ワルハラオークション
冬真っ盛り、雪がアスガルドの経済をこれでもかと圧迫していた。
アルベリッヒ「・・・・も、もうだめだ。」
アスガルド一の苦労人が呟いた。
アルベリッヒ「まだ春まで先だというのに金がない。」
アスガルドの家計は真っ赤。アルベリッヒの目も充血で真っ赤。
アルベリッヒ「これは・・・もうこの手しかない！俺が長い間暖めていた企画を今こそ始動する！」
ワーッハハッハと高笑いするアルベリッヒ。
一見元気そうであるが、悲しいかな、机には栄養ドリンクの山ができているのだった。
ワルハラオークション！？
聞いたこともないアルベリッヒの提案にワルハラ宮の住民は素っ頓狂な声をあげた。
ジークフリート「オークションってどういうことだ？」
アルベリッヒ「名前の通り、ワルハラ宮のものを競売にかける。売れた金額がワルハラ宮のものになる。」
フレア「おもしろそう！私は賛成よ。ね、ハーゲン。」
ハーゲン「え、ええ、そうですね。」
芋づる式にハーゲンはアルベリッヒの手に落ちた。こんな小物はアルベリッヒにとって敵ではない。最大の敵は・・・・
ヒルダ「私は反対です。ワルハラ宮は私達のものではありません。売ってしまうなんて先代の代行者にもオーディーンにもあわす顔がありません。」
経済観念ゼロのトップ、ヒルダである。
アルベリッヒ「ヒルダ様。世間体を気にするのは大変わかりますが、アスガルドが滅んでしまってもよろしいのですか？」
ヒルダ「いけません。代行者としてアスガルドを滅ぼさせるのはオーディーンの意志に反します。」
アルベリッヒ「だから、オークションを行うと言ってるのです。アスガルドの家計は火の車。もう後がありません。」
ヒルダ「他に方法があるでしょう。アスガルド一の頭脳の持ち主のあなたなら何とかできるはずです。」
アルベリッヒ「このスーパー頭脳の持ち主をもってしてももう限界です！」
ヒルダ「家計を削ってもよろしいですよ。」
アルベリッヒ「これ以上削ったら、あんた裸で一年すごすことになります！いいんですか！裸ですごしても！」
ヒルダ「それ以外を削ってください。」
アルベリッヒ「じゃああんた乾燥バナナになりたいんですか！1日３食氷だけで暮らせるのならば暮らしてみてください。」
ヒルダ「そこを削って。」
アルベリッヒ「じゃあ近衛を全員クビにしてください。はっきりいってあんたさえ生きてれば世界が平和なのだから、俺らだけで十分！他国の侵略なんて、あったら見てみたい！国庫を使ってまでこの国を得ても利益なんてどこにもない！むしろいらん！」
ヒルダ「どこも生活が苦しいのです。リストラなんて許しません。それ以外を削ってくださいな。」
アルベリッヒ「食べ物もダメ、人材もダメ、衣服もダメ、ヒルダ様！一体どこを削れというんです！」
ヒルダ「みんながつつましく暮らせばそれでいいのではありませんか？」
どっかーーーーーん！！
アルベリッヒ「ぶっ殺す！！」
ミーメ「ちょ、待てアルベリッヒ！」
トール「やめろやめろ！」
完全にキレたアルベリッヒを全力で止める同僚達。
アルベリッヒ「止めるな！この女を殺さなければアスガルドに未来はない！」
シド「よく考えろ！殺したら地球に未来がないぞ！」
ヒルダ死ぬ→地球上の氷溶ける→地球水浸し→地球壊滅
超簡単スライド４段式である。
アルベリッヒ「殺すのは・・・まずいな。」
フェンリル「まずい！だからおちつけ！」
バド「もちつけ！」
ミーメ「君もおちつきたまえ。」
アルベリッヒ「落ち着いたからまず離せ！男にハグされるのだけはごめんだ！」
ハッ！
パッ！
動きはまさに光速であった。
ミーメ「君の考え、私はかまわないと思うのだが、やはりヒルダ様の承諾がなければいけないだろう。うちはそんなに危ないのかい？」
トール「データはないのか？」
アルベリッヒ「ある！今からこの天然クソバカ女のためにガキでもわかるアスガルドの現状を教えよう。」
ジークフリート「お前、もう少し口を慎めよ。」
バカでもわかる紙芝居『アスガルドの現在』
村のぷうさんはとてもまじめな人です。
こんな国でも文句を言わず一所懸命働いています。
秋、収穫です。
なんてことでしょう。一所懸命がんばったのに作物はあまり実りませんでした。
税が払えません。
天才アルベリッヒ様が税収を減らしてくれたので、ぷうさんは何とか税金を払うことができました。
寒いよう。寒いよう。
税金が払えてもお金はちょっぴりしかありません。
寒いよう。ひもじいよう。
哀れ、ぷうさんは家の中で死んでしまいました。
アルベリッヒ「おしまい。」
しーん。
ジークフリート「救いがなさすぎだぞ。童話ならもう少し幸せにしてやらないと。」
アルベリッヒ「バカ！これは現実だと何度も言ってるだろうが！これがアスガルドの現実だ！」
ハーゲン「天才アルベリッヒ様ってなんだ？自分だけよく書きすぎだぞ。」
アルベリッヒ「嘘じゃない！税を本当に減らしてやったんだ！それでもこうなってるんだ！」
シド「俺の周りにはそんな人いないがな。」
バド「シド・・・そりゃお金持ちのシドの家がこんな状況だったら俺やフェンリルはとっくに死んでるよ。」
