ひっそりと、こっそりと。
最近、アルデバランの態度がおかしいことは皆、気が付いていた。
ムウ「変ですよね」
アイオリア「おかしいな。コスモが暗い」
ムウ「あなた、無神経なこと言ったんじゃないですか？図体でかくて全くの役立たずとか、敵が1人しか倒せないとか、戦力外通告も秒読みだとか」
アイオリア「お前の方がずっとひどいことを言ってるぞ。そんなこと俺が言うものか。1人しか倒せてないっていうなら、ミロなんて誰一人倒せてないぞ。アニメ版の場合、ダイダロスはアフロディーテがトドメさしてることになってるしな。」
ムウ「じゃあ、違いますね」
ミロ「まったく、倒せてないなんて心外だな！！ギリギリまで痛めつけて降参するまでいたぶっただけだ！！十分勝利してる！！」
デスマスク「・・・その発言、俺より非道じゃね？」
ミロ「ゲームのデータが吹っ飛んでショック受けてるとか？」
サガ「ゲームって・・・それしきのことでか？」
ミロ「ゲームを甘く見るなよ。コツコツとデータを積み重ねたデータが一瞬にしてパア！！最初からやり直し！果てしなく面倒くさいぞ！」
サガ「入力したデータで後は印刷するだけってところで電源が切れて、パアになって打ち込みからやり直しになったようなものか。それは辛いな」
ミロ「だろ？」
サガ「ちなみに、電源ぶっちぎったのお前なんだが」
ミロ「え？」
サガ「うまい具合に足でパソコンのコードをひっかけてくれて抜いてくれたよな。ありがとな、余計な手を増やしてくれて」
ミロ「いやあ、照れちゃうなあ」
カミュ「ミロ・・・・嫌味に気づけ。アルデバランはゲームをやる性質じゃないから違うだろう。アルデバランが変になったのはいつ頃からだ？」
デスマスク「五月の中旬くらいじゃないか？それくらいから沈んでるぞ」
シュラ「てことは、五月の上旬くらいに何かあったってことか。何があった？」
アフロディーテ「五月病？」
シュラ「確かに五月にありがちの病気だが、何かがあって五月病になるんだろ？」
アフロディーテ「ほらだからさ、他の人と比べてどうして自分はかませ犬なんだろうとか考えて頭グルグルなんじゃないの？」
シュラ「何を今更言ってるんだ。かませ犬だろうとなんだろうと、黄金聖闘士だろうが。白銀や青銅が聞いたら張り倒されるぞ」
ムウ「無神経といえば、アイオリアやミロですが、ダークホースがいましたね。マジメなだけに手が負えない。シュラ、せめて『かませ犬ではない』くらい言ったらどうです。かませ犬を完全に肯定してますよ」
シュラ「え！いや、俺はそんなつもりは・・・」
ムウ「ええ、わかってますよ。アルデバランには言いませんから」
シュラ「おいっ！！」
ムウ「まあ、仮にかませ犬で悩んでいたとしても、表面化するのが今の時期ってのはおかしいでしょう。悩むなら星矢にやられた頃にとっくに悩んでますから。まさか、雑兵にもやられたとか？」
アイオリア「それはありえんだろう。俺が雑兵にやられたら、むしろ悩む以前に黄金聖闘士を辞職する」
ムウ「会社じゃないですよ、聖闘士は」
アイオリア「それくらいの覚悟でいるということだ。恐らく、悩んでいたとしても力関係じゃないと思う」
サガ「じゃあなんだろうか・・・あ、すまない、話は急に変わるが、今年の私の誕生日だが、カノンと２人で祝おうと思ってるから、パーティとかそういうのはいい。万一祝いたいなら当日より前に企画してくれるとうれしい・・・・・・・・って」
あっっ！！！！！
アルデバランの誕生日！！！
ムウ「忘れてましたよ！完全に！」
サガ「忘れてたな・・・・キレイさっぱり」
カミュ「というか、やった覚えが無いな、誕生日パーティ」
シャカ「誰もやろうとしなかったではないか」
ミロ「やろうとしなかったんじゃない。みんな、やることすら考えて無かっただけだ」
シュラ「俺の誕生日も忘れられがちだったが、アルデバランもだったか・・・」
デスマスク「むしろ、お前よりひどくないか？」
