ごめんね、素直じゃなくて★
寒さがより一層厳しい２月の昼下がりの出来事である。ジャミールに、客人が訪れた。
童虎「ムウ、いるか？」
ムウ「これは老師。わざわざジャミールまでおこし頂くとは大変いたみいります」
童虎「なんのなんの。たまには動かんと体がなまってしまうからのう」
ムウ「老師は見た目はジジィ、中身はヤングという逆コナン状態ですからね。ぜひお体大事になさってください。ところで、老師、どのような用事でいらしたんですか？」
童虎「いやいや、たいしたことではない。春麗が漬けた梅酒が良い具合につかったのでな。お裾分けにきたんじゃ」
ムウ「それはありがとうございます。では、こちらからも、質の良いナッツオイルが手に入りましたので、ぜひお持ち帰りください」
童虎「ありがとうのう」
童虎から梅酒の壷を、ムウからナッツオイルの小瓶が手渡される。
童虎「さてと、そろそろお暇するかの」
ムウ「もうですか？まだお茶も出してませんのに・・・」
童虎「あまり遅いと春麗が心配するのでな」
ムウ「おやおや。愛されてますね、老師」
童虎「一応、イクメンじゃからのう」
確かに、イクメンと言われればイクメンだが。
２４８歳からの子育てって・・・数字の何もかもが間違ってる気がする。
童虎「それではの。息災で過ごせよ」
ムウ「はい。老師もお体大事になさってください」
ナッツオイルを手にジャミールの館をあとにする童虎を見送る。それが２月の５日の出来事だった。それからしばらくは聖衣の修復が忙しく、御飯を食べ忘れるほどの生活をしていた。そうして、月がかなりふくらんだ頃。
ムウ「ふわぁ・・・聖衣の徹夜はこたえますねえ。少し眠りますか」
あくびを１つすると、寝室にもぐりこんだ。そのまま数分もしないうちに寝息を立て始める。そうして、どれくらいの時が経ったのだろうか。ゆさゆさと誰かに揺さぶられて目が覚めた。
ムウ「なんですか・・・」
貴鬼「ムウ様！！」
ムウ「聖衣の修復なら、また後にしてくださいって伝えてください」
貴鬼「いえ、そうじゃなくて！棚の小瓶が１つ消えてます！」
ムウ「・・・小瓶・・・？ああ、それは老師に差しあげたんですよ。だから、大丈夫です」
貴鬼「・・・超強力の下剤をですか？」
怪訝そうな貴鬼の声に、ガバッとムウは跳ね起きた。すぐさまベッドから出て、棚へと走ると、いろんな瓶が並んでいる列の中、ぽっかりと１つスペースが空いている。
ムウ「・・・本当だ・・・超強力下剤がない・・・」
顔が真っ青になる。それは、ムウがジャミールの薬草を配合して作ったもので、はっきり言って、一度飲んだらトイレの怪人に成り果ててしまう。
ムウ「ナッツオイルは・・・！」
貴鬼「ここです」
子供特有の高い声が、ナッツオイルのある場所を指差す。ナッツオイルは何故か、棚ではなく、窓辺に置いてあった。
貴鬼「ムウ様、このナッツオイルは日に当てたほうが旨み成分が抽出されて良いっておっしゃってたじゃないですか」
ムウ「・・・そういえばそうだった・・・」
貴鬼「棚にスペースがあくのは見た目が美しくないから、その間はコレで塞いでおこうって、超強力下剤を置いてましたよね」
ムウ「うっかり忘れてた・・・！今からでも間に合うだろうか。料理に超強力下剤でもいれられたら大変だ！貴鬼、急いで中国に行きますよ！」
貴鬼「はいっ！！！」
二人は精神を集中させると、すぐさまテレポーテーションで中国に飛んだ。
ムウ「老師！！！！」
老師「どうした、ムウ。そんなに急いで」
ムウ「ナッツオイルを返してください！」
