ヒカリのごとく！
星矢「引き受けなければよかった・・・・」
瞬「今更言ったって遅いよ」
呆然と立ち尽くす青銅５人。台風が吹き荒れたがごとく荒れ果てた場所に彼らはいた。え、そこはどこだって？
聖域？
ノンノン。
城戸邸である。
星矢「俺達にさ・・・・大掃除なんて無理だったんだよ・・・あははは」
紫龍「達って言うな達って」
氷河「沙織さんが帰ってきたら何て言う？」
一輝「敵が攻めてきたから応戦したって言えばいいだろう」
星矢「それはだめだよ！！俺達が止めるのもきかないで本拠地に乗りこんでっちゃうよ！」
瞬「そして、いるはずのない敵に本当に捕まって、僕達が助けに行くことになるよ！」
紫龍「・・・・お前ら、沙織さんのこと本当によく理解してるんだな」
星矢「そりゃもう、つきあいの濃密さが黄金聖闘士とは違うよ。プレミアムカルピスくらい違うって」
一輝「カルピスだったら原液が一番濃いだろう」
星矢「そらそうだけど、あれをそのまま飲める奴なんかいるか？」
一輝「だからだ。飲むに耐えんくらいお嬢は濃いってことだ」
星矢「なるほど！一輝、冴えてるな！」
瞬「待ってよ星矢。今はカルピスと沙織さんの関係を議論すべきじゃないでしょ。問題はその沙織お嬢さんにこの光景をどう説明するかってことだよ」
紫龍「簡単だろ。大掃除をしていたらゴキブリが出現。よせばいいのに修行の一環だと言ってペガサス流星拳で退治し始める。家具の隙間に逃げ込んだゴキブリを持ち前の大雑把さで、家具ごと粉砕。音の大きさに驚いてネズミが登場。ダッシュして向かってくるネズミをサークルディフェンスでふっ飛ばし、硝子をコナゴナに。思わず殺してしまったネズミに自責の念を感じてなのか、氷の棺を作るように頼む。ネズミだけにしとけばいいものを、粉砕した家具まで葬ってやらなければ可哀相だというシベリアじこみの自論を展開し、壊れた家具を残らず氷漬けに。その非常識さにぷっつんして、鳳翼天翔で家具を溶かすも、威力がコントロールできずに半分以上を消し炭にしてしまった・・・これがこの惨状の全貌だ」
星矢「う〜む、素晴らしい連携プレーだな。さすがは兄弟」
紫龍「全然素晴らしくない！連携するにも程がある！どこかで止められなかったのか！？」
氷河「止められなかったからこうなったんだろう。というか、お前が止めろ」
瞬「そうだよ。止める場所はどこにでもあったでしょ」
紫龍「なんだ、俺のせいになるのか？燃えなければ最悪は修繕・修復でどうにかなったのに、一輝が消し炭にするから」
一輝「修繕でどうにもならないほど木っ端微塵だっただろ。どうせ粗大ゴミ行きだ。俺はそのゴミだしの手間を省いてやっただけだ。それより、氷河が氷漬けなんて発想をしなければ、俺はキレることはなかったものを」
氷河「お前はどんな時だって大体キレながらの登場だろ。リュムナデスの時も、冥界に乗り込んできたときも。初登場だってブチギレだったじゃないか。俺じゃなくても、キレてる運命だろ。俺が氷の棺を作ることになったのも、そもそもは・・・・・」
瞬「僕のせいだって言いたいわけ？僕はネズミだけでいいって言った筈だけど？家具まで凍らせろとは言ってないよ。僕のせいって言うなら、ネズミが飛び出る原因を作った星矢はどうなの！」
星矢「確かに全ての元を正せば、俺が原因だと思う。俺がゴキブリをペガサス流星拳で倒そうとしなければこんなことにはならなかったと思う！！だけど、よく考えてくれ！！この部屋が最初から汚くなければ、俺は掃除なんてすることはなかった！！」
「なるほど、よくわかりました」
えっ！その声は・・・・・・・
沙織「私が最強最悪の諸悪の根源ってことですか」
さ、沙織さん！！！！？？
星矢「あ、あの、今の会話聞いて・・・・」
沙織「ええ、ばっちり」
瞬「ど、どの辺から？」
沙織「プレミアムカルピスのあたりからですよ」
星矢「げげっ！そんな前から！！？」
