新・源氏物語

サガは悩んでいた。このカノンの娘が食料として送られてきていることに。
麗花「おじちゃん、遊ぼう。」
サガ「すまないが、もうちょっと一人で遊んでいてもらえるか？」
麗花「いいよ。」
白い猫のぬいぐるみを手にして一人お人形ごっこを始める。

サガ（・・・・・・食えと言うのか？この少女を？人間を食えと私に言うのか？できん！できるわけないではないか！）

そりゃそうだろう。

サガ（中国は飢饉でもおこって死にそうなのか！？娘を食料にしなければいけないほど飢えてると！？）

そんな物騒なこと、血の通う親がするわけがないということになぜ気づかない。

サガ（いや、でもカノンならやりかねん・・・・・）

どういう根拠であろうか。

サガ（は！カノンのことを聞くチャンスではないか！？あいつは奥さんと娘を大切にしているのか。奥さんとのなれ初めは！）

後ろ半分は好奇心旺盛な近所のおばちゃんである。

サガ「なあ、麗花。」
麗花「なあに？おじちゃん。」
サガ「お母さんってどんな人？
麗花「お顔がとてもきれいだし、優しいの。麗花のこととっても大事にしてくれるよ。」

サガ（へえ、カノンがそんなすばらしい女性と結ばれるなんてすごいじゃないか）
まったくもって結ばれていない上に養われるという情けない事態である。

サガ「出会いは？」
麗花「おさななじみだって。」

サガ（・・・・・あいつは十三年間親戚づきあいどころか友人づきあいもないのに。その後に至っては海底を悪の根城にしてたのにどういうことだ）
どういうこともそんなこともだから、麗花の父親はカノンではない。

サガ「お父さんは優しい？」
麗花「優しいよ。でも・・・・・」
サガ「な、なんだ！？なにかあるのか！？虐待か？それとも奥さんにDV？」
麗花「帰ってこないの・・・・・」
サガ「な、なななな、何だと！？」

サガ（あいつ！こんな可愛い娘と奥さんがいながら浮気か！くそ！私はそんな風に弟をしつけた覚えはない！ああ、生活が苦しいからって逃げるのか！そういえばあいつは昔からちゃらんぽらんで物事がうまくいった試しがない。ポセイドンだって寝てる間にぶっ殺して自分がなりすませばいいものを、わざわざほっといたんだからな。私にはやはり到底及ばんな。）
結局どちらも負けたのだからどっこいどっこいだろう。カノンをけなすか自己陶酔するかどちらかにして欲しい。

麗花「でもね、カノンおじちゃんがいるから寂しくないの。」
サガ「・・・・・そうか・・・！」

サガ（そうか！わかったぞ！今までのは前夫の話だ！きっと、おさななじみの前夫が他の女に走って麗花の母親が落ち込んでる時カノンが口説いたんだ！そうだ！きっとそうだ！）
きっともそうだもない。もし本当ならそっちこそモノホンの不倫だ。

麗花「麗花カノンおじちゃん大好き。ママもだよ。」
サガ「そうか、それはよかったな。」

サガ（そうか、バカだアホだ思っていたがカノンも人の子。父親になっていたのだな。うんうん。もしかしてこうして贈ってきたのは、大切な娘を飢え死にさせたくないからなんだな。よし、わかった。この子は私が大切に育てようじゃないか。）
勘違いもここまでくると犯罪だ。

サガ「麗花、しばらくここにいなさい。」
麗花「おじちゃんとこにお泊りしていいの？やったあ。」
サガ「麗花、今日のごはん何がいい？」
麗花「イナゴのトウバンジャン炒め！」
サガ「そんなものもう食べなくていい。美味しいもの一杯食べような。」
麗花「・・・・・・うん。」

麗花（美味しいんだけどな。パパの得意の料理なんだよ。）
サガ（ああ・・・・・哀れな。虫がごちそうとは。カノンよ、お前の大事な娘は私が立派に育てよう。中国が再び復興し、腹いっぱい食べられるようになる頃、迎えにくるといい）

勘違いに拍車をかけているサガ。
これでも世界を把握している聖闘士の長だろうか。
とりあえず中国情勢をしっかりと調べてもらいたい。



あとがき
久しぶりのＵＰです。すっかりこのシリーズでは勘違いキャラなサガ。どこまで勘違っていくのかなあ。管理人ですら予想できない・・・・（笑）これからサガと麗花のドタバタギャグ活劇の幕開け・・・になると思います。このシリーズ、いつのまにか、カノンが主役からサガが主役になってってるなあ。まるで種運命みたいだわ(笑）


ＢＹ　　ＭＵＴＵＭＩ