サガ「うっかりしてた。忙しくてできなかったというわけではなく、リアルに完璧に記憶の彼方だった。今からでも遅くない。祝わなくては」
ムウ「ですね。暗くなっていた理由もわかりましたし」
カミュ「どう祝おうか。何をどう祝ったらよろこんでもらえるんだろう」
シャカ「食べ物とプレゼントでも用意すればいいんじゃないのか？」
ムウ「焼肉とか？」
サガ「共食いをわざわざ連想させることはないだろ。ステーキでも用意した方が豪華でいいんじゃないか？」
ムウ「肉の種類にまったく変化がありませんけど？」
サガ「う・・・・豪華といえば牛だからつい・・・」
シャカ「ブラジル料理でも用意すればいいのではないのかね。故郷の料理なら外れないだろう」
ミロ「おっ！故郷の料理ってなんかいいな！でも誰が作るんだ？」
カミュ「ブラジル料理なんて作れないな」
ミロ「俺やろうか！」
ムウ「最近はネットで注文できるみたいですよ。探しましょう」
ミロ「俺やろうか！？」
カミュ「ネットはすごいな。それはどこから金が落ちるんだ？」
ミロ「俺やろうか〜？」
サガ「それは心配ない。経費で落とす」
ミロ「・・・・・・がんばれ〜」
完全にシカトを食らって、あきらめたミロだった。
デスマスク「プレゼントは何にするんだ？」
ムウ「無欲な人ですからね〜。あ、聖衣無料修復券でも贈りましょうか」
デスマスク「そんなの贈らなくても無料でやってやれよ。アルデバランの角、まだ折れたまんまだろ」
ムウ「面倒で。あれくらいなくたって影響ありませんし」
デスマスク「うっわ、究極の一言言った」
ムウ「あの人、何が楽しくて生きてるんでしょうね。趣味があるわけでもなし、肉体増強に命かけてるわけでなし、聖闘士での地位は微妙だし、退屈じゃないんですかね」
サガ「そこまで言わなくても。フツウってことだ」
ムウ「だから印象が薄いんじゃ・・・」
サガ「それ言ったらオシマイだ。心の中だけで言ってろ」
ムウ「コスモでみんなに伝わっちゃいますが・・・」
サガ「じゃ、考えるな！！」
デスマスク「マジ、プレゼント何にしよう。思いつかないんだけど・・・」
シュラ「色紙にするか？」
アフロディーテ「ああ、いいかもね。みんなからの寄せ書きなら、思いもこもってるし」
ムウ「黄金聖闘士のコメントってことでネットオークションに出品されたらどうしましょう」
シャカ「君じゃないんだからそんなことやらないだろう。凡人はそんなことしない」
ムウ「なら、いいんじゃないですか」
サガ「じゃあ、色紙がプレゼントってことにしよう。内容は各自で考えること。条件はただ１つ。ちゃんとお祝いの言葉を述べる事！かませ犬とかそう言った発言は禁止！いいな！！」
おうっ！！！
アルデバラン「・・・・・・・・・・・」
柱の陰で気配を隠したアルデバランがいることにみんな、気が付かなかったのだった。
アルデバラン「俺の知人が亡くなって落ち込んでいたのをそんな風に解釈してくれるだなんて」
ふっと微笑む。
アルデバラン「みんな、良い奴だな」
このことは当日まで聞かなかったことにしようと思った。
確かに、黄金聖闘士の祝おうとした精神は素晴らしい。いいことだ。
しかし
もっとも、良い奴はアルデバラン本人である。
でなければ、８割方、悪口だったあの内容聞いて「良い奴」といえるはずもない―――――
あとがき
始めに宣言しときます。私はアルデバランが大好きです！！バランの癒しが大好きです！！
だからかな、他の黄金がメタメタになってます（笑）この人たちも真剣なんです。ただ、言葉が歯に衣着せぬ人たちばかりなんです←それじゃだめだ〜。
プレゼントが色紙な時点で、センスが斜め方向にかっとんでしまってます。これをよろこぶバランは本当にいい人です。惚れちゃうなｖｖ
アルデバラン、ハッピーバースデー！！
BY MUTUMI
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