友好の象徴の像を持っていく約束をしたので・・・・・かなり重いので大変でしょう？』
J『大丈夫です。私はまだ持てます。・・・・・・はぁはぁ。』
H『やはり一人でやらせるべきではありませんでした・・・・・今からでも誰かを呼んで・・・・・』
J『本当に大丈夫！やめてください！他の人を呼ぶのは！』
H『何故です？MやHに手伝ってもらったほうがあなたも楽でしょう？ね、そうしましょう。』
J『いえ、これは私が頂いた仕事！折角二人きりだというのにMやHに邪魔されてたまるもんですか！H様。大丈夫です。』
H『そうですか・・・・本当にありがとうございます。』
『さて、これはイヌか忠誠か。』
星矢「え？」
瞬「どういう質問なの、それ。」
『いいから答えろ。これはイヌなのか忠誠なのか。』
紫龍「う〜ん、お使いで荷物を運ぶってところは忠誠っぽいけど・・・・・」
氷河「妥協策をだしてるのに、それでも頑なに拒むところはやっぱりイヌか・・・・」
『では、次のVTRを見て欲しい』
ブチッと映像が入れ替わる
『A国H氏とH嬢の関係。』
同じようなテロップで会話は始まった。
H『ねえ、H。』
H『何ですか？H様。』
H『ねえ、H。HはA一強いのよね？』
H『そう自負してはおります。』
H『なら、私が呼んだらすぐに来て助けてくださるわよね？』
H『当たり前です。このH。地の果てからでもそのお声を聞きましょう』
H『頼もしいわ♪よろしくお願いしますね、H』
H『は！』
それでH氏とH嬢の会話は終り、今度は先ほどのH嬢とお茶をしている。
H『美味しいですね、H。』
H『ええ、Hお姉様。』
H『Aがいくら冬将軍の支配する国とはいえ、夏にはアイスクリームを食べたくなりますね。』
H『やっぱり、アイスクリームはH・ダッツが一番！』
H『H様！お呼びですか!!』
H『え・・・・・H。』
H『今私の名前を呼びませんでしたか。』
H『いえ、大丈夫よ。』
H『そうですか。私の勘違いの様ですね。』
『さあ、これは忠誠か、イヌか!!』
星矢「間違いなくイヌだろ。」
瞬「よっぽど好きなんだね、Hさんが。」
紫龍「しかし、よくあれだけの声量で聞こえたものだ。聞き耳でもたててたのか？」
氷河「それじゃ、イヌじゃなくて、変態かストーカーだ。」
『それでは次だ。』
『M界、R氏とP嬢の関係。』
またも似たようなテロップだ。しかし先ほどと違い、どうも、雰囲気が違う。ちょっとあの世系である。
P『R。』
R『は。』
P『今日、Oの琴の日なのは知っておろうな。』
R『は、それは勿論。』
P『今日はぜひ、お前も出席してほしいのだ。』
R『・・・・・・え？』
P『驚くのも無理はない。いつもはH様と私だけなのだからな。』
R『いや・・・しかし私は・・・・』
P『遠慮するとは流石は冥界三巨頭の一人Rだな。だが、今日は遠慮などしなくてよい。H様の許可もとっている。今は、平和なのだ。少しは音楽に心を奪われてもよかろう。』
R『わ・・・・分かりました。』
P『よろしい。では行くぞ。』
そして場面展開し、ジュデッカへと移る。
O『O参上しました。』
P『おお、待ちわびたぞ。今日はRも一緒だが、よいな。』
O『・・・・・・・・え。』
P『何を驚いている？Rは知っているだろう？』
O『いえ、芸術に耳を傾ける事など、心から向かないRが音楽鑑賞などなさるのかと思ってちょっとビックリしただけで。』
R『P様！それは嘘です！私は音楽を心の底から愛しています！』
P『・・・・・Rはそう言ってるぞ。』
O『・・・・・・・・僕の思い違いですか。すいません。』
R『分かればいいんだ分かれば。』
