アテナの思いつき！
沙織「暇！暇暇暇暇暇！」
沙織はアテナ神殿で暇を訴えていた。グラード財団の仕事も片付き、オフである。と、いうか、不況の折で仕事が極端に減り、アテナとしての任務につくことのほうが多いのであった。勿論、アテナとしての役目もゼロに近い。
沙織「シオン！シオンはいないの！」
シオン「は、アテナ。シオンここに。」
沙織「シオン、暇で暇で仕方ないの。何かいいアイデアは無いの？」
シオン「そう言われましても・・・・」
沙織「貴方教皇でしょ！しかも若返ってるし！それとも私の命令が聞けないの!?」
どこかで聞いたような台詞である。
シオン「滅相もございません。」
沙織「なら、考えてよ！じゃないと、アテナ辞める！」
シオン「そ、それは・・・・」
沙織「辞めてもいいじゃない！辞めれば普通の女の子になっておつきあい・・・・ん？女の子？」
シオン「どうかされましたか？アテナ。」
沙織「そ〜っだ！いい事思いついちゃった♪」
そう言って晴れやかに笑う沙織。シオンは、アテナのいいつけで、アテナの影武者となったのだった。
シオン「聖闘士の諸君！教皇として命令する！見合いをする事！」
聖闘士「な〜に言ってるんだバカ教皇！」
大ブーイングが出た。
デスマスク「何言ってるんだ！一気にボケたのか？」
ムウ「シオン、一体何を考えているのです？」
アイオリア「俺は・・・・見合いはしたくない。」
星矢「そうそう！それに俺達まだ十三だ！」
シオン「うろたえるな小僧―!!」
聖闘士「うわあーーーー!!!」
聖闘士全員シオンの秘儀卓袱台返しで吹っ飛んだ。
シオン「うろたえるな！これは非常に建設的な事だ。今は平和である。平和になったのならば、人間の摂理に乗っ取った方がいいのだ。皆いい歳であろう？恋愛は無理だろう！黄金は特に！なので！結婚を前提にした集団見合いを決行することにしたのだ！」
カノン「どっちにしろやだ！俺は家庭に縛られたくは無い！」
デスマスク「まだ若い！結婚なんて結構だ！」
ムウ「それに、アテナ以外の人と結婚なんてして良いのですか？私達はアテナの聖闘士なのですよ？」
シオン「口答えするな！既に見合いの人は見つけてある！全員必ず明日日本の竜宮殿という所に集合だ！」
聖闘士「マジ!?」
シオン「マジだ！以上で教皇の謁見を終る！」
シオンは退室していった。
瞬「どうするの？本当にその人と結婚しなくちゃいけないの？」
紫龍「俺には春麗が・・・・」
氷河「俺にも絵梨衣さんが・・・・・」
一輝「俺にもエスメラルダが・・・・」
星矢「俺は・・・・誰かいたっけ？」
瞬「つまりフリーは僕達だけなんだね！困った！」
邪武「俺はお嬢様じゃなきゃ嫌だ。」
星矢「いっそ、明日のお見合いでお前決めちゃえば？そもそもどこに惚れたんだよ。」
邪武「全部！以上！」
瞬「はあ・・・・・僕の運命どうなっちゃうんだろう？」
聖闘士は明日、聖域を留守にして日本に向かう。ちなみにその謁見の中に女聖闘士はいない。今、神が復活すれば、地上は滅ぶが、タイミングのいいというか、要領のいい神は存在しなかった。
沙織「ふふ！楽しめそうね！」
シオン「アテナ・・・・本当に結婚してもいいのですか？」
沙織「別にいいんじゃない？結婚したところで能力が劣るわけでも無し！」
シオン「女人禁制なのはそういうわけでもあったのだろうか・・・・」
沙織「そうそう、後女性陣のことなんだけれどね・・・・」
ヒソヒソヒソヒソ・・・・
シオン「いいのですか？」
沙織「アテナ公認ですからいいんです！」
シオン「後、リストの中にしっかりと・・・・・」
沙織「これは半分お遊びだもの。彼女達にはちゃんとアポ済み。知らん振りしてって頼んであるから。それに気付かないのならあの子達の愛情が足りない証拠よ！」
