Flower Talk

ヒルダ「まぁ、そんなことがあったんですか」
フレア「そうなのよ、お姉さま。ハーゲンったらね」

ワルハラ宮で最も高貴な花が、この猛吹雪の中、おしゃべりに夢中になっている。その空間だけ、まるで春のようだ。

フレア「私が氷河と年賀状のやりとりをしてたのが気に入らなかったらしいのよ〜。もう〜、社会人としての分別がつかないのかしら。だから、叱ったのよ」
ヒルダ「あらあら。ハーゲンはどうしました？」
フレア「さすがにしょんぼりしてたわ」
ヒルダ「可哀相に・・・」
フレア「そう、私もそう思ったから、その氷河の年賀状をマグマに落として『拾ったら許してあげる』言ったの。もちろん、ハーゲンは二つ返事で飛び込んだわ」


それは、氷河にもハーゲンに対しても、とてもムゴイのでは？


ヒルダ「ハーゲンは大丈夫だったのですか！？」
フレア「ああ、大丈夫よ。全身大ヤケドだったけど、『これで許してくれますか！！』ってそれにこだわってたから」


・・・どの辺に大丈夫があるか聞きたい。てか、マグマに耐える年賀状って何だ？


ヒルダ「神闘士とはいえ、ヤケドは辛いでしょう。フレア、手当てはしてあげたんですか？」
フレア「もちろんよ！間違えて、唐辛子を背中に塗っちゃったけど♪」


カチカチ山のウサギか、アンタは。


フレア「包帯グルグル巻きで動けなくなって、食事するのも一苦労みたいだから、私がスプーンで食べさせてあげたの。そしたらね、ハーゲンったら、瞳をキラキラさせて『もう死んでもいいです』って言ったのよ」


恋は盲目で片付けられることだろうか。
普通の人間は、マグマの中に飛び込んだら普通 『死ぬ』


ヒルダ「フレアは幸せですね。そこまで想ってくれる男性に巡りあえて。そんなこと滅多にあることじゃありませんよ」
フレア「あら！！お姉さまには敵いませんわ！！」
ヒルダ「そうでしょうか？」
フレア「お姉さまの為に、命を投げ出せるなんて並大抵じゃありませんわ！少なくともハーゲンにはできないわ！むしろ、私を殺しにかかったくらいよ！」


・・・・・それは間違いでもない。
案外、可愛さ余って憎さ百倍になるタイプだと思う。


ヒルダ「それは・・・ジークフリートのことでしょうか？」
フレア「もちろんよ！それ以外に誰がいるっていうの？アルベリッヒって言ったら、私、お姉さまを病院に連れて行くわよ」


ここまでハッキリ言われると逆にスッキリする。


ヒルダ「そうですね、ジークフリートは本当に素晴らしい戦士です。でも、私のために命を投げ出したのではなく、アスガルドの未来のために命を投げ出したのですよ」
フレア「そんなわけないわよ！！お姉さまのお婿さんになる未来のためよ！」
ヒルダ「それじゃあ、命を投げ出しちゃダメじゃないですか」
フレア「私の予想だと、甦ってくると思ったけど・・・案外脆かったわね。やっぱりアニメオリジナルキャラは脆いわ・・・」


うん。それは言える。
バドは何故か理由もなく、雪原に倒れてるし。
フェンリルは雪崩で死んでるし。
もう少し戦士らしい散り方をさせて欲しい。
青銅は殺しても殺しても甦るのに、この違いは何だ？


ヒルダ「フレア、仕事に情を挟んではいけません。彼の国に対する忠誠に失礼ですよ」


てめえこそ、ビジネスに情を挟むなよ。


フレア「あ〜、もう。お姉さまったら、忠誠忠誠って！いっそ、チュ〜せいって感じよ！」


なんだ、そのオヤジギャグ。


ヒルダ「ほほほ、今は現代ですよ。中世みたいに古い街並みですけどね」


・・・・・一切通じてねえ。


フレア「はぁ・・・お姉さま、お腹空いたわ。何かないか、料理長に連絡してみましょう」
ヒルダ「そうですね。体が温まるものが食べたいです」
フレア「肉まんって知ってる？日本に行った時、氷河がご馳走してくれたのよ。とってもジューシーで肉汁がポタポタこぼれ出て。氷河が笑いながら、ハンカチで口元を拭いてくれたの」
ヒルダ「それほどまでにジューシーな肉まんなんですか（どこまでいっても着眼点がズレてる）美味しそうですね」
フレア「あれ、再現してもらいたいわ〜。アスガルドに広めたい美味しさなのよ〜」
ヒルダ「料理長はこの道５０年のベテラン（今、いくつだ？）だから、きっと作ってくださいますわ」
フレア「よね！！作ってもらったら、ハーゲンに差し入れに行こっ！！」
ヒルダ「あら、いいですね」
フレア「お姉さまも一緒に！」
ヒルダ「そんな、２人の邪魔をするのが分かりながら行くほど、私はボケてはおりませんよ」

フレア「お姉さまの天然ボケは今に始まったことじゃないじゃない（ヒドイ！）。それに、ハーゲンの側にはジークフリートもいるから、お邪魔虫は私達の方よ」
ヒルダ「ま、まぁ、そんな・・・」
フレア「顔が赤いわよ、お姉さま。今日は雪原訓練で外に出てるから、もうすぐ身を凍らせて帰ってくるわ。そんな２人をあったか肉まんであっためてあげましょっ！」
ヒルダ「ええ、アスガルドの為に尽力してくれている２人を労わなくては」
フレア「も〜〜、お姉さま。もっと乙女になってくださいな〜」

ウフフアハハと楽しく笑いながら、部屋を出て行く２人。
パタン・・・と静かに扉が閉じられると、吹雪の音しか聞こえなくなった。

アルベリッヒ「・・・女は２人でもかしましいものなんだな」

ブツッと、電源を落とすアルベリッヒ。耳をすっぽり覆うヘッドフォンを取り、机に置く。ヒルダの私室の花瓶に盗聴器が忍ばせてある事など、誰も気がついていないだろう。

アルベリッヒ「次のアイデアは、アスガルド特製肉まん世界進出！・・・だな」

サラサラと万年筆を走らせる。この企画なら、ヒルダ様もYESと言うに違いない。

アルベリッヒ「ふっふっふ！！今年こそアスガルドに春を！！俺に幸せを！！」


盗聴器を悪用しているようで、どことなく健全な気がするが、
アルベリッヒのカンニング大作戦は上手くいくだろうか。
それは、吹雪だけが知っている――――――。



あとがき
アスガルド再興シリーズは、今回は盗み聞き大作戦〜！
いや〜、ヒルダとフレアのボケツッコミはたまりませんな。M−１に出たら、決勝進出くらいできそうだよっ。
うちのサイトでは、氷料理が浸透してる（ギャグ担当だからね）ので、姫様たちがクッキーやら肉まんやら食べたいとか言うのに違和感があるんですが、普通はそれなりの生活してますよね。（他所様のアスガルド漫画を読むと、それなりに裕福だったり、いっぱい部下がいたりする）
漫才のような恋愛模様が楽しくて楽しくて。アルベリッヒも知らず知らずに参戦させられてたりするんですが（笑）
楽しんで頂ければ幸いですｖｖ

BY　MUTUMI