老師「・・・それは・・・ちょっと無理かもしれんのう」
ムウ「くっ・・・タダではダメですか。わかりました。洗剤５個と、サラダオイルをつけますから！」
老師「いや、それでものう・・・」
ムウ「さすがシオンの親友だけありますね。確かにシオンも洗剤５個くらいでは頷いてはくれませんでした。わかりました。ＡＫＢ４８の握手券を５枚用意しますから！」
老師「ホッホッホ、シオンはエーベーケーが好きなのか」
エーベーケ―・・・。雰囲気は似てるが、間違っている。
（ちなみに、管理人の知り合いのチビッ子は、エーベーケーに入りたいと言っています）
ムウ「うちの馬鹿師匠は、私をＡＫＢにいれたいとか言ってました。お前は女顔だからイケる！！総選挙があったら８８票は確保してやるって言ってました。この身長で誤魔化せるわけないじゃないですか」
身長の問題なのか？
老師「おやおや。聖闘士の組織票じゃあ勝てんぞ。しかも、わしは春麗推しだしのう」
ムウ「まぁ、確かに私も春麗だったら推してもいいかな・・・とか思いますが・・・って違います！！今はＡＫＢについて語ってる場合じゃないんです。ナッツオイルをどうしたら、返して頂けるか教えてください！」
老師「返すのは、ちと・・・無理なんじゃ」
ムウ「さっきもおっしゃってましたね。何故、無理なんですか？」
最初からそう聞けばいいのに。大阪商人魂を発揮するから寄り道することになるのだ。
老師「ここにないんじゃ」
ムウ「は？ないとは？」
老師「紫龍に送ってしまった」
な、なにぃ――――！！！！
五老峰の鳥が思わず逃げ出すほどの大声が響き渡るのであった。
瞬「し〜りゅう、何してるの〜？」
紫龍「すまん、起こしてしまったか」
ここは日本の城戸邸。２月１４日の明け方である。瞬が眠そうな目をゴシゴシ擦りながらキッチンにやってきた。紫龍は目をパッチリと開け、楽しそうに動いている。
紫龍「ちょっとチョコレートを作っていてな」
甘い香りを漂わせながら、満足げな笑顔を見せた。キッチンカウンターには、アルミ箔が置かれており、その上にコロコロと可愛らしいトリュフチョコが並んでいる。
瞬「・・・友チョコ？」
紫龍「いや・・・春麗に」
瞬「ってことは、本命だね。バレンタインに紫龍からチョコレートを贈るだなんて、珍しいね」
紫龍「いつも先にもらうばかりだから、今年は逆にしようって話したんだ。外国じゃ、男から贈るわけだし、問題はないだろう」
瞬「喜んでくれるといいね」
紫龍「ああ、そうだといい」
瞬「上手にできてるね。中華料理しか作れないと思ってたよ」
紫龍「中華料理の方が得意だが・・・。俺のこと、日本人だって忘れてないか？」
瞬「でもほら、ハーデス十二宮編では、登場効果音がチャイナだったじゃない」
紫龍「確かに、俺もそれには驚いた。チャイナ服着てればみんな中国人なんだろうか・・・」
瞬「だったら、今度は氷河にチャイナ服を着せてみればいいんじゃない？え、お前何人って感じになってパニックになるよ」
紫龍「いや、別に混乱させたいわけじゃないしから」
瞬「良い香りがするね。ナッツの匂いがする」
紫龍「春麗はナッツが好きだからな」
ノロケを思わせるような発言をして、紫龍がキッチンを片付け始める。根がマジメなので、ナッツオイル１滴逃さず布巾で拭き取っていく。その後で、用意したラッピングにトリュフチョコを丁寧につめていく。春麗の名前をイメージして、ピンクの袋とリボンだ。
瞬「お店で売ってるみたいじゃない」
ムウ「本当ですね」