シオン「分かりました。」
日本に着いた聖闘士達。竜宮殿のプレートには聖闘士集団見合い会場というものがしっかりと書かれていた。
瞬「嫌だな・・・・」
星矢「楽しもうぜもっと。」
氷河「ま、すぐ断ればいいわけだしな！」
紫龍「そういうことだな。」
向こうの白銀サイドでも肩を落としている人がいた。
オルフェ「ユリティース・・・・・」
アステリオン「お前も災難だな。」
オルフェ「ユリティースとだったら、すぐに婚姻届だしに行くのに。」
アルゴル「それもまた羨ましい。どこであんな彼女見つけたんだ？」
オルフェ「アテネで演奏してたら、涙までこぼしてくれたんだ。それでお互い一目ボレ。」
アステリオン「運命的なものだ。」
少少羨ましくなった、彼女いない歴＝年齢の白銀達であった。一方黄金は悲喜こもごもであった。
カノン「良く考えたら！別に結婚なんてしなくてもいいんだよな！すぐ断っちゃえば！」
デスマスク「そうそう！今日は何だか酒も一杯飲めそうだし、いい感じじゃねえか？」
サガ「いいな、能天気で。」
ムウ「そうですよ。シオンのことだから、何かありますよ。」
カノン「何かって何が？」
ムウ「さあ、あの人の頭の中は解剖してみないと分かりません。」
アイオリア「魔鈴・・・・・・」
シャカ「いいではないか。仮面の素顔すら見せない魔鈴よりも、素顔を見せて性格が良く、金持ちの娘と結ばれれば！」
アイオリア「貴様！魔鈴を悪し様に言うとは何事だ！」
シャカ「事実だ。」
アイオリア「魔鈴は性格もいいし、スタイルもいい！声も可愛い！顔がわからないだけで。」
シャカ「大問題ではないか。」
アイオリア「別に関係ない！どんな顔だって俺は愛せる！」
ムウ「それは素晴らしいですね。」
アイオリア「サンキュ。」
完全にぞっこんのアイオリア。車田世界の女子でブスはありえないというのも一つの原因かもしれない。アニメ化されたら尚更美人だろう。
シオン「良くきた。」
聖闘士「来なきゃどうせ殺されるだろ！」
シオン「教皇に酷い口をたたくものだ。しかし！選りすぐりの女子を選んだので、ちゃんと吟味して選んでくれ。ちなみに、婚姻届は女性が持っている。これは！と思ったらすぐ結婚する事！」
聖闘士「何言ってるんだバカ野郎！」
シオン「うろたえるな小僧――!!!」
玄関前ではた迷惑な聖闘士と教皇であった。
大きなパーティホールである。不況のわりにがんばった物だアテナ沙織。
シオン「それでは！集団見合いを開始する！これが今回集まってくれたお嬢さんだ！」
カーテンがさーっとひき、女性達が現れる。
聖闘士「おお〜〜〜！」
女性達はどれも上級。皆可愛い。どんなネットワークを使えば集まるのだろう。
シオン「それでは心行くまで楽しむと良い！」
シオンはどっかりと椅子に座った。わらわらと女性が近づいてくる。
星矢「あれ？何だか見た事あるような人たちがいるような・・・・」
紫龍「何？」
星矢「ドレスの所為かな？思い出せない。あ、君。」
？？「は、はい。」
星矢「俺とあった事無い？前。」
？？「え、えっと・・・・」
星矢「俺の名前は星矢。君は？」
美穂「美穂っていいます。」
星矢「へえ、美穂って言うんだ。俺の知り合いと同じだ。そう言われると何だか雰囲気もそっくりだ。」
美穂「そう？」
星矢「何だか話しやすそう！」
美穂「じゃ、お話しましょうか。」
星矢と美穂は話し始めた。
紫龍「おいおい。しっかり教皇の罠にはまってるぞ。すまないな、君も来たくてきたわけではないだろう？」
？？「あ、あの・・・・」
紫龍「ああ、すまない急に話しかけたりして。俺の名前は紫龍。君は？」
春花「は、は、春・・・春花っていいます。」
紫龍「そうか。可愛い名前だね。」
春花「趣味は？」
紫龍も春花と話を始めてしまった。