氷河「全然小宇宙を感じなかった・・・・」
沙織「ふふっ、私は神です。小宇宙を消すことくらい朝飯前ですよ。それにしても今流行りのエコに協力するなんて、さすがお爺様の実子。部屋の中をすっからかんにするなんて、並大抵のことじゃありませんよ」
星矢「サンキュ！あははは！」
一輝「嫌味だバカ！」
沙織「私、あなた達の使い方を大いに間違ってました。体力だけで知力のないあなた方に、大掃除などというものができるわけがありませんでした。きっと、大掃除という漢字も書けないでしょう」
星矢「それくらい書けるぜ！」
沙織「では書いてみてください」
星矢「いいぜ！『大そうじ』ほら、書けた！」
沙織「・・・・・・・・・」
紫龍「星矢、まだ書くところあるぞ」
星矢「ええ！？『おおそうじ』で全部じゃん」
一輝「大馬鹿を証明しちまったな」
瞬「兄さん！あまりにストレートすぎます！せめて、『おおそおじ』と書かなかっただけよかったくらい言ってください」
氷河「『そおじ』でも『そうじ』でもあまり変わらない気がするがな」
瞬「それはね、氷河。君のヘッドパーツが、アヒルでもおまるでも大して変わらないって言ってるようなものだよ」
氷河「バカ！両方違う！あれは白鳥だ！！」
沙織「話が大分それてきたようですが、あなたたち体力バカには、別のもっとピッタリ合うお仕事を与えます。それをやってください」
体力バカにピッタリの仕事とは一体・・・・？
瞬「なるほど。これなら僕達にピッタリだ。ハァハァ」
一輝「てか、お嬢の奴、俺らのこと恨んでるだろ。フゥフゥ」
紫龍「なんで、俺までこんなとばっちりを・・・ハッハッ」
氷河「そりゃあ、兄弟だからだろ。ヒィフゥ」
星矢「なあ、でもいつまでやればいいんだろ・・・ホッホッ」
彼らがいるのは、グラード財団の地下の一室。
その名も『聖闘士発電所』
ルールランナーで走った分だけ電力が生まれ、城戸邸内で使用されるというものである。
瞬「これ、今まで鋼鉄聖闘士がやってたんだってさ」
一輝「あいつら、出番がないと思ったらこんなとこで走ってたのか」
紫龍「え・・・つまり、俺たちはクビってことなのか？」
氷河「いや、学力があがったら、許してもいいって沙織さん言ってたぞ」
星矢「え・・・それってつまり・・・・？」
辰巳「第一問！北海道で行われるサミットを何て言う？」
紫龍「洞爺湖サミット」
辰巳「正解！！」
瞬「何、まさか、こうやって答えていくわけ？」
辰巳「そうだ。全員正解するまで解放しないからがんばるんだぞ。では次行くぞ！」
そして、３時間後・・・・・
瞬「せ、せいやぁ・・・・ほんと、君・・・・バカでしょ・・・」
紫龍「お願いだ・・・俺を解放してくれ・・・・」
一輝「いっぺん死んでみるか」
氷河「マーマ・・・もうすぐあなたのお側にいきますよ・・・・」
辰巳「第二百三十問！サニーサイドアップとは何か！」
星矢「た・・・・太陽が横にあがる！」
ブーッ
氷河「太陽は横にはあがらん・・・せめて白夜と言ってくれ・・・・」
紫龍「星矢・・・お前、よく食べてるじゃないか、目玉焼き・・・」
星矢が正解するまでに、彼らの体力が尽きるのが先か。
それとも、お嬢が鋼鉄聖闘士を気に入ってしまい、お払い箱になるのが先か。
さあ、明日はどっちだ！！？
あとがき
キリリク133333を踏んでくださったのは羽鳥様でした〜！お題は『城戸邸大掃除』。ギャグにしてみました。星矢が羞○心ばりのおばかになってしまった・・・。とばっちりを食らってしまった紫龍が可哀相でした。紫龍は老師に育てられただけあって、頭は良いと思います。星矢たちの破天荒ぶりが書けてとっても楽しかったです。タイトルは某執事漫画からとったのですが、執事とは無関係なネタでした。でも、最初に決めてしまったので、他のタイトルが思い浮かばなかったのです。羽鳥さ〜ん、どうぞ受け取ってくださいませ〜★
ＢＹ ＭＵＴＵＭＩ