シュンッと颯爽とムウが現れた。いきなりの登場に瞬も紫龍も目を見開く。
紫龍「ムウ！！貴鬼に、老師も・・・！」
老師「久しぶりじゃの」
紫龍「あらかじめおっしゃって頂ければ、迎えに行ったのに」
ムウ「おや、このチョコレートは・・・」
紫龍「はは、それは・・・」
ちょっと照れ臭そうに笑う紫龍に、ムウは勝手に袋をあけてクンクンと匂いをかいだ。
ムウ「こ、このアーモンド臭・・・！！青酸カリが混入されてますね」
紫龍「はいっ！！？」
ムウ「これは危ないところだった。このチョコレートは私が責任もって、処分致しますから」
紫龍「ちょっと待った、ムウ！その無茶苦茶な論理展開はなんなんだ！！」
老師「紫龍、我慢せい。わしは、愛弟子を犯罪者にはしたくない」
紫龍「老師まで何を言ってるんですか！」
貴鬼「あ、あのな、これは・・・」
ムウ「お前は黙ってなさい！！」
ドゲシッ！！
ムウの肘鉄が貴鬼のみぞおちに見事に決まった。貴鬼を肩にかつぐと、ムウが何事もなかったようにニッコリと笑った。
ムウ「弟子が失礼しました。ロミオとジュリエットをするには、少しばかりお国柄が合っておりませんよ。パンダだらけのロミジュリって・・・」
紫龍「ちょっと待て。百歩譲って俺は日本人だ。日本にパンダはごろごろいない」
ムウ「ああ、そうでしたか。青銅の皆さんは、修行地にいたのに誰もその国の洋服に染まってないではありませんか。あなただけですよ、修行地の服を現在進行形で着ているのは」
紫龍「確かにそうだが・・・じゃあ、アイオリアはどうなんだ」
ムウ「あれは、服のセンスが皆無なだけです。フォーマルとカジュアルの意味すらわかってないと思いますよ」
瞬「隙あり！！ネビュラチェーン！！」
ネビュラチェーンが、ムウにめがけて放たれる。命中精度を誇るソレは、ムウの手を傷つけぬ角度であたり、空に舞った袋をもう一本のチェーンで袋を絡めとり、紫龍の元へと運んだ。
瞬「油断しましたね。だらだら長話をする人は負けると決まってるんですよ」
ムウ「ふっ、平和的に解決できればいいと思ったんですがね。ならば、はっきり言いましょう。チョコレートをよこしなさい！！」
紫龍「・・・もしかして・・・・・・！！」
瞬「まさか、信じられない・・・！」
義理チョコすらもらえていないのか・・・！！
紫龍「聖域でチョコレートの数を競い合っていて、まさかゼロ個だなんて言えないから、こうしてやってきたと・・・！」
瞬「コンビニで買えばいいのに・・・！」
紫龍「いや、それはダメだろう。買ってるのを見られたら、恥ずかしいに決まってる」
瞬「人のを奪いにきてる時点で、恥じらいなんか何もないと思うけどね」
ムウ「何を馬鹿なこと言ってるんですか！チョコレートくらい、山ほどもらえますよ！！」
瞬「え、そうなんですか！！確かに、顔はイイですもんね」
紫龍「問題点は、あのジャミールまで運ぶのが困難ってところか」
瞬「いや〜、それもあるけど、性格もどうかと思うよね。ところどころ修復不可能なくらい歪んでるし・・・」
紫龍「それでも、歳暮感覚で贈っておかないと聖衣を二度と修復してもらえないぞ。ムウ、よかったら一粒食べてくれ」
ムウ「絶対嫌です！！！！！」
瞬「・・・・・なんか、矛盾してない？」
ムウ「矛盾は、紫龍の十八番でしょう」
紫龍「それはそうだが・・・シュラといいクリシュナといい、盾がまったく役に立たない敵ばっかりにあたってるんだが・・・」
ムウ「それは宿命だと思って諦めなさい。アルデバランだって、音楽といい、匂いといい、肉弾戦が通用しない相手ばっかりにあたったが為に敗北してばっかりじゃないですか」