氷河「おいおい。お前まではまってどうするんだ。」
？？「こんにちは。」
氷河「こんにちは。」
？？「綺麗な瞳と髪ですね。」
氷河「母がロシア人なもんでな。」
？？「そうなんですか。」
氷河「君は？」
絵梨「えっと・・・・・絵梨っていいます。」
氷河「へえ、絵梨さんっていうんだ。」
絵梨「氷河さん、こっちで西瓜食べませんか？美味しいですよ。」
氷河「食べる。俺、西瓜好きなんだ。」
絵梨「知ってますわ。」
氷河は絵梨に手をひかれ、テーブルに行ってしまった。
瞬「あ〜あ。どうしよう。」
一輝「ふん、くだらん。」
？？「瞬！」
瞬「え？」
？？「一緒に話さない？」
瞬「一度お会いしましたっけ？」
？？「・・・・・人が言ってたのを聞いたの。」
瞬「そうなんですか。」
ジュジュ「私の名前はね・・・・ジュジュって言うの。よろしくね。」
瞬「僕は瞬です。」
ジュジュ「ふふ。」
瞬「ジュジュさんって僕の知り合いに似てます。あ、不快に思わないで下さいね。ただそう思っただけですから。」
ジュジュ「別に大丈夫よ。さ、お話しましょ。お兄さんとは離れないと。」
瞬「え、僕何時・・・・」
ジュジュ「さあ、昔話でも話しましょう。」
瞬もジュジュと一緒に向こうに行ってしまった。一輝は仲間がいなくなって一人立っている。別に心の人はエスメラルダなので、馴れ合う気など無い。見合いしてるなんて言ったらきっと傷つくだろうし。
一輝「帰ろうかな・・・・」
？？「帰っちゃうんですか？」
一輝「え？」
話しかけてきた人は、エスメラルダに良く似ていた。服と、つけているバレッタを除けばうりふたつだ。雰囲気もそっくりで、心が揺れた。
一輝「エスメラルダ・・・・・」
？？「はい、一輝！」
一輝「え？」
？？「あ、えと・・・・・」
一輝「俺、誰にも名前は言っていないが・・・・」
？？「勘よ、勘。ほら、弟さんも言っていたし。」
一輝「弟は悪いが、兄さんとしか呼ばない。」
？？「・・・・・・・」
一輝「君は・・・・」
？？「ちょっと、外に出ましょう。」
殆ど無理矢理だが、少女が手を引き、会場の外に出た。一輝も抵抗できず、ついて行ったのだった。
一輝「何!?」
エスメラルダ「ゴメンナサイ！一輝！」
そう、少女はエスメラルダのそっくりさんでも何でもなく、正真正銘、本物のエスメラルダなのだった。
一輝「全部沙織さんの仕組んだ事!?」
エスメラルダ「沙織さんには黙ってる様に言われたんだけど・・・」
一輝「正直で結構だ。」
エスメラルダ「沙織さんが楽しい事やるからって内容聞かされて、確かに面白そうだったの。一輝が私に気付くかなって不思議に思ったし。気付いてくれたのかな？」
一輝「迷った。しかし、心がエスメラルダと一緒にいるときと同じ感じだった。」
エスメラルダ「良かった！」
一輝「じゃ、じゃあもしかして・・・・・美穂そっくりのも・・・・ジュネは？」
エスメラルダ「アテナのご命令で仮面は外すように言われてるんですって。でも、本当は他言無用なの。秘密よ。」
一輝「分かった。」
エスメラルダ「一輝だけが秘密をしってるのよ。さ、開眼した目で一緒にいてくれるでしょう？」
一輝「ああ。」
エスメラルダ「うふふ！一輝、勿論エスコートしてくれるわよね！」
一輝「ああ。」
今度は一輝がエスメラルダの手をひくと、再びパーティ会場に戻った。
一輝「なるほど。エスメラルダもどきならぬ人物がいるもんだ。」
エスメラルダ「しーっ！駄目よ。」
一輝「いいんじゃないか？知ってか知らずか、鞘におさまってるし。」
エスメラルダ「まあね。」