O『・・・・・・今日はRもいるし、いつもより長く演奏しようと思うのですが。』
P『おお、それは良いな。お前の音楽は聴けば聴くほど味がでるからな。終るのがいつも寂しく思えるのだ。』
O『それでは今日は・・・・・・六時間でいかがでしょう。』
R『ろ、六時間!?』
O『音楽好きには、たまらない数字でしょう？』
R『だ、だが、六時間って一日の四分の一の時間で俺は仕事も・・・・』
O『仕事ご苦労様です。M界に休日はありませんからね。』
R『だから、俺はパス・・・・・』
P『R。私との約束を違えるつもりか？』
R『う!!!』
P『先ほど演奏につきあうといったばかりなのに。私より仕事を選ぶのか？』
R『演奏六時間聴かせていただきます！』
P『だそうだ。三人分、心をこめて演奏してくれ。』
O『承知しました。』
そして、心を揺さぶるような、旋律が響いた。
『さて、これはイヌか忠誠か。』
星矢「微妙だな〜〜これは。忠誠であるし、イヌでもあるような。」
瞬「Oの言葉から察するに忠誠って感じがするような感じもするけど・・・・」
紫龍「紙一重だからな〜これは。」
氷河「仕事より女を選ぶところはイヌに見えなくもないんだが・・・・」
『諸君ご苦労だった。君らの意見は大変役に立った。礼の品が、外のテーブルの上に置いてある。もって帰ってくれ。』
星矢「大丈夫なのか？その土産。」
瞬「毒とかだったりしない？」
紫龍「盗品じゃないだろうな。」
氷河「あとで法外な値段ふっかけるなよ。」
『大丈夫だ。心配するな。』
少々不審を残しながらも、青銅四人は外のテーブルに置いてあった品を手に取り帰って行った。
？？「ふう！終ったわね！」
バラックの奥の部屋から、何と沙織がでてきた。
沙織「協力ありがとうシュラ！」
シュラ「アテナ・・・・・何故今回こんなことを？」
沙織「ほら、うちは沢山闘士がいるでしょ？冥界の方が多いけれど。なんだかね、妙に忠誠が薄いような気がしたから。」
シュラ「そんなことは。ムウもミロもアルデバランもアテナのお言葉にはちゃんと従いますよ。」
沙織「なんかね、アスガルドや冥界に比べると、あなたの為なら命投げ出すぞ！って情熱が少ない様に感じたの。ヒルダにはジークフリート。フレアにはハーゲン。パンドラにはラダマンティスがいるのに。イヌと思えるくらいの忠誠心の彼らを持ってるわ。それが何だか羨ましくて。それに・・・・裏切り起こしてるのってうちしかいないのよね・・・・・」
シュラ「それには言葉もないのですが・・・・・」
沙織「だから、ああして、調べてみたのだけれど・・・・」
シュラ「・・・・・はあ。イヌに見えるというのが圧倒的でしたが・・・・」
沙織「それみたい。」
シュラ「は？」
沙織「私が欲しかったのはそれみたいなのよね〜〜」
シュラ「はい？」
沙織「イヌが欲しかったみたい。」
シュラ「え？」
沙織「そうよ。聖域にはイヌがいないのよ。城戸邸にはいるのよ、邪武が。そうか。そうね。」
うんうんと妙に納得する沙織。
沙織「聖域にも誰かイヌが欲しいなあ〜〜」
そこはかとない不安をシュラが感じたのは、至極当然のことであった。
あとがき
33333はきく様が踏んでくださいました。リクエストは忠誠。こういうリクエストは初めてだったので、どんな話にしようかな〜といろいろ考え、どの世界でもOKと仰られていたので、いっそできるだけいれちゃえ!!と思い、このような話となりました。アテナ側は滅茶苦茶裏切り多いですからね〜〜暗黒聖闘士を筆頭に、映画でも、ハーデス編でもかなりの聖闘士が寝返ってます。何ででしょうね。笑って読んでいただけたら嬉しいな♪
BY MUTUMI