瞬「確かに負けっぱなしだよね・・・。星矢とは引き分けだとしても、勝てた戦いって１つもないね・・・。シドバドにだってやられちゃってるし。戦いに向いてないって言われる僕ですら、全戦全勝なのにね」
ムウ「あなたには超強力の召喚獣もいますしね。乙女座って本当、一筋縄じゃいかない人たちばっかりですね」
瞬「紫龍、この場は任せて！！早く、そのチョコレート持って、五老峰まで行って！」
紫龍「すまない、瞬。このお礼は必ずする！」
踵を返し、一心不乱に駆け出そうとする紫龍をムウが制止しようと手を伸ばす。
ムウ「待ちなさい、紫龍！！」
瞬「追わせませんよ！！ネビュラストリーム！！」
キッチンにピンク色の風が立ちこめる。ムウはなんとか動かそうと体をよじるが、まとわりつく風がそれを阻止する。
瞬「黄金聖闘士だからって、手加減しませんよ」
ムウ「さり気に黄金聖闘士を下にみましたね」
瞬「映画版になればなるほど、黄金聖闘士は役立たずじゃないですか」
ムウ「しょうがないでしょう。私達が目立ったら、聖闘士星矢という大枠が成り立たなくなります。それに、９０分という間に、黄金・青銅あわせて１７人もの数だしたら、アルデバランなんてセリフがなくなります」
瞬「ハーデス十二宮編でそれは証明されたでしょう。何を今更。人の恋路を邪魔するやつは馬にけられてしまえって言葉があります。ここはしばらく、じっとしてもらいますよ」
ムウ「ふっ、敵が私達だけと思わない方がいい」
瞬「なんですって！！」
ムウ「強力な援軍を頼んであります」
不敵に笑うのだった。
紫龍「ハァハァ・・・チョコレートを渡すだけで、どうしてこんなスリリングなんだろう」
ぜいぜいと肩で息をしている紫龍。このまま空港に向かおうと、ポケットに手を突っ込んだ。
紫龍「しまった・・・財布がない・・・！」
陽気なサザエさん状態になってしまっていた。
紫龍「どうしよう・・・帰るわけにもいかないし、金を借りようにも、俺には星矢たち以外に友達がいない」
？？「私が金を貸そうか」
振り返ってみると、東京のど真中にアリエスのシオンがいた。
紫龍「シオンッ！？どうしてこんなところに」
シオン「そんなことはどうでもいいだろう。中国へ帰るのに、金がいるのだろう。私が貸してやる」
紫龍「すまない。この恩は必ず返す・・・！」
シオン「いやいや、恩は、このチョコレートをくれればよい」
紫龍「なにぃっ！！？」
シオン「チョコレートの相場と比べてみろ。はっきりいって、こっちの方がお得だぞ」
紫龍「ムウといい、あなたといい、どうしてこのチョコレートにそんなこだわるんだ。金粉なんて入ってないぞ」
シオン「金粉１００％だったら、逆にどんな手を使っても奪い取るぞ」
紫龍「それってもはやチョコレートじゃないよな・・・」
シオン「問答無用！！！チョコレートをこの世から葬りさってくれる！！」
紫龍「え、やっぱりバレンタインに何か恨みでもあるのか・・・！？」
シオン「やかましい！！私は２４８年間チョコレートなどもらったことなどないわ！！」
紫龍「むしろ、教皇の生きてた時代にバレンタインにチョコレートを贈る文化があったかな・・・？」
シオン「ええい！！面倒だ！！チョコレートごと吹っ飛べ！！」
スターライトエクスティンクション！！！
紫龍「大雑把すぎやしないか〜〜〜〜〜！！！」
声が薄れていくと共に、紫龍の体も少しずつ消えていった。シオンはパンパンと手を叩くと、コリをほぐすように首を回した。意識を集中させ、コスモでムウに連絡をとる。