星矢は限りになく美穂に近い女の子と。紫龍は限りなく春麗に近い女の子と。氷河は限りなく絵梨衣に近い女の子と。瞬は限りなくジュネに近い女の子と話をしている。気付いてるのか知らないが楽しそうだ。自分だけ真実を知ってると、聖闘士の行動が面白く思えてくる。シオンもそうらしく、立派な椅子にどっかりとすわり、高級ワインをかっくらっている。ちなみに女性が近くにいてシオンも会話を楽しんでいる。ハーレム状態でまるでタナトスの様だ。
一輝「あそこにいるのは、黄金か。」
アイオリアが一人の女性に真っ赤になっていた。
一輝「アイオリアの奴顔真っ赤だな。」
エスメラルダ「相手が凄い綺麗だもの。」
女性の容姿は沙織に勝るとも劣らない。
一輝「確かに。しかし真実を知らないアイオリアは不憫だ。振るのだろうか。」
エスメラルダ「しょうがないわよ。アイオリアさん、魔鈴さんの素顔知らないもの。」
一輝「残る手伊達は小宇宙を感じる事だな。」
エスメラルダ「サガさんと、カノンさんってもてる人が違うのね。」
サガ「もともとの性格が全然違うからな。」
カノンには、結構色気のある女の人が訪れ、サガのもとには知的そうな人がおとずれている。黄金はそのニタイプに二分している。デスマスクは当然前者である。
エスメラルダ「やっぱりムウさんとかカミュさんってもてるのね。」
一輝「容姿はいいからな。性格はどうだかわからんが。守銭奴と師匠バカだからな。」
見た目に惹かれてか、大勢の女性がいる。微笑みノックアウト状態だ。カミュもクールな所がツボらしい。
エスメラルダ「老師の好みって年下なのかしら？」
一輝「好みって女の好みじゃなくて、恐らく子供の好みじゃないかな。」
話しかけているのは全部十三くらいの少女である。しかも若干春麗に似ている。
エスメラルダ「でも、老師も十八に若返ったんだもの。十三と付き合ってもおかしくないわよ。」
一輝「ま、まあそうではあるが、戸籍では二百六十一だぞ。あるか分からんけど。」
エスメラルダ「愛があれば歳の差なんて関係ないのよ。」
一輝「そうか？」
エスメラルダ「愛があれば人種の差なんて関係ないのと同じよ。」
一輝「そうだな。俺達そうだしな。」
エスメラルダ「そうよ。」
にっこりと笑いあった。向こうでは、白銀が女性と話している。シリウスや、トレミー、バベルなどの全く日の目を見なかった連中だ。アルゴルとアステリオンは結構もてている。一方オルフェは一人の女性に琴を弾いていた。女性とは勿論ユリティースにうりふたつの女性である。
一輝「オルフェ、気付いてるんだろうか？」
エスメラルダ「多分気付いてるわよ。だって、恋人の為に冥界まで来てくれたのでしょう？」
一輝「エスメラルダ、俺に迎えに来て欲しかったか？」
エスメラルダ「全然！だって一輝には私に縛られずに生きて欲しかったもの。」
一輝「そうか？」
エスメラルダ「それに、今は生きてるわけだし。今度はそう簡単に死なないわ。」
一輝「そう簡単に死なせてたまるか。俺が守る。」
師匠の所為で、死んだのならば、話は簡単。自分が強くなればいいだけだ。既に闘士以外に負けるほど弱くも無いので、その約束は叶うかもしれない。
エスメラルダ「そろそろじゃないかしら？」
一輝「何が？」
エスメラルダ「告白タイム！」
シオン「それまで!!!」
エスメラルダ「ほらね。」
シオンの大きな声に一瞬部屋がハウリングを起こした。
シオン「それでは告白タイムに入る。それぞれ気に入った女のところにいき告白しろ！ちなみに結婚を前提にしたお付き合いだ！」
シオンは満足そうに言うとまた椅子に座った。
星矢「美穂ちゃん・・・・・」
美穂「・・・・・」
星矢「うそっこして知らん振りしてたけど、美穂ちゃんだろ、本当の！」
美穂「え、どうして!?」
星矢「分かるよ！美穂ちゃんが分からない筈無いじゃないか。おおかた沙織さんの提案に乗ったんだろ？」
美穂「うん。でも何時気付いたの？」
星矢「最初の方。最初は気づかなかったけど、美穂ちゃんから美穂ちゃんらしいもの感じたから。」