フレア「知らなかったわ。アスガルドがこんなに貧しかったなんて。知ってた？ハーゲン。」
ハーゲン「いいえ、まったく。」
アルベリッヒ「あんたらには全く期待してなかったので別にかまいませんがね。お互いしか見えてませんから。で、ヒルダ様、わかっていただけました？」
ヒルダ「・・・・ええ。」
アルベリッヒ「こんなにもアスガルドは貧乏なんです。国庫は空っぽです。もう後がないんです。オークション、承諾していただけますね？」
ヒルダ「・・・・・・いいでしょう。」
アルベリッヒ「やった！それじゃ、各国に招待状書きますから！！」
体全体で喜びを現しアルベリッヒは去っていった。
フレア「お姉様、オークションというのならば何か出品しなくてはいけませんわね。」
ヒルダ「そうですね。聖闘士と戦った時のローブでもだしますか。」
フレア「私はどうしましょう。ハーゲンにもらったものだすわけにいかないし・・・」
フェンリル「俺もギングは絶対ださないぞ！」
ミーメ「私も琴をだすわけには・・・・」
シド「うちの私物でも持ってくるか。」
バド「それじゃ意味ないだろうが。」
トール「貧乏なアスガルドに人様に出品できるものがあるのだろうか・・・・？」
首をひねる神闘士達だった。
当日。各国の招待客がワルハラ宮に集った。ヨーロッパの貴族から、アテナの聖闘士までいろんな人がいる。さすがアルベリッヒのコネといえよう。
ヒルダ「沢山きましたね。」
フレア「こんなに人がくるなんて初めてかも。ね、ハーゲン。」
ハーゲン「はい。」
アルベリッヒ「やあ！」
実に晴れやかな笑顔でアルベリッヒがやってきた。
ヒルダ「流石ですアルベリッヒ。この間はすみませんでした。アルベリッヒの苦労もわからずに反対して。」
アルベリッヒ「いいんですよ。私もこうしてオークションやらせていただいてるんですから。すまない気持ちでいっぱいで。」
ヒルダ「そんな。」
ミーメ「一体どんなプログラムなんだい？」
アルベリッヒ「はい、渡しておく。では・・・・」
がっちょん。
え？
アルベリッヒ「終わるまで外さないようお願いしますよ。」
手足にはめられた枷。外そうにも外せない。
シド「おい、アルベリッヒ、これってどういう・・・・」
アルベリッヒ「後でわかる。そうだ、ヒルダ様、俺、今日からちょっと休暇をいただきたいのですがよろしいですか？」
ヒルダ「え、ええ。あなたはいつも頑張ってますし、いいですよ。」
アルベリッヒ「よかった。」
にこにことらしくない微笑みをしながらアルベリッヒは去っていった。
ジークフリート「なんなんだ？一体。」
ミーメ「お、おいちょっとこれを見てくれ。」
ハーゲン「なんだ？」
ミーメ「このプログラムの内容！」
トール「内容？」
アスガルド救済オークション プログラム
１． フレアの膝枕に耳掻き権
２． ジークフリート1日ホスト権
３． トールの肝臓（その他オプションつき）
４． ハーゲンのフレア様とイチャイチャ権
５． ミーメのレオタード（白・着用済み）
６． シドの爵位継承権
７． フェンリルのギング１年下僕権（他の狼も含む）
８． バドの戸籍（６との併用も可）
ハーゲン「な、な、なんだこりゃ！ふ、フレア様の膝枕に耳掻き権！？俺もやってもらったことないのに！しかもイチャイチャ権って俺以外の男がフレア様とイチャイチャするってか！？絶対許さん！」
トール「俺なんて臓器売買されてるぞ。その他オプションってなんだ。」
ジークフリート「俺なんてホストだぞ！ホスト！」
ミーメ「いいじゃないか、客は全員美人だし。私なんぞどこぞの変態に買われるかわかったもんじゃない。とゆうかどうやって手に入れたんだ。」
フェンリル「ギングは俺だけの物だ！それを、他の奴に使われてたまるか！」
シド「いいじゃないか期限つきで。俺なんて継承権売られたぞ。」
バド「まだマシだろ。俺なんて戸籍売られてるぞ。６との併用可って６と８買ってお前殺したら爵位継げてしまうぞ。」
フレア「ねえ！これ見て！９番目があるわ！」
ジークフリート「９番目？ヒルダ様のか・・・・？」
９． ヒルダのボインタッチ権
アルベリッヒ〜〜〜〜〜！！！！！
はたして、オークションの結果はどうなったのか。
アルベリッヒはどうなったのか。
それは、春の雪解けの頃にわかる。
あとがき
私の大好きなアスガルドの話です。ここんとこ季節関係ないネタですみません。私はアルベリッヒが大好きです。愛称はちょっとある人に使ってしまったのでないんですが・・・（鋼の弟に使ってるので。はは。）ま、９０年字のない供麒もいることですし、よしとしましょう。（どこがだよ）。アニメでは腹黒い考えを起こしまくってますが、とりあえずヒルダ殺害も妄想ですし、まっさらな人生です。アスガルドは寒いくせに天然が多くて困りものです。アルベリッヒが苦労人★ヒルダが憎いのに、どうしても逆らえずにお願い事にアホだバカだぬかしても結局いうことを聞いてしまうお人好し♪（妄想もここまでくれば犯罪ですかね）はっはっは！そんなアルベリッヒがもう大好き★
ＢＹ ＭＵＴＵＭＩ