シオン「ムウ、紫龍は始末したぞ」
ムウ「それはありがとうございます。おケガはありませんか？」
シオン「教皇ともあろうものが、あんな小童に傷つけられるはずなかろう」
ムウ「そうですか。こちらはキッチンが全壊しました。瞬のネビュラストリームと、私の起死回生をこめたサイコキネシスがぶつかりあってしまいまして。でも、おかげでナッツオイルは回収に成功しました」
シオン「それはよかったな。あの下剤は、私が一世紀以上研究を重ねたもので、１滴で像も倒れるくらいの破壊力だからな」
ムウ「１人で一世紀も研究できるのはあなたぐらいでしょうね・・・。で、紫龍の持っているチョコレートは処分できましたか？」
シオン「ああ。紫龍ごとスターライトエクシティンクションにかけてやった」
ムウ「え、それって・・・！どこに飛ばしたんですか？」
シオン「とりあえず飛んでいけと思ったから、特には決めてないが・・・紫龍といえばチャイナ服、チャイナ服といえばパンダで中国かな？」
ムウ「それじゃ意味がありません！く・・・しょうがない。最終手段にでましょう！！シオン、お願いがあります！！」
ムウからお願いの内容を聞かされたシオンは、むすっとして憎まれ口を叩いた。
シオン「師匠をあごで使うとは大した態度だ。貸しにしておいてやる」
ムウ「感謝します！！」
紫龍「こ、ここは・・・・・」
？？「あら、紫龍、目が覚めた？」
見覚えのある風景、聞き覚えのある声に起き上がると、そこは自分が長いこと暮らした家だった。台所でお湯を沸かしているのは、自分の思い人である春麗だ。
紫龍「とすると・・・ここは五老峰なのか？」
春麗「そうよ。今日の夕方にはここに来るって言ってたのに、まさか昼前に空から降ってくるなんて想像もしなかったわ」
紫龍「はは、俺も飛行機使わないで来るとは思わなかった。ビザもパスポートもない状態で、どうやって帰ればいいんだろう・・・？」
冬季寒中水泳でもするしかないんじゃないだろうか。
春麗「紫龍、右手に持っているものは？」
紫龍「ああ、これは・・・君へのバレンタインチョコレートだ」
技で吹っ飛ばされても、袋は離さなかったらしい。シオンとの問答のせいで、ラッピングが少しヨレヨレになってしまったが、中身は無事だ。春麗がカサカサとラッピングを外すと、手製のトリュフチョコが現れた。
春麗「紫龍が作ってくれたの？」
紫龍「ああ。美味しいかどうかわからないが・・・」
春麗「ふふ、今食べちゃお」
ココアパウダーのついたトリュフチョコを手にして、微笑む。その時、ほんのわずかだが、風が吹いたような気がした。
春麗「うん、美味しい・・・！！！」
紫龍「良かった・・・！！」
お互い、うれしそうに笑う。ちょうどお湯がわき、口直しの中国茶が淹れられる。少しミスマッチだったが、幸せに変わりはなかった。ラブラブな雰囲気を遠くで見守る軍団がいた。
ムウ「ふぅ・・・無事、すり替えに成功したようですね」
紫龍特製のトリュフチョコを手にしてムウが胸を撫で下ろす。ムウのテレポーテーション能力を使い、手にした瞬間にトリュフチョコを摩り替えたのだった。
瞬「というか！！下剤入りだったら、最初からそう言ってくださいよ！！どうしていつも説明が足りないんですか！！」
ムウ「説明してる時間がないと思ったから省いただけですよ」
瞬「大事なところを省かないでください！！大体、どんな時も１番肝心なことを本人に伝えないまま話が進んじゃうんですよ」