美穂「何だかいいかげんっぽい。」
星矢「でも美穂ちゃんだって分かったぜ。」
美穂「それで星矢ちゃん・・・・・」
星矢「俺、まだ誰ともおつきあいする気ないんだ。」
美穂「沙織お嬢さんとは？」
星矢「沙織お嬢さん我侭だからちょっとな！美穂ちゃんもまだ妹みたいな友達みたいな感じだし。もうちょっと待ってよ。」
美穂「ずるいわ、星矢ちゃん。」
星矢「ゴメンな、美穂ちゃん。」
星矢はまだ恋愛という単語を知らないらしい。保留だな。
紫龍「春麗なんだろ？本当は。」
春麗「え、何で？」
紫龍「名前偽ったって分かるさ。」
春麗「紫龍。何時気付いたの？」
紫龍「名前聞いた時から。声がもう春麗ですって言ってたから。」
春麗「紫龍・・・・分かってくれて嬉しい。」
紫龍「分かって当たり前だ。婚姻届持ってるのか？」
春麗「とりあえず。」
紫龍「じゃ、四年後の十月四日にしような。」
春麗「・・・・・うん！」
歳の差はやはり問題であるが、二人は結婚に持ちこむ気のようだ。
氷河「絵梨衣さん、この茶番劇良く参加する気になったな。」
絵梨衣「え、氷河さん。私が絵梨衣だって・・・・」
氷河「最初から気付いたさ。名乗ってもいないのに俺の名前呼ぶし、さりげなく好物さしだすし。西瓜も俺と絵梨衣さんを繋げる大事な果物じゃないか。」
絵梨衣「良かった。気付いてくれなかったらどうしようかと。」
氷河「まだ、結婚は考えられない。」
絵梨衣「いいの。まだ若いし、氷河さんだって他の女の人が好きになるかもしれないもの。」
氷河「そうじゃなくて。もっとデートとかしないと結婚する気にならないだろ？」
絵梨衣「え・・・・」
氷河「来週の日曜日あいてる？」
絵梨衣「あ、マコトちゃん達と遠足が・・・・」
氷河「ほらな。これじゃ、まだ遊び足りない！」
絵梨衣「ゴメンナサイ。」
氷河「いいさ。まだ時間はたっぷりあるから。」
恋人を満喫する気の氷河と絵梨衣のカップルであった。
瞬「ジュネさん、どうして仮面つけてないんですか？」
ジュネ「やっぱり瞬にはばれちゃったか。」
瞬「当たり前ですよ。兄さんの話ばっかりして微笑んで静かに聞いてくれる人なんてジュネさん以外にいません。でも、こんな大勢の前で仮面外していいんですか？」
ジュネ「アテナの命令で、今日この見合いに参加する女聖闘士は仮面を外す様にって言われてるんだ。見られても殺さなくていいっていうし。」
瞬「へえ、優しいんだ。」
ジュネ「アテナの単なる暇つぶしのような気もするけど。」
瞬「確かに。今日といい昨日といい我侭な沙織さんの命令のような気がしましたから。」
ジュネ「でも、瞬と話せて楽しかったよ。」
瞬「で、婚姻届は・・・・」
ジュネ「ああ、破って捨てちゃったよ。」
瞬「え。」
ジュネ「だって、私は瞬をそう言う風に考えた事なんてないよ。ずっとお姉さんの目で見守ってきたんだ。これからもそのつもりなんだよ。」
瞬「僕もです。ジュネさんは一輝兄さんのような優しさを持ってて、恋とかの対象じゃないって分かってました。でも、僕はジュネさん好きですよ。お姉さんとして。」
ジュネ「それは勿論私だって好きさ。」
瞬「今度のお墓参り一緒に行きましょうね。」
ジュネ「勿論さ。」
性を越えた友情であった。
シオン（なんだ・・・・青銅どもは何事もなかったか。つまらん。泣いて駆け出すとかそういう面白い事楽しみにしてたのに・・・・）
一輝「バカではなかったか。星矢達。」
エスメラルダ「一輝が私を見破ったんだもの。当たり前よ。」
一輝「俺らは、もう少し待とうな。」
エスメラルダ「勿論♪まだ一緒にデートしてないものね。」
さてさて、白銀である。白銀は、シリウスなどの日の目を見ないチームは女性が断りKO。アステリオンやアルゴルなどのちょっと容姿が良くて鍵となった人物は女性を見つけ、とりあえず、友達からはじめることにした。さて、問題は彼女もちオルフェである。
オルフェ「教皇!!」
シオン「何だ？」
オルフェ「本当に結婚していいんですか？」
シオン「ああ、OKOK。全然構わん。アテナ公認だからな、この集団見合い。」
オルフェ「じゃ、今すぐ市役所に行っていいんですね！」
シオン「まあな。」
オルフェ「僕、今すぐこの人と結婚します！」
ブハッ
とワインを吹き出したシオン。
シオン「おい！本気か！」
オルフェ「本気です！」
星矢「すげえ、オルフェの奴ユリティース捨てる気か？」
氷河「さあな。」
瞬「でもユリティースさんにそっくり。」
一輝「お前らも自分の事はわかっても他人のは分からんのか。」
星矢「一輝、とエスメラルダ？」
エスメラルダ「そうです♪」
一輝「あの女性は正真正銘ユリティースだ。」
全員「何!?」
シオン「本気でか！」
オルフェ「勿論です！公認の今しないでいつするんですか？」
シオン「ユリティースはどうするんだ！」
オルフェ「何言ってるんです！ユリティースを連れてきたのは貴方でしょう！」
ユリティース「オルフェ・・・・」
星矢「本当だ。ユリティースなんだ。」
紫龍「流石恋人。」
瞬「当たり前のような気もするけどさ。」
オルフェ「もうここにサインしました！じゃこれから市役所に行きます。いいですね？教皇！」
シオン「・・・・・・行け。」
オルフェ「じゃ、行こうユリティース。」
ユリティース「ええ、オルフェ。」
二人は手を取り、会場を出ていってしまった。
シオン（本当に結婚するとは思いもしなかった・・・・・いいのかな、アテナ・・・・）
こうして本当に一組誕生してしまったのだった。
星矢「オルフェって結構行動力あるな。」
紫龍「ああ。本当に結婚して夫婦になってしまった。」
氷河「いいんじゃないか？それも。」
一輝「次も見物だぞ。」
エスメラルダ「気付くかしら、気付かないかしら。」
瞬「？」
次は黄金である。
アイオリア「魔鈴！俺と結婚してくれ!!」
その大声に、辺りは静まり返った。一輝とエスメラルダはその言葉に微笑んだ。
星矢「ちょっと待て、この人が魔鈴さん!?」
意識してなかったが、魔鈴と称された女性はとても美人だ。
アイオリア「そうだ。顔は初めて見るが、美人で凄く俺好みだ。」
紫龍「仮面は？」
ジュネ「今日はアテナ公認で、仮面外さなきゃいけないの。」
シャイナ「そういうことさ、星矢。」
星矢「シャイナさん。」
シャイナ「いやあ〜気付かないと思ったけど気づいたか。こりゃ賭けは私の負けだ。」
星矢「シャイナさん魔鈴さんの顔知ってたんですか？」
シャイナ「だって同性だもの。アイオリアが気付かないに一万ドラクマ賭けてたのに！残念！」
嬉しそうに悔しがるシャイナ。
魔鈴「よく分かったね、アイオリア。」
アイオリア「魔鈴の事なら俺が分からないはずがないだろう。話してるうちに、魔鈴にしか思えなかった。」
魔鈴「なるほどね。獅子の名前も形無しというわけではなかったか。」
アイオリア「で・・・・・魔鈴。」
魔鈴「当分はこのままでいいかい？」
アイオリア「と、いうことは・・・・・？」
魔鈴「私の事見破ったからね。考えなくちゃいけないだろ？」
アイオリア「結婚してくれるのか？」
魔鈴「あと、もう四五年人生楽しんでからね。」
アイオリア「やったぁぁぁぁぁぁ!!!!」
大声あげてパーティ会場を飛び出していったアイオリアであった。
シオン（おいおい！ギャグじゃなくなってきたぞ！どうすんだ？て、いうかシナリオと違う！アイオリアがまさか気付くなんて思いもせんかったわい！）
ムウ「私は当分結婚する気ありませんから。貴鬼もいますし。」
カミュ「私もだ。結婚する気は無い。」