老師「まぁまぁ、ポセイドン編でわしの眼が怪しく光った事も、軽くスルーされておることじゃし、それに免じて・・・」
瞬「免ずるポイントがズレてません？」
シオン「まったく、馬鹿弟子が。この時期にトリュフチョコを買って来いなど。チョコレート売り場の乙女たちは、はっきり言って、雑兵よりも目が血走って恐かったぞ」
瞬「沙織さんと美穂さんも凄いと思いますよ。彼女たちなら、魔女ばりの恋のおまじないしてても不思議じゃないですし。ところで、城戸邸のキッチンを破壊してくれちゃって、どうしてくれるんですか」
ムウ「春麗のお腹が無事だということで相殺にしてください」
瞬「なりますか！！あなたが原因じゃないですか！！」
ムウ「しょうがないですね・・・後でキッチンを修復しにいきます」
老師「春麗が幸せそうで何よりじゃ。こうやって遠くで見てると、一介の村娘で終わらせるにはもったいないくらい可愛いのう。やっぱりエーベーケーにいれるべきか」
シオン「童虎、貴様もAKBに入れる気なのか。今度やるオーディションの応募用紙を持ってるからわけてやろうか」
老師「おお、それはありがたいのう」
ムウ「ちょっと待った。シオン、どうしてあなたがオーディション用紙なんて持ってるんですか」
シオン「無論、応募しようと思ってるからだ」
ムウ「あなたがですか？」
シオン「ムウ、お前をだ。お前の容姿なら、絶対通用する！！私の弟子が負けるはずがないっ！！次のカゴメのセンターはムウが頂く。聖闘士の新たな星になるのだ！！」
ムウ「・・・シオン・・・・・」
怒りでフルフルと拳を震わせたかと思うと、ふわふわと下剤入りのトリュフチョコが浮いた。
ムウ「バレンタインデーキッスをどうぞ！！！」
光速でトリュフチョコが飛び、シオンの口に飛び込んだ。吐き出そうとしたが、サイコキネシスの強い力で阻まれてできなかった。
・・・・ゴックン。
瞬「・・・・・あらら・・・」
貴鬼「・・・おいら、知らない・・・」
目を覚ました貴鬼が、顔を真っ青にして呟いた。さて、この後、どうなるかはトイレの神様だけが知っているだろう。
星矢「ちょ、これ、どーなってるんだよ―――！！！」
丁度その頃、たっぷりのおまじないがこめられた２つのチョコレートを手にして、絶叫した。冷蔵庫は見るも無惨に凹み、皿が辺り一面に割れている。
星矢「新たな敵でも現れたのか！？今日の昼飯どうすりゃいいんだ！！？」
敵と昼飯が同列の扱いというのは、いかがなものだろうか？
とりあえず、チョコレートでお腹を満たすのがいいだろう。
それぞれのバレンタインに、乾杯ッ！！
あとがき
１６５０００番はよこいそ様が踏んでくださいました〜！！ひゃっほう！！春麗にチョコレートを渡したい紫龍を阻む、老師＆牡羊座師弟というテーマを頂きました。てなわけで、こんな感じにギャグになりました。スペシャルサービスで瞬も登場ですっ。今回、ムウ様が相当かっとんでますね。瞬ちゃんも突っ込みのキレがすごいです。彼らは、やはり破壊とは無縁のようです。AKBが途中で登場してるのは私の趣味です。実は結構AKBが好きなもので★エーベーケーも実話です。３歳のチビ姫はエーベーケーに入りたいそうですよ★マガジンで連載中のAKB４９は凄くおもしろいのでオススメッ！AKBがわからなくても十分イケるッ！てか、AKBじゃなくて架空のアイドルの話だったら、もっともっとハマると思うっ。みのりちゃんの根性素晴らしいッ！！
キリリクを楽しんでもらえたら、うれしいなッｖｖｖ
BY MUTUMI