デスマスク「俺は、友人としてならつきあってもいいかな。何があっても友達って奴。」
カノン「俺もいいや。まだ人生棒にふるき無いし。」
ミロ「俺、友達になりましょうってのが大半だった。」
シュラ「俺は・・・・・まだ結婚はいい。」
アフロディーテ「何でだろう。一人も話しかけてこない。」
アルデバラン「俺もだ。ハッハッハ。」
シオン（うむうむ。この者達の対応は普通じゃ。ムウが嫁をとらんのは少し残念じゃが）
老師「この娘、ひきとって育てようかな〜なんて。」
聖闘士「何ですと!?」
一輝「これは意外な展開だ。」
エスメラルダ「私も予想つかなかったわ。」
シオン「ど、ど、ど、童虎!?」
老師「この子、両親がいないそうなんじゃ。今まで苦労してきたらしい。紫龍と春麗もそろそろわしの手を離れるし、また一人かのうと思うと・・・・・と、いうわけで、婚姻ではなく、養女として迎えることにした。」
シオン「童虎!?」
老師「大丈夫大丈夫。本当の娘の様に可愛がるから。」
シオン「そうじゃなくて！」
老師「ああ、春麗と紫龍の事か？そろそろ新居でももたせんとの。いいじゃろ？春麗紫龍。」
春麗「あ、はい。」
紫龍「どうぞ。」
老師「よし。二人の承諾も得たし、後は市役所に行くだけじゃ。行くかの。麗華。」
麗華「はい！」
思わぬ展開にアイオリアの告白シーンよりも静かになった。
シオン（ア〜テ〜ナ〜。どうすればいいんだろうか〜？本当に遊びじゃ済まなくなってきたぞ〜）
シオン「皆の者、カップルになった者もならなかった者も楽しんだだろうか！ならんものが多いが。これで終了となる。即刻おのおのの場所へかえるといい。」
聖闘士「教皇！今日の出来事本当にアテナにご報告する気なのですか？」
シオン「無論だ。」
聖闘士「オルフェやアイオリア、老師の事も？」
シオン「勿論だ！」
聖闘士「もしもアテナが誅殺の命をだしても・・・・」
シオン「うろたえるな小僧―――!!!!」
聖闘士「うわあああああ!!!」
シオン「うろたえるなと言った筈だ！これは、アテナのご命令だ！問題は無い！」
一輝「でもな、もともとその命令も気まぐれで出されたものだしな。多分報告したら報告したで新たな思い付きがだされるんじゃないかな・・・・」
エスメラルダ「流石一輝！鋭いわね！」
一輝「今日のくだらなさはもう末代まで伝えられるさ。」
エスメラルダ「私結構面白かったけどな。」
一輝「エスメラルダが楽しんでくれたならまだマシだ。」
こうして、第一回集団見合いは終了した。
シオンは翌日アテナに報告した。
沙織「え〜〜〜、もうお終いなの〜〜〜？」
シオン「はあ、思いのほか上手く行ったのが多くて。童虎など養子縁組までしてしまいました。」
沙織「もっとあっとえっと驚く物は無いの〜〜〜？」
シオン「えっと・・・・・」
沙織「あ！いい事思いついちゃった！」
シオン「え、また？」
沙織「今度こそ♪うふふ。」
アテナのお遊びは当分続きそうだ。一刻も早く、日本が景気回復して、グラード財団が栄え、アテナがこんなくだらないことを思いつかないくらい忙しくなって欲しいと祈るシオンであった。
あとがき
見事10000をゲットされたのはやっこ☆様でした。おめでとうございます！さてお題は一輝＋エスメラルダとシオン。テーマは自由。そしてギャグだったので、こんな感じにしてみました。どうでしょう？一輝とエスメラルダがあまり栄えなかったかな。シオンとの関係が深く掘り勧められなかったのでゴメンナサイ。殆ど脇役です。それと、田舎に帰るので時間が全然とれませんでした。どうしても今日中に仕上ないと宙ぶらりんで気持ち悪い。なので、多分誤字などあるとおもいますが、お許し下さい。10000のリクエスト本当にありがとうございました。
BY